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愛を知る

 ますます暑さが増してきました!猛暑日が続く中、たくさんのセミが園庭の木に遊びに来てくれています。まだまだ暑い日が続きますが、ウッドデッキ周りにミストが付きましたので、工夫を凝らし夏ならではの経験を子どもたちと一緒に楽しんでいきたいと思います。そして「平和の祭典」としてオリンピズムの理念の下、オリンピックが開催され連日沢山の感動を頂いています。世界に目が向いている今、8月は園でも平和について考える時を持ちたいと思います。
 さて、7月12、13日に年長児のお泊り保育を行いました。いつもご家族と過ごしている時間を園でお友達や職員と共に過ごすのですから、例年様々なドラマがあります。お泊り保育では、「普段の保育の中ではなかなかできない事でも、仲間と創り上げていくのであれば叶えられるよ!何をしたい?」と黄組皆で話し合いながら創り上げていきます。今年度はやりたいことが明確で、時間と空間にゆとりを持たせたプランでした。お陰で荷物の自己管理が丁寧にでき、難しい部分は友達と協力しながらじっくり行うことが出来ました。その中で印象的であったのは、ねらいの一つでもある「親の存在の大きさを感じ、感謝の気持ちを持つ。」という点です。夜、荷物の整理をしている時、タオルを大切そうに抱えながら私の所に来て嬉しそうに「これね、ママの匂いがするの。落ち着く…」とギュ~とタオルを抱きしめて香りを感じ、何とも言えない幸せな表情をしている子がいました。寝る前にお家の方からの手紙(秘密)を読みました。お家の方を思い出して涙する子、枕元において、もしくは抱きしめながら寝る子…今年度特に印象的だったのは、何度も手紙を出して読んでいる姿でした。そして友達同士で自慢し合うように共有していたのです。朝起きてすぐ、まだ眠気眼なのにすぐに手紙を手にし読んでいたり、「読んで!」と持って来たりするのです。それが一人二人ではありませんでした。多い子で、7回も私と一緒に手紙を読みました。子ども達にとって本当に大きなものだったことが、姿から感じ取れました。大きな愛を知り、真の喜びを感じたのだと思います。子どもは、ありのままの自分を理解し、受け入れてもらえることで、「自分は愛されるに値する存在である」と感じられ、自分に対する信頼感にもつながります。そして常に安心して過ごす事ができ、基本的な情緒の状態は安定したものになると言われています。子ども達のお泊り保育での姿はどの場面でも安定しておりました。お泊り保育という子どもにとっては大きな経験を友達と協力し合いながら過ごし、自分だけではなく、隣にいるお友達のことも想うことができたのは、親に惜しみなく愛され育ち、あたたかい眼差しを注がれ、離れていても愛を持って応援してくれている存在がいるからこその姿なのだと改めて思いました。人を愛し、愛されることは、人間にとっていちばん大切なことです。「親の愛は、子どもにとって、成長に欠かせない土壌です。同時に、伸びていく方向を決める陽の光であり、欠くことのできない水でもあるのです。(伊藤將史氏)」子どもは、このように愛されることによって、人を愛することを学ぶのですね。7月後半より夏季学童保育が始まり、卒園児達が成長した姿を見せてくれています。小学校が違い、久しぶりに仲間と再会した時の表情は、お泊り保育明けの保護者の方が迎えに来てくださった時の再会の姿に似ています。夏休みに入り、中高大学生が保育体験等で子ども達と交流して下さっています。子どもと関わる中で、愛おしさを感じると共に、自分自身も小さい時から沢山の人に愛されて育ってきたことを知ります。「愛されて愛する心を知り、お互いが大切な存在であることを知る」こうのとり保育園の教育保育理念にもあるこのような姿、多くの愛に触れた7月でした。
 ~愛されている自己に目覚めた時、決してゆるがぬ生きる力と支えをあたえられるのである。本当に愛されている人が、正しく愛することができるのではなかろうか。私が愛するとともに、愛されているのである。自分が相手を選んでいるとともに、自分もまた選ばれているのである。そこに謙遜があり、感謝があるのだ。本当の幸せは、愛するものを持つとともに、愛されている自己(弱さと欠けをもっている)を知ることだと思う。このことは、夫婦の間でも、親と子の間でも、保育者と子どもの間でも言えるのである。私が子どもを愛するだけではなく、子どもから愛されていることを忘れてはならない。真の教育は、その愛の交流から始まるのではなかろうか。さらに根源的には神と人間を指し示すのである。愛によって人間は固い心の扉を開く。私たちは、私たちを愛してくれるものに出会った時、本当に従うことができるのである。~(キリスト教保育8月号より)
                                         園長 梶山 美里