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彩り

 秋という季節は、木々が紅葉し、菊や秋桜などの様々な植物が賑やかに咲き誇り、柿や葡萄の果物などが実る時期でもあります。秋の澄み切った空気や色付いた紅葉一枚一枚に秋の深まりを感じ、様々な角度から捉えた秋の情景、彩りを楽しむことができますね。
 先月のあおぞら広場では、子ども達一人ひとりが挑戦してきたことや仲間と一緒に楽しんでいる事、目標に向けてグループで考え、繰り返し試み、積み上げてきたことをお家の方々に見ていただくことが出来ました。皆さんの応援がより力になり、一人ひとりがその子らしく、彩りよく輝くことが出来ました。お忙しい中、ご参加いただきありがとうございました。心から感謝致します。あおぞら広場はゴールではなく通過点として先に続いています。子ども達は今も挑戦を続けています。先日も5歳児の姿に憧れていた4歳児が「先生見て!逆上がり出来るようになったよ。」と鉄棒の所まで手を引いていき、披露してくれました。大きな拍手を送り「素敵!頑張ったね。」と声を掛けると「…でもね、前回りが出来ないんだよ…怖いんだよね」と言うのです。4歳児のお友達が挑戦している前回りが出来るようになりたい思いが伝わってきました。「一緒にやってみる?」と言うと、嬉しそうに鉄棒に手を掛けましたが、飛び乗る事がまだ難しい状態でした。補助をすると出来ましたが、体を支えるのに必死で、「怖い」と言ったので下に降ろしました。すると「先生、また今度やろうね、見ててね」と笑顔で次の約束をしました。逆上がりよりも先に前回りが出来るイメージがあると思いますが、実際前回りは頭が下に下がる感覚が「怖い」ということと、お腹が鉄棒にあたり「痛い」ため、なかなか難しいのです。子ども達の今の意欲を大切にし、遊びの中で繰り返し、目に見える身体と目に見えない心の成長に努め、特に人間の全存在を動かす内面性を大切に「あたたかなまなざし」を注ぎ、子どもの育ちを引き続き見守っていきたいと思います。
 先日、大学の先生とお話をする機会をいただきました。先生の教え子達が聖隷の保育園、こども園でも沢山活躍をしています。先生は「教え子たちの様子を見るたびに「育てる」という仕事に携わらせてもらった幸せを感じることができ、本当に感謝している」とおっしゃりながら教え子との様々なエピソードを話してくださいました。学生が保育士になり、数年経った今も心と心が通い合っている事が伝わり、聞いている私もとても温かい気持ちになり、多くの学びをいただきました。教え子一人ひとりの強さも弱さも全てを受け止め、認め、「大丈夫」「ありがとう」とまた笑顔で送り、保育現場に戻して下さる先生の存在は、大人になった教え子達の安全な基地になっていました。残念ながら事故で亡くなってしまった教え子の方が学生の頃に「先生、いい曲だから聴いてみて」と紹介してくれ、こんな風に生きたいと教えてくれたロックバンドMr.childrenの『彩り』という曲を私にも教えて下さいました。『♪~なんてことのない作業が この世界を回り回って 何処の誰かも知らない人の笑い声を作ってゆく~ なんてことのない作業が 回り回り回り回って 今 僕の目の前の人の笑い顔を作ってゆく そんな確かな生き甲斐が 日常に彩りを加える モノクロの僕の毎日に 頬が染まる 温かなピンク 増やしていく きれいな彩り♪』結果はすぐには見えないかもしれませんが、こつこつと地道に今を過ごす事の大切さと、人を思いやる心の優しさを教えていただきました。保護者の皆様は子育てを、私達保育者も「育てる」ことに携わらせていただいています。今の関わりが子ども達にとってどうなのか?それは数年後、成長した時に見えてきますね。私も数年前に成長した教え子(6年生)に会い、再会を喜んでいた時に「懐かしいな、この匂い…落ち着く。」と私の腕の中でつぶやいた彼女の言葉が、長い保育経験の中でのご褒美の一つになっています。子ども達が様々な自分らしい色に変化し、輝く姿を愛を持って見守り、支え、促していきたいと思います。
                                        園長  梶山 美里