日中は夏と変わらない暑い日が続いていますが、日没が少しずつ早くなってきました。9月の太陽は、夏の熱さと秋のやさしさを併せ持っています。この特別な季節の喜びを子ども達と共に様々な形で感じていきたいと思います。
今年は日本にとって戦後80年の節目の年で、テレビや映画等でも沢山取り上げられていました。園でも子ども達と戦争と平和の歴史を振り返る機会をもちました。昔、私たちの国が戦争を行った時の主な理由の1つは石油・鉄・樹木・魚・肉などの天然の資源が少ない国である日本の人々が豊かに暮らすためには外国と争って勝ち、他の国を支配する(言いなりにさせたい)と思ってしまったからだそうです。戦争というものは多くの場合、何人かの人が1つのものを欲しがるところから始まります。お互いに分け合えば、それは避けられるのですが、お互いの欲しいものであるためにお互いが「独り占め」をしようとするのです…とお話をし、大きなホールケーキの写真を見ながら、みなさんもお腹いっぱい食べたいなと思ったことありませんか?と投げ掛けました。すると「家族皆で切って食べるよ。」「お友達と一緒に食べたい」等の声があがりました。分け合うことによってお互いに折り合いをつけ一緒に過ごす。これが平和の1つの姿ですね。3年前に緑十字機不時着を語り継ぐ会(緑語会)より紙芝居を寄贈していただき、毎年この時期に触れています。今年度は幼児クラスで共有をしました。昭和20年8月20日深夜、戦争を終結させるための重要な文書を運ぶ1機の飛行機(緑十字機)が燃料切れのため磐田市の鮫島海岸に不時着してしまいました。現場を見かけた鮫島の地域の住民達は協力をし、すぐに救助にあたりました。この不時着は歴史上日本国最大の存続危機であり、これを迅速かつ的確な支援で救ったのが鮫島住民です。鮫島住民が創り出した今日に続く永き日本の戦後平和を紙芝居を通じて子ども達と祈ることが出来たことに感謝致します。磐田の海や袖浦飛行場【現在の竜洋袖浦公園(飛行機公園)】等知っている場所がお話に出てきたので、子ども達なりに身近に感じたようで「白いハト(緑十字機)頑張れ!」と真剣に聞いていました。8月号の広報いわたにも「磐田の海で終戦への想いをつないだ緑十字機」の特集がされておりますので是非ご覧ください。被爆者や戦争体験者が年々少なくなり、その記憶を次の世代にどう伝えていくかが問われています。戦争や被爆のお話は紙芝居や絵本であっても衝撃的で、子ども達も絶対戦争は二度としてはいけないと強く感じたと思います。「平和のために行動を起こす」というと難しく聞こえるかもしれませんが、戦争の体験に耳を傾け、それを子ども達と分かち合うことが、私達にできる最初の小さな、でも意義ある一歩だと思いました。皆が笑顔で安心して過ごすことで私達のささやかな毎日が支えられていることをもう一度心に留め深く感謝しましょう。
園長 梶山 美里