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子どもが実体験から得られるもの

明日は立春を迎えます。インフルエンザの終息宣言を出すことができ、ほっとしている一方で、新型コロナウイルスが世界的な広がりを見せています。手洗い、うがい、咳エチケット等の十分な衛生管理と予防に努めていきたいと思います。保護者の皆様もご協力をよろしくお願い致します。
西の空に金星が大きく輝き、冬の星座を代表するオリオン座も高く上がってきました。オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスを結んでできる三角形は『冬の大三角』と呼ばれています。ベテルギウスの光は私たちに届くまでに、光の速さで640年程もかかると言われていますから、私たちが見ている星の輝きは、640年前の光なのです。神秘的ですね。オリオン座の流星群も10月に見られると嬉しいです。

さて、こうのとり保育園では、年長児を対象として「質問-応答関係検査」を実施しています。子どもに質問形式(日常的な質問・類概念・語義説明・文章の聴理解等の10項目)で答えてもらう検査です。得意な力や苦手な面も確認することができ、そこから得られた情報を保育に活かしています。また、保護者との就学前面談の中で具体的に伝え、家庭での関りや就学に向けての工夫として活用できることもあります。保護者の皆様からは「親子の関わりのヒントになった」「子どもの特徴を改めて理解できた」とのご意見もいただいています。
「質問-応答関係検査」の中では、質問された内容について、その言葉の意味を子どもなりに考え、答えます。子どもたちの答え方は様々です。私は、人との関係性の中で培われた実体験が子どもに及ぼす影響の強さを感じています。そして、保護者のお話から、家庭と園を生活の場として、成長している様子がよくわかります。
 例えば、「4枚の系列絵」では、子どもが自由に4枚の絵を順番に並べ替えをします。滑り台を楽しそうに滑っている子どもが滑っている絵、転んでしまった絵、膝小僧をすりむいて泣いている絵、傷に絆創膏を貼ってもらっている絵の4枚です。A子はその絵の順番をなぜか最後に、滑り台を楽しそうに滑っている絵をもってきたのです。担任に聞いたところ「A子は外でよく遊びますが、小さなケガをよくするので、手当てをしてもらっては、また元気に外遊びをしている」と話してくれました。彼女が実体験で獲得したことが、そのまま「4枚の系列絵」に表れていることを知り、とても愛おしく感じました。検査での正解が必ずしも正解とは限りません。
子どもたち一人ひとりをよく観察していると、子どもの複雑な感情や考えが実体験を通して育まれることを実感します。家族との関わりの中で、子ども同士の関わりの中で、職員との関わりの中で、特に、人との対話を通じて思考力は養われると考えられます。子どもの発達は長期に渡り、生涯に続いていくもので、乳幼児期だからこそ大切にしたい育ちがあります。豊かな思考力は、その後の子どもの生活や学びの基礎にもつながっていきます。
保護者の方々との面談を通じて、子どもたちの個性あふれる姿と個々の成長を共有することは、本当に喜ばしいことです。

園長 永島弘美