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お手伝い

 厳しい寒さが続くなか、先日、子どもたちが植えたチューリップの球根に芽が吹き始めました。春が静かに足音をたてながら近づいてきたようで、心がポカポカしたような気持ちになります。今年度も残すところ二ヶ月を切りました。子どもたちとの一日一日をより一層大切に過ごしていきたいと思います。
 先日は乳児クラスのあそびの広場が中止になってしまい大変残念でした。ご理解ご協力ありがとうございます。子ども達の遊びの様子は動画等にてコドモンで配信させていただきます。今回、あそびのひろばBOOK(散歩・ままごと・触れ合いあそび・おすすめおやつ)を4冊作成し、配布させていただきました。是非様々な場面で活かし、「今何に興味があるのか」「何に夢中になっているのか」子どもさんの今に注目し、子育てを楽しんでいただけたら幸いです。
 先日の夕方、つくし組(0歳児クラス)での出来事です。玩具を殺菌庫に入れる為、片付けの手伝いを担任が子ども達に投げ掛けました。「玩具持って来てくれる?」すると数名のお子さんが、部屋の中にある玩具を拾っては保育者に届け始めました。「ここに並べてくれると助かるな」と1つ1つ並べて見せると、真似をして自分で網の上に並べます。拾い→運び→並べに興味を示した子が繰り返します。1、2個で終わる子もいれば、お友達の姿を見て途中から行う子もいました。部屋中にある玩具を拾い集め終わるまで繰り返したA君。背伸びをして棚の上まで玩具が残っていないか確認し、「もうないよ!」と言わんばかりの表情で担任にアピールしました。「ありがとう」と御礼を言われ得意気です。お手伝いをお願いした担任の所にも終わった報告に行きました。両手を広げ「ありがとう」と迎えたので、私はA君は喜んで胸の中に入っていくと予想してのですが…A君はニコッと笑顔を見せると、また殺菌庫の所へ戻って行ったのです。あれ?どういう事??何しに戻ったの???と思いながらA君の様子を見ていると、殺菌庫の所にいた担任に少し険しい表情で手振り素振りで「扉を閉めて!スイッチを入れて!」と伝えていることが、少し離れて見ていた私にも伝わりました。担任は思いを言葉にしながら確認をし、「これでいい?わかったよ」とスイッチを入れました。殺菌庫が作動し始めた事を目視すると、満面の笑みを浮かべお手伝いの依頼をした担任の所へ駆け寄り「任務完了!!」と言わんばかりに胸の中に飛び込んで行ったのです。お手伝いをお願いしてから、ここまで10分位だったでしょうか、振り返ると笑顔で楽しみながら玩具を運ぶ子がほとんどでしたが、A君は勇ましい表情で、黙々と行動していました。0歳児の心と頭の中を想像しながら、子どもの凄さにまた感動したのでした。
お手伝いを通して子ども達は様々な経験をします。初めてのことも多く、失敗したり、工夫したりすることで少しずつ上手になっていくでしょう。経験を積むことや大人(保育者・保護者)に褒められるなど、認めてもらえることで自信がつくようになります。子どものお手伝いの動機には「おもしろそうだからやってみたい」という好奇心のほかに、「ほめられたい」という思いもあります。特に大好きなお家の方から感謝されることは、自信につながり、自分の役割を意識するきっかけにもなります。さらに、「大人と同じことができた!」という達成感と喜びは、自己肯定感、そして自分を大切にする気持ちを育てることにもつながっていきます。時には「お願い、手伝って」とお手伝いを依頼してみるといいでしょう。お家の人に頼りにされることは、子どもにとって、とてもうれしいもの。「困ったな」「助けてほしいな」と伝えてお手伝いを促すことで、人を助けることの大切さを知り、思いやりの心が育まれます。お子さまのお手伝いしたい気持ちを大切にしていきたいですね。
                                     園長  梶山 美里