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はじめの一歩

 新緑が眩しい季節となりました。さわやかなそよ風が園庭を吹き抜けます。戸外遊びが心地よい季節ですね。子どもたちも、園庭の草花もすくすく育っています。
 慣らし保育がスタートしたばかりのことです。新入園児のAさんがなんとかしてお部屋から出ようとトイレを通過した所で私と出会しました。入園面談、母子通園等でも関わっていた為、私を見つけ胸の中に飛び込んで来ました。お部屋に入るのがまだ辛く、テラスからお友達の姿を見ながら、しばらく抱っこをし、お話をしました。「イヤ~」「あっち行く~」と泣くので、「大丈夫だよ、必ずお迎え来るからね」と言うとその後は「お迎え来る?」と何度か言いながら…そのうち泣き疲れ、少しウトウト眠そうに肩に持たれていました。お父様がお迎えにみえたので、Aさんの視野に入るようそっと向きを変えました。きっと視界にお父様の姿が入ったら「わ~ん」と泣くか、それとも「パパ~」とお父様の所へ行くのかな?と思っていたのですが…Aさんは、お父様に気付くと「おかえり」と言ったのです。そして私に「ありがとう」と言うかのように、ギュッと腕に力を入れて抱き返し、まだヒクヒクしながら穏やかな笑顔でお父様の元へ行きました。Aさんの心の動きが言動から伝わり、涙が出そうになりました。母子通園時は、お家の方と一緒に遊んでいただきます。お子様が玩具等に気持ちが向いた隙に少しだけ視界から外れていただきます。お子さんがお家の人がいないことに気付き探し始め、不安な表情を見せたところで急いで「居るよ」と戻って安心できるようにスキンシップをとっていただきました。Bさんのお祖母様がこうおっしゃってくださいました。「慣らし保育の意味がよくわかりました。私が席を外した後、遊ぶのですがこの子笑わなくなりました。でもこうして少しずつ環境に慣れ、安心していくんですね。子どもにも時間が必要ですね」と。ご家族皆さまで協力をして下さる慣らし保育、お忙しい中調整していただき申し訳ないと思いながらも、子ども達の社会生活、新しい環境への一歩を丁寧に伝える大切さを痛感しました。その後Aさんは少しずつ園や担任、友達にも慣れ、私を見つけると抱っこを求めるものの「朝ね、ちょっと泣いちゃったの。今日は給食食べて、お昼寝して、おやつ食べるとお迎えに来るの」とお話をしてくれます。まだ朝の離れ際は泣けてしまう子もいますが、日中は少しずつ遊べる姿が増えてきています。在園児のお子さんも、一つ大きくなった喜びや不安が様々な場面で見られますが、驚く程に頑張っています。子どもの力は素晴らしいです。
 以前保護者の方から「子どもは順応力が高いから、泣いていても預けちゃえば何とかなるもの」そんな風に聞いたこともあり、とりあえず預けちゃえば何とかなる、そう思っていたし、思いたかった。しかし、実際には登園前の大泣きはもちろん、帰宅後のぐずりもひどい。毎日、保育園に預けるのは間違いだったのかと悩んでしまいます。」とお話がありました。その方が卒園をする時にお手紙を下さいました。『相談をした時「大人だって初めての環境に行ったら緊張するし疲れるでしょう?子どもだって同じよ」と言われハッとしました。確かに子どもは順応力が高いかもしれないけれど、同じ感情を持つ人間に変わりはない。もっとそういう気持ちに寄り添おう、そんな風に思わせてくれた一言です。それからは、新しい環境で頑張っている息子の気持ちに、なるべく寄り添うよう意識しました。それまで「急いでるのに家事が進まないじゃない!」と焦っていた気持ちが、家事の手を止めてでも、「どうしたの?ちょっと話聞くよ~(抱っこするよ~)」という穏やかなものに変わっていきました。心なしか、そうすることによって息子も少しずつ落ち着いていった気がします。本当は、私の意識の切り替えとは関係なしに、ただ時間が解決してくれただけかもしれません。年長になっても連休明けは保育園を嫌がる日もあり、帰ってくると甘えてきて家事が進まない日もありました。「子どもだから」という思考回路になった時は、深呼吸して気持ちを切り替えています。保育園に慣れ、できることが増えて成長していく姿に、私が励まされることにも気付きました。そんな風に、親子は一緒に成長するものだと気づかせてくれた保育園。最初は大変だったけれど、諦めずに預けてよかったなと思っています。…』と。この手紙は今でも私の宝物です。
 ○年間という保育園で過ごす時間は、子どもが大きく成長する時期でもあります。そのような大切な時期を共に過ごさせて頂くことに感謝をし、一人ひとりが安心・安定して園生活が送れるよう職員一同保護者の皆様と共に子育てをしていきたいと思っております。
『きみがいちばんひかるとき』
昨日見つけた こんな事あんな事 今日気が付いた あっちでこっちで 明日は何に出会うかな いろんな発見 昨日・今日・明日 どんどん広がる 思いや心 毎日 新しい「自分」に出会っているね さあ 行こう まぶしい未来を 見つけよう みんな生きてる みんなで生きてる

                                     園長 梶山 美里