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傾聴

 セミたちの大合唱をBGMに、子どもたちが夏ならではの遊びを楽しんでいます。世間では、川やプールで命を落とすというたいへん痛ましい事故が起きています。水遊びに出掛ける等、夏の楽しい計画を立てられているご家庭もあるかと思いますが、お子さんから目を離さないように努めていただくようお願い致します。交通事故等にも十分気を付け、子ども達の笑顔あふれる素敵な夏になることを願っております。
 先週から玄関に大きなたまごが4つあるのに気付かれた方も多いのではないでしょうか。あのたまごは年長児のお泊り保育の夜のお楽しみの中で、暗い園内を足跡を頼りにグループで力を合わせ割れないように運んだものです。足跡から考えると何のたまごかわかりましたでしょうか?今年度のお泊り保育は子ども達のやりたいがいっぱいでした。担任も子ども達の願いを叶えたいという思いから工夫を凝らし、盛沢山の内容でした。友達や保育者と沢山話し合い、計画を立て、進めて来ました。時々玄関のたまごがなくなったり、足跡の位置が変わっていたりと、日々変化があります。2歳児のれんげ組さんはお部屋が近いこともあり、よく見ています。「園長先生!たまごがないよ。」「どこ行っちゃったのかな?」と神妙な表情で報告してくれます。楽しみながら子ども達の話を聴いていると「お母さんが取りに来たんじゃない」「たまごに穴が開いているから生まれたのかな?」「足跡がこっちだからあっちにいったかな!」と豊かな発想が広がっていきます。他のクラスのお子さんも送迎時、足跡の上に自分の足を合わせて歩いてみたり、足跡の位置を変えたりしながら親子で会話を楽しむ姿も見られています。年長児の行事ですが、このように園全体で関わり、遊びが広がり、楽しめていることを嬉しく思います。7月下旬より夏季学童保育がスタートし、久しぶりに卒園児たちが成長した姿を見せてくれています。「久しぶりの保育園はどう?」「学校は…?」と声を掛けると、「学校でね…」「保育園の給食はやっぱり美味しいな」等といろいろな話が止まりません。しかし各クラスにお手伝いに入っている時の様子を見ていると、まだうまく言葉で表現できない小さな園児のつぶやきを丁寧に聴き、表情を見ながら、「これが欲しいの?」「抱っこする?」と本人に確認をしながら優しく関わってくれています。子ども達が「先生あのね…」と一生懸命話をする様々な姿や学童の子ども達の姿に触れ、聴くことの大切さを振り返る機会をいただきました。
 「傾聴」と言う言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。傾聴とは「私はあなたの話をしっかり聴くよ。正解も間違いも無い、大切な意見だよ。」という子ども達への強いメッセージで、子ども達を理解する有効な方法の一つです。「傾聴」の目的は、子どもを理解し、子どもの言葉の裏にある感情を推し量ることです。丁寧に最後まで話を聴くことで、子ども達の「内なる声」をしっかりと聴くことが出来るのです。「傾聴」をおこなうために大切なのが、「受容」です。つまり、相手の話を丸ごと受け入れることです。「自分の話をしっかり聴いてもらえた」と実感することは、大人の私達でも意外と少なくありませんか?そのような事を防ぐためには、たとえ自分の考えと違っていたとしても、否定せず、途中で口をはさまず、全てを受け止めるのです。すると相手の中には、「何を言っても否定されない」「何を言っても大丈夫という安心感が生まれ、何でも話せる環境や関係性が築かれていくと言われています。普段から保育者(大人)が話しやすい環境を作り、子ども達の話を受容する「傾聴」の姿勢を持つことが、『子ども達の主体性を育む』『子どもに寄り添った保育』に繋がるのだと、改めて様々な子ども達の姿から感じた7月でした。
                                       園長 梶山 美里