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ホーム  > 園長コラム  > 絵本が繋ぐ素敵な関係

絵本が繋ぐ素敵な関係

 今年の夏は記録的な猛暑といわれていましたが、10月が近づきようやく過ごしやすくなりました。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、実りの秋…毎日よく食べ、よく動き、お散歩等にも出掛けながら様々な遊びを楽しんでいる子どもたちです。
 小さな時から毎日必ず、お迎えの時間に図書コーナーにより、絵本を読んでもらっているお子さんがいらっしゃいます。とても穏やかで素敵な時間・空間が流れ、見ているこちらも幸せな気持ちになります。きっと絵本を通して感動を共有しておられるのだろうと感心し、毎日必ず読み聞かせをされているので、先日声を掛けさせていただきました。「いつもありがとうございます。お仕事でお疲れなのに、毎日このような時間を作って下さり、お子さんは本当に幸せですね。見ているこちらまで嬉しくなります。」すると、「この時間は私の為なんですよ。時間に追われ、どうしてもイライラしてしまうので…この時間を過ごす事でバランスを取っているんです。」と。
 読書は人生をより豊かにし、より深く生きるための力を身に付けていく上でとても大切だと言われています。読書により多くの知識を獲得できたり、読解力や想像力、思考力や表現力が高まったり、多様な文化への理解が深まったりすることが多くの文献で示唆されています。2001年に「子どもの読書活動の推進に係る法律」が策定され、社会全体で子どもが読書するための環境整備が行われています。読書を好きになるためには、乳幼児期から好きな人や信頼できる人に絵本を読んでもらい、「絵本は楽しい」「読んでもらうことは嬉しい」という経験を積むことが大切です。幼少期、絵本や素話を沢山してもらった思い出はあるのですが、残念ながら私自身は読書をすると知らぬ間に寝てしまっているというタイプです。なので我が子にはと思い、長男がお腹の中にいる時から個人的に研究を兼ねて読み聞かせをしていました。生まれてからも、繰り返し読み聞かせ、そのうちに子どもが好きな絵本を読んでくれるようになり、その後自ら本を読むようになっていきました。保育園でも保育者が膝に入れて読み聞かせたり、園児自ら読んだり(見たり)して楽しんでいます。幼児期から学童期になると、絵本や児童書、図鑑などを見て、楽しさと共にわかる喜びを経験します。思春期になると、友達や先生に影響されたり、学校の読書の時間や探究学習などがきっかけとなったりして、読書対象も文学、自然科学、社会科学関係の書籍や新聞、図鑑などの資料に広がり、自ら学ぶ楽しさや、新たなことを知る喜びを得ていくことでしょう。
 園の子ども達の様子をよく見ていると、絵を読んでいます。動かない絵を頭の中で動かしたり、動かない絵の安定感を求めながら、絵本の世界を楽しんでいることがわかります。今は、100円均一にも絵本が並び、デジタル絵本等も身近な物になりました。長い時間読み継がれている絵本、楽しい絵本、想像力が豊かな絵本、心をつなぐ絵本、勇気をもらえる絵本等、子どもに良い絵本と言われている絵本を意識して選ぶことも大切ですね。子どもが嬉しそうにしていたら、周りにいる大人はもっと絵本を読みたくなると思います。これはコミュニケーションの基本でもあります。相手が嬉しいと自分も嬉しい。それが一番大事なことですね。絵本は脳の活動が活発になり、神経ネットワークが活性化するとも言われています。是非この秋、絵を見て、文を読み、お子さんと同じ世界を共有してみてください。
                                         梶山 美里