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模倣遊び

 日中のぽかぽかとしたお日さまがより暖かく感じられる程の、朝晩の冷え込み。晩秋の気配が深まる頃となりました。子どもたちはますます深まる秋を感じながら、自然との触れ合いを楽しんでいます。
 この間3歳児の部屋を覗くと、一角に椅子を並べて数人が何かをしている様子が見えました。バスごっこをしているのかな?と思い部屋に入っていくと…「うわぁ~本物が来た!」と。私(園長)役の子が3名、「礼拝ごっこ中です」と教えてくれました。「じゃあ私も入れて!子ども役になるね。」と椅子に座ると、続きが始まりました。立って讃美歌を歌い、聖句を言い、園長役の3名が司会を進めます。そしてモニャモニャお話をし、「それではお祈りをします」と手を合わせお祈りをしてくれました。最後に子ども役の子達の頭を撫でてくれます。私の頭も撫で、肩を優しく触ってくれたのです。その手から伝わる優しいぬくもりに感動し、そのまま目を閉じていると…「静かに歩いて行って下さい。」と声を掛けられ、「はい」と急ぎその場を立ったのでした。9月より4、5歳児と一緒に礼拝を守るようになり、日々子ども達の模倣遊びが繰り広げられているとのことでした。礼拝の流れが良く分かっていることに驚くと同時に、話し方や仕草等も意識して真似ている姿に思わずクスッと笑ってしまいました。何よりあの優しい手のぬくもりが忘れられません。子ども達がこのように感じているのだということを嬉しく思いました。園庭で体操やダンスをしている姿を見ていても、担任の動きをそのまま一所懸命真似るため、しっかり肘を伸ばし、指先までピンと伸びています。膝も胸に付くほど上げて万遍の笑みで踊っているのです。以前「空に届くくらい手を上に伸ばして!肘曲げないよ。」なんて言っていた自分を恥ずかしく思いました。適切な見本を示せば、子どもは大人の行動を真似るのですね。
 子どもは視覚や聴覚を使って大人の動作や声を観察し、真似をしながら自分の行動や表現力を増やしていきます。3歳頃は、想像力がさらに豊かになり言語能力も向上する時期です。この時期の模倣遊びは、複数人で展開するごっこ遊びやロールプレイの割合が増え、さまざまな状況や役割を想定して遊ぶようになります。直接経験したことのない状況をイメージすることで、想像力や創造力、発想力が養われ、また、演じる役割に応じた言葉遣いや表現方法を考えることで、言語能力の向上にも繋がります。友だちとの役割分担や協力も必要になり、協力して物事を進める力やコミュニケーション能力も育ちます。そして4、5歳頃になると、言語能力や想像力が成長し、他者との協力やルールを意識した遊びができるようになり、より複雑なシナリオや役割分担が可能になります。友だちや保育者と一緒に独自のストーリーや世界観を創造して遊ぶ力が高まっていくのです。夢中・没頭する遊びの中で経験していることが子どもの育ちに繋がります。子どもは遊びのプロセスにおいて、今を超えていこうとする力(意欲)が育ち、より複雑なものへと取り組むことで、新たな力を自らのものとして獲得(成長・発達)していきます。
 森の動物になりきって木の実を拾い集める3歳児、桃太郎のお話の世界の中で遊ぶ4、5歳児、友達と力を合わせ、協力して頑張る姿等々、11日に予定されているあおぞら広場では、このような子ども達の姿に注目していただき、あたたかい応援をお願い致します。
                                         園長  梶山 美里