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通い合う心

 木々のつぼみも次第に大きくなり、芽吹きの瞬間を今か今かと待っているようです。そんな様子を子どもたちの姿に重ね合わせて見ています。
 今年度最後の懇談会にはたくさんの方が参加して下さり、ありがとうございました。各クラス写真や動画を見ながらエピソードを踏まえ、この一年の成長を伝えさせていただきました。その中で、友達と心と心が通い合っていく温かい動画に魅せられたので紹介させていただきます。「なんで意地悪なこと言うの?」「A君だって意地悪したじゃん」「どっちも同じじゃん」…これは3歳児のトラブル後の対話です。(落ち着いて話し合いが出来るウッドデッキのスペースにて)顔を背け、下を向き、指でモジモジしながら時間が流れていきます。言葉に詰まりながらも表情から歩み寄りたい気持ちが十分伝わってきます。「B君だってそうやって言われてもいい?」「怒ってるんじゃなくて、言ってるだけだよね」少しずつ顔を上げ、時々相手の顔を見始めました。しかし相手が顔を上げると急いで下を向き、目を反らすのです。担任が見守りながら、時々間に入ります。A君が机を指でトントンならし始めると、B君も同じようにトントンとならします。子ども達の言葉を拾いながら、感情が整理できるように担任がラベリングをしていくと、「かーかは大好きだと思ったらギューをして…」相手を受け入れたい気持ちが幼い言葉にあふれ出し…「さっきはごめんね」と最後はお互い謝って仲直り。二人笑顔で園庭に駆け出して行ったのでした。3歳児らしいとても心が温かくなる8分間の動画でした。
 友達とのやり取りができるようになってきていますが、この年齢の発達段階として自己中心的なことが多く、言葉の上ではコミュニケーションが取れても、相手の求めに応じて適切な応答をすることはなかなかできません。4~5個の言葉をつなげて、自分の中の様々な気持ちをなんとか言葉にして伝えようと一生懸命です。自分以外の他者に対する思いやりが芽生えてくるのもこの時期だと言われています。仲間と心を通わせ対話を重ねる中で、コミュニケーション能力、人間関係能力、他者理解能力、自己表現能力、問題解決能力を育み、心を磨いていることが二人の姿から十分見て取れました。対話力とは、「互いを理解するために、本音と本音の話し合いをすることであり、信頼関係を築く為のコミュニケーション」です。(会話とは、日常で話す取り留めのない話であり、信頼関係がなくても取れるコミュニケーション)互いに譲ることなく自分の「正しい」を主張すれば、永遠にお互いを理解することはできないですよね。しかし、どちらかが折れてしまえば、それは納得の行かないまま相手に従うことになってしまう。対話とは「勝者」と「敗者」を決めることが目的ではなく、お互いの「本当の言い分」を聴いて、相手側からの「正しい」を理解することです。また、対話とは聴き合いと伝え合いの確認作業だとも言われています。子ども達は、対話を通して互いにいろいろなことに気付き、認め合い、高め合うことができる力や心を育くんでいます。自分や仲間を大切にし、笑顔で園生活を送り、興味関心のあることに向かって主体的に歩んでいるのです。『自分のように あなたの隣人を愛しなさい』これはこうのとり保育園の施設理念です。この一年、子ども達は神に愛され、家族、職員、地域の皆様等多くの人から愛されていることを感じ、愛する心を育んできました。様々な経験をする中で、心も体も本当に大きく成長しましたね。子ども達が自信と喜びを持って進級・卒園できるよう園全体で取り組んで参ります。
 今年度も保護者の皆様のご理解・ご協力を賜り感謝致します。一年間ありがとうございました。
                                       園長  梶山 美里