園長 平野 春江
10月は、地域の方との交流の機会が多く与えられました。シニアクラブスポーツ大会に5歳児(ひまわり組)が招かれました。高齢の方との障害物競争やあんぱん掴み競争、そしてダンスとパラバルーンを披露しました。障害物競争では、高齢の方が目隠しをして両脇に子どもが手を繋いで立ち、ゴールまで先導しました。事前打ち合わせで、この内容を提案された際、園として躊躇しました。子どもたちが先を急いで高齢の方が転倒してしまうのではと…。しかし競技が始まってみるとすぐに心配無用であったと気付きました。保育者の助言なしに子どもたちは、相手の状況に応じてしっかりと考え自分の行動と気持ちをコントロールしていました。優しく歩みを進めて先導していました。表情までもが優しく、目には見えない心の成長を感じました。もう一つ当日に子どもの自ら育とうとする力を感じたエピソードがありました。前日から雨予報があり、準備物に雨合羽がありました。Aさんは目に涙を溜めて「かっぱがない…。」と助けを求めてきました。そこで「私のかっぱを貸してあげるから大丈夫だよ。」と声を掛けました。すると、涙がすーっと引いて「ありがとう。」とすぐに気持ちを立て直すことができました。次に担任から「靴を入れるビニール袋も用意してね。」との声が掛かります。Aさんのリュックの中にはビニール袋がないのを私も確認していましたので様子を見守りますとAさんは自分のロッカーに行き、製作物の入っていたビニール袋から製作物を取り出してそれを活用したのです。困った時にも自分で考え、機転を利かして代用品を用意することができました。この応用力に感銘を受けました。また、4月にもみまきをして6月に田植えをした稲が収穫の時を迎え、地域の方と稲刈りをしました。稲刈りと言いながらも泥んこや生き物に夢中になる子や大人顔負けで黙々と作業をする子等様々でしたが地域の方に優しく教わりながら貴重な体験をさせて頂きました。収穫した稲は脱穀した後、籾摺りをしてどのように食べるのかを子どもたちと相談して決めていく予定です。当園では、生活や遊びの中で子ども自らが考える機会を多く設ける教育をしています。自らの経験値を基に自ら考えて生活や遊びを豊かにしていきます。自分の興味のある遊びに熱中するプロセスを応用すれば他のこと全般の上達も助けられていきます。教育には、一方的な上下関係はなく、大人と子どもであっても友情に近い関係性が目指すところだと考えます。共に切磋琢磨しながら互いに磨きをかけていくような関係性を大切にしています。子どものことはまず子どもに聴き、その上で、視点や思考の広がりが生まれる支えをしています。このような毎日の積み重ねを大切にしていきたいと思います。
私たちは、大きいことはできません。小さなことを大きな愛をもって行うだけです。~マザーテレサの言葉より~
私たちは、大きいことはできません。小さなことを大きな愛をもって行うだけです。~マザーテレサの言葉より~