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ホーム  > 園長コラム  > ~自己肯定感を育む~

~自己肯定感を育む~

園長 大塚麻紀子
 あっという間に一ヶ月が過ぎ、もう2月か…と感じるのは私だけでしょうか。この冬は暖かさを感じる日が多いですね。冬眠していた園のカメが、少しずつ動き出しています。2月4日は立春、暦の上では春が始まる日です。園周辺でもこれからいろいろと春の訪れを見つけられると思うので、春探し散歩を子どもたちと楽しんでいきたいです。
先日3歳児数人の子どもたちが大型積み木で遊んでいました。何かを一緒に作っていながらも、それぞれの考えが微妙にすれ違っているので、ほんの数分ごとに「ちがう!」「やめて」など次から次へと思いのぶつけ合いの言葉が飛び交います。でもふとした瞬間に思いが一致して笑いあったり、そんなことを繰り返していて、3歳児らしい正直な気持ちでいっぱいだなぁと感じました。大人としては仲良く遊べるように介入してしまいそうなところですが、揉め事が起きそうなこの雰囲気は子どもたちが友達とのかかわり方を学ぶチャンスでもあります。まさに今、目の前の子どもたちはその真っ只中だと思い、仲裁する代わりに「そっか、貸してほしかったね~」とだけ応じました。一見冷たい対応にも感じるかもしれませんが、私の横に座った子がじっと考えている姿勢が見られたのでそのままの姿勢で待ってみました。少し間をおいて、その子自身で立ち上がって相手のところに行くと、「あとでかしてね」と伝えました。じっと考え「今すぐ」貸してほしい自分の思い優先ではなく、今までのいろいろな経験を思い出して「あとで」なら貸してくれるかもしれない、その子なりに相手の気持ちも考えた言葉だったのだと思います。
子どものときのお互いの気持ちのぶつかり合いは、今後成長し社会生活を送っていくうえでの大切なステップであり、ケンカをしないことよりも、上手にケンカしていくことのほうが子どもの成長には大切と言われています。友達と遊ぶ中で、自分の主張を押し通したいことはお互いにあり、そのような場面を何度も繰り返す経験の中で、子どもは自分の欲求を少しずつコントロールする方法を覚えていきます。そうすることで、5,6歳ごろになると仲間との結束を強め、話し合いで解決をすることができるようになるのです。それは集団の中で自分の存在価値を見出すことができる自己肯定感を確立することであり、生きる上での土台として幼児期に育みたいことの一つです。自己肯定感とは自分らしさを信じられる力の「自己信頼」と、自分の存在を認めてくれる人がいると感じられる「他者信頼」の二つの意味があるそうです。(『0歳児から6歳児の自己肯定感を育む保育』今井和子著 より)園で過ごす子どもたちが、年齢発達に応じた人とのかかわりの中で、自分を信じ人との信頼関係を結んで、今のその子らしさが十分発揮できているか、そんなことを思いながら年度の終わりが近づくこの時期の子どもたち一人ひとりの姿を見守りたいと思います。