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~活きた学び~

園長  平野 春江
 「そ~っとね。優しくぎゅうって押すんだよ」
 この言葉は、ひまわり組(5歳児)のこども達が1年を通して地域の方のご協力を頂きながら体験する米の栽培の初作業である“籾(もみ)まき”での会話の一部です。時間差(遅れて)で参加した私に、やり方を教えてくれた時のAくんの言葉です。籾まきとは、稲の種である籾を土にまき、苗を育てる作業のことです。Aくんが表現した『優しくぎゅうって』の優しくは…思いやりを持っての意味を含み、ぎゅうっては…力を込めて押す意味合いをイメージしますね。一見、相反する言葉が並んでいるように感じますが、実際に籾まきを体験してみますと、まさしくAくんの言葉が最適な表現であると感じました。このAくんの言葉は、自分自身が体験したからこそ出てきた表現であると思います。籾(もみ)ひと粒は極小さく、そ~っと扱わないといけないのです。そして土に入れる際にも気持ちは優しく持ちつつも土にしっかりと押し付けないと風で飛んでしまいます。とても集中力を有する作業なのです。皆、感覚を研ぎ澄まして真剣な表情で取り組んでいました。これこそが活きた学びです。乳幼児期の成長・発達に適した学びとは、視覚(見る)聴覚(聴く)、嗅覚(嗅ぐ)、味覚(味わう)、触覚(触る)の五感を使って、喜びや感動と共に体験を通して行うことが大切となります。
 さて、新入園児も少しずつ園生活に慣れて笑顔が見られるようになりましたが、まだまだ遊び(学び)に気持ちが向かないお子様もいます。養護と教育が一体的に行われる乳幼児の保育は、こどもの心身の成長を総合的に支えながら遊びを展開していきます。新入園児は特に、養護の面である生理的欲求(排泄、食事、睡眠)が満たされ安心が得られることがより大切です。まずは担当の保育者とこどもとの信頼関係を育んでいけるように丁寧に関わるように心掛けています。そして保育者との信頼関係を基に少しずつ周りの環境へと目を向け、興味を持って働きかけていくようになります。個人差がありますので保育者はこどもの思いを受容しながら保護者の方と共に、その時をゆっくりと待ちたいと思います。毎日繰り返される日常の中で、一つひとつの小さなことに、丁寧に向き合っていくことで、気が付けば結果として全体的な成長が促されていくことを信じて援助していきたいと思います。今後も一つひとつの小さな成長を保護者の皆様と共に分かち合っていきたいと思います。是非、ご家庭での様子も聞かせて下さいね。