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子どもの今を大切に

園長 平野春江
 『あなたは、幼児教育・保育の無償化に賛成ですか?反対ですか?』
 これは、朝日新聞デジタルが幼児教育無償化のアンケート調査を実施した際の設問のひとつです。
いよいよ10月1日より幼児教育無償化が開始されます。3~5歳児は、原則全世帯、0~2歳児は所得の低い住民税非課税世帯を対象に、認可保育所・こども園・幼稚園・発達支援事業所等の利用料が無料となります。幼稚園の一部や認可外保育施設等を利用する場合にも上限付きの利用料補助があります。子育て世帯の経済的負担を軽くして出生率向上につなげるのがねらいのようです。実際にお子様をこども園にお預け下さっている保護者の皆様にとっては、喜ばしいことと思いますが、一方で様々な考えを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 さて、冒頭に挙げました朝日新聞デジタルが実施したアンケート結果が掲載されておりましたので一部ご紹介致します。(回答者の年代 20代(以下も含む)~70代で、 30代が一番多く、回答者全体の44%)『あなたは、幼児教育・無償化に賛成ですか?反対ですか?』という設問は、反対が賛成を上回り、賛成(〝どちらかといえば賛成″を含む)が37%で、反対(〝どちらかといえば反対″を含む)が63%でした。回答数上位順に賛成と反対の意見をお伝えしますと賛成意見としては、〝幼児教育・保育は重要で誰もが平等に受けられるようにすべきだから″〝子どもを生み育てる後押しとなるから“等でした。反対意見としては、〝保育士の賃金アップや労働環境の改善を優先すべきだから″〝待機児童の解消を優先すべきだから″等でした。少数意見の中には、賛成意見として〝無償化されれば、その分のお金を子どもの塾や習い事などにまわせるから″反対意見として〝虐待対策など、保育以外の子育て関連政策にお金を使うべきだから″とありました。
 保護者の皆様は、以上のアンケート結果から何を思いますか?どう考えますか?
 幼児教育・保育業界からすると、また、子ども達からすると喜ばしいことだけではないように思います。様々な分野の方による協議の上での政策であり、その上での幼児教育無償化の開始となっているわけですが、様々な課題も浮き彫りになっております。そのひとつとして、全ての子どもに平等な幼児教育・保育を提供するためのものが、外国人学校などの各種学校が幼児教育無償化の対象から外されています。中日新聞しずおかの記事によると、ブラジル学校組織「在日ブラジル学校協議会(AEBJ)」が9月29日、浜松市東区でフォーラムを開き、無償化を求める宣言を採択しました。ブラジル学校側からは、「行政に問い合わせても無償化は認められないの一点張り」「制度の説明がない」との不満の声が上がった一方で、「各種学校幼稚部から認可外保育施設に運営を切り替えることで行政に認めてもらった」とのケースがあるなど、地域で無償化への対応が分かれていると記載されておりました。フォーラムで講演した小島祥美・愛知淑徳大准教授は「無償化には増税が深く関わる。ブラジル学校に通う人も日本人と同じ納税者。学校を区別して考えることはおかしい」との指摘があったそうです。また、先にも紹介しましたが、少数意見とは言え、『無償化されれば、その分のお金を子どもの塾や習い事などにまわせるから』との声に私としては、少々、不安を覚えました。無償化された保育料分を、どのように活用するかは、親が決めることではあります。保護者の皆様も様々な活用法を思案していることと思います。無償化となり、変わることと変えてはいけないものとがあると私は思います。私自身も無償化を機に、子ども達にとって何が大切であるかをあらためて考える機会となりました。こども園としては、神様からお預かりしている大切なお子様を変わらぬ愛を持って教育・保育を行う所存です。