グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > こどもの生活から離れない保育

こどもの生活から離れない保育

園長 平野春江

 梅雨も明けて暑い日が続きますが、水分補給(幼児のこども達はプールの前、スポーツ飲料を飲んでいます)や休息をとりながら、熱中症対策をしっかりと行っていきたいと思います。
 さて、今回は、2つのこどものエピソードを紹介しながら当園の教育・保育についてお話します。
エピソードⅠ 興味のある遊びから学んだ知識は忘れないよ。
 「ブラジル!」「フランス!」「韓国!」「アメリカ!」「日本!」 4歳児、5歳児合同礼拝の際に、聖書物語バベルの塔の話をしました。様々な国の言葉について伝える為、国旗をこども達に見せたところ、5歳児のこども達が、示した国旗全てを答えてくれました。解ったのは一人や二人ではなく、大勢のこども達が答えてくれました。こども達がなぜ国旗が解ったのかおわかりですか。保育者が教え込んだわけではありません。昨年度、現在の5歳児が4歳児の時、東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。毎日のように保育者とこども達で新聞を見ながら、「日本が金メダルとったね!」「アメリカが金メダルだったね。」等と話すうちに、日本以外の国にもこどもの興味が広がっていきました。そのタイミングで保育者が国旗カードを部屋の机上遊びコーナーに設定しました。興味を持ったこどもから国旗カード遊びを楽しむようになり、『おもしろい!』『知りたい!』という気持ちと共に仲間同士で互いに刺激し合いながら自然と国旗を覚えていきました。教え込まれた知識ではなく興味を持って遊び込んだ結果として身に付いた知識は、しっかりとこども達に根付いていました。(※1)
エピソードⅡ 大好きな積木遊びで発見したよ。
 4歳児のA君が積木で友達と階段を作って遊んでいました。1段、2段、3段と積み上げていきます。6段目が作り終わったところで、A君が積木の横の数を数え始めました。「1、2、3、4、5、6」そして今度は、積木の縦の数を数えます。「1、2、3、4、5、6、」「あ!同じ6だ」発見したようです。「そうなんだね。1はどうかな。2はどうかな。」と声をかけますと「1は1 同じだ!」「2は2」「3は3」と横の数と縦の数を1段目から5段目まで全て数えました。全てが同じことが解り、すっきりした表情が見られましたがA君にとっては、この発見は、あくまでも遊びの過程での事であり、階段を完成させるという目的に向けてまた積木遊びの続きを始めました。A君は、積木遊びが大好きなお子様で2歳児、3歳児の時から積木で何かを作ったり見立て遊びを楽しんできました。興味ある遊びを毎日楽しむ中で今回の様な発見を沢山しているのではないかと思います。(※2)
 教育・保育を計画するにあたりねらいというものがあります。指標となる幼保連携型認定こども園教育・保育要領に記載されています。例えば、※1 幼保連携型認定こども園内外の行事において国旗に親しむ ※2 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ等です。これらのねらいが総合的に達成されるように保育者は計画を立てますが、エピソードのⅠ、Ⅱにありますように大切なのは、こちら(保育者)にねらいはありますけれども、日々行っていく教育・保育の実際の働きは、こどもの生活の方へこちらから合わせていきます。一人ひとりのこどもを丁寧に捉え、何を見ているのか、何に気づいているのか等興味・関心に応じた環境や働きかけを行い、こどもの自ら育つ力を援助していきます。幼児と言えども、育ちは決して一律ではなく一人ひとりのこどもの生活や遊びから離れない保育をすることにより個性に応じた教育が行われることを願って取り組んでおります。集団生活の中で、一人ひとりを見ることは専門職である保育者にとっても大変難しいことです。保護者の皆様のお力も借りながら、お子様の今を見つめ、お子様の様子や成長等を共有しながら育ちを見守っていきたいと思います。どんな些細なことでも結構です。お聞かせ頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。