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 自律と自尊を育む保育 

園長 平野春江
  ゴールデンウィーク中の祝日こどもの日には、心地よい五月晴れとなりご家族などでお子様の健やかなご成長をお祝いされたことと思います。ゴールデンウィーク中の特別保育へのご協力もありがとうございました。日頃できない環境整備等を行うことが出来ました。また、コドモンにて磐田市からの新型コロナウイルス感染症についてのお知らせを配信(5/2)させて頂きましたように5月8日付けで、感染症の予防および感染症の患者に対する法律上5類感染症になりました。少しずつコロナ禍以前の日常の生活に戻りつつありますが、引き続き衛生管理を行いながら進めてまいりたいと思います。
 さて、当園ではキリスト教精神に基づいた教育・保育を行っています。こども園での生活の中で、あるひとときを特別な時として礼拝を守ることを大切にしています。週に一度、ぱんだ組(4歳児)きりん組(5歳児)合同で礼拝を守っています。子どもの生活の中からその時々に起こる出来事や自然界の不思議な出来事に出会った時、また喜びや悲しみなどに出会った時など、子どもの経験を織りまぜながら聖書の言葉に耳を傾ける機会としています。子どもたちにとって礼拝が楽しみな時間となるように、そして子どもと共にある保育者も喜びの時となることを大切にしています。そのため礼拝に向かう姿勢や態度は、子ども自らの気づきが得られるように支えながらゆっくりとその育ちを待ちます。いわゆる一般的な話を聞く時の姿勢や態度を保育者が「話を聞く時は相手の目を見ましょう。」「座る姿勢は背筋を伸ばして手はお膝です。」等と言葉だけで教えるのではなく保育者がモデルとなりながら子どもの育ちを信じて待ちます。教育・保育の中では、子どもたちにたくさんの情報を与えます。大事なことは、今、何をしようとしているのかをきちんと理解させてあげ、具体的な見本を見せることです。この時期の子どもは目からの情報を頼りにしていきます。そして子どもがもっとも安心するのは、自分の感覚である五感(視・聴・嗅・味・触)と関連させて保育を進めていくことです。一人ひとりの子どもの体験や知識を保育者が関りの中で把握しながら、そこを起点とし個々に応じて最後はとても大事なところへ連れていけるように関りや環境を考えていきます。時間を有することではありますが、こども自らが他者(友だちや保育者等)との関りの中で相手を尊重する気持ちを持って行動できるように体験を通して考えることが大切となります。礼拝では、中遠教会の牧師 兵藤辰也先生や私や主幹保育教諭、保育者等が話をします。先日、今年度はじめての牧師の礼拝が守られました。ぱんだ組(4歳児)の子どもたちの後ろに座って私も参加しました。はじめは少しそわそわしていた4歳児の子どもたちも牧師の話が始まると引き込まれるように集中していくのが後ろ姿からも感じとれました。礼拝に参加していた4歳児のAさんは、日頃から絵本やお話が大好きなお子様です。牧師の話が始まると自然と牧師の方へ自分の意識を集中させていきました。そのうち、話に引き込まれていったAさんが突然立ち上がって前のめりになって聞き始めました。お話の世界に入り込んでいる証です。思わず立ち上がってしまうほどに夢中になって聞いているAさんの姿を見て保育者も喜びを感じました。そしてAさんは話が終わると静かに席に座りました。Aさんの左右に座っていた他の子どもたちも牧師の話に集中していたためAさんが立ち上がったことに対して気にならなかったようです。
NPO法人国際臨床保育研究所 所長辻井正氏は、『保育の最大の目的は「自分のためにしっかり遊びなさい。」「自分のことを考えなさい。」と子どもたちに呼びかけることです。そして「そのために先生が助けてあげるからね。」と呼びかけること、これに尽きると思います。』と述べています。五感を使って心がわくわくしたAさんや周りの子どもたちの姿に保育者は喜びを感じながら見守りました。個々の子どもとの信頼関係を基本とした集団保育の中で、互いを尊重し合いながら子どもの自立や自尊を育んでいけるように丁寧に関わってまいりたいと思います。