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「 こどもの個性に導かれて 」

園長 平野春江
 夏はなんといっても水遊びのシーズン。暑い日、喜びの表情で水遊びに興じるこどもたちの声が園一杯に広がっています。水は、人間の心を開放させる秘密を持っているようです。プール開きでは暑い夏になったことを感謝し、この夏も健康で事故のないように祈りをもって始めました。水に対する気持ちは個人差が大きいですので、水を怖がるお子様には少しずつ慣れていけるように一人ひとりに応じた関わりを大切にしてまいりたいと思います。
 さて、私は時間のある時に出来る限り保育の様子を見にいくようにしています。先日は、約半日かけて各クラスのこどもたちの遊ぶ姿や生活する姿をビデオで撮影しました。撮影しながら幸福で胸が一杯になりました。どの年齢のこどもたちも自分の興味にしたがって、積極的に新しいものにチャレンジしたり、ひらめきや衝動、好奇心に動かされて能動的に環境(玩具や様々な素材等の物的なもの、友達や保育者等の人的なもの等)に関わっていく姿をたくさん見ることが出来ました。受動的(自ら進んで行うのではなく他からの働きかけによって行動するさま)ではなく能動的(自分から他へ働きかけるさま)だからこそ、集中時間の程度の差こそあれ全てのこどもたちの夢中になって遊ぶ姿や真剣な表情を見る事ができたのだと思います。その中のほんの一部ですがご紹介します。1 歳児のAさんは、蓋付きの容器に黄色と白色のチェーンを入れようとします。容器に対してチェーンの量が多くて蓋が閉まりません。蓋が少し浮いた状態で手を回して閉めようとしますが閉まりません。するともう一度チェーンを全部出して入れるところから始めます。もちろん先ほどと同様に蓋が閉まりません。それを繰り返していましたので、保育者が量を減らすために白色のチェーンだけを容器から出して蓋を閉めてみるように動作のみで提案しました。ところがAさんは首を大きく横に振り『全部を入れるんだ』と気持ちを表し挑戦を続けました。
 4 歳児のAさんとBさんは廃材を使ってガチャガチャ(お金を入れるとカプセルに入った玩具等が出てくる)を作ろうとしていました。まだまだハサミを巧みに扱えない二人ですが、イメージを共有し役割分担をしながら夢中になって作っていました。正直、何を作っているのか聞かないと判らないぐらいなのですが、完成した後の満ち足りた表情は最高に素敵でした。最後は「ごみを捨てなきゃね。」と後片付けも自ら行っていました。
 5 歳児クラスでは、お絵描き、構成遊び(ラキューなど)、知育遊び(カードゲーム)、あやとり等各々好きな遊びを楽しんでいる中、部屋の一角で数名の男の子が野球を楽しんでいました。自分達で考えて新聞紙でバットとボールを作ったようです。他で遊んでいる友達の邪魔にならないようにしながらもピッチャーとバッターを交代しながら生き生きと遊んでいました。他にもご紹介したいこどもたちの姿はたくさんあります。冒頭にも述べましたが、全てのこどもたちが能動的に夢中になって遊んでいました。こどもたちの中に興味をもっている姿、参加している姿、困難や不確実性に立ち向かい続けている姿、アイディアや感情を表現している姿、責任をとっている姿などが見られました。乳幼児期の学びとは、なにかを達成しなくても、ただ何かに興味を示した姿や、他者と関わっている姿や、なにかの活動に参加しようとしている姿も全てが学びなのです。保育者はこどもを信頼しながら見守り一人ひとりの興味・関心や成長発達を理解して関わりや環境を考え、こどもの自ら育とうとする力を引き出していくお手伝いをしております。『こどもの個性が私たちの仕事を導いていく』ことを大切にしながらこども主体の教育・保育を目指しております。神様の導きに安心を覚えつつ地域の方や保護者の方と共に一人ひとりのお子様の成長を見守ってまいりたいと思います。