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「遊びから」

園長 高木 智美
 雨上がりの水たまりに映る青い空、園庭の草花の葉についたしずくがきらきらと輝きこれから雨の多くなる季節ではありますが、自然が描く風景に癒されます。
先日、雨上がりのテラスで、濡れた床板と乾いたその境目を縫うようにたどったかわいらしい足跡が点々と繋がっているのを見つけました。自分の足元を覗きながら濡れた足跡を楽しむAさん。テラスの角に出来た大きな水たまりに目がとまったようです。タタッと駆け寄り座り込み、水面を覗いていました。そこにはどこからか飛ばされてきたのかプラスチック製の小さなカップがふわふわと浮かんでおり漂っています。Aさんの静かな眼差しに、何を感じているのかな?何に気が付いたのかな?と、私もわくわくしたように思います。風に寄せられ、Aさんの元へやって来たカップを拾い上げると、少し遠くへ投げました。ポチャっという音とともに再び風に寄せられては投げるを繰り返したAさん。後に、近くに置いてあった観察用の大きな飼育ケースを運び出すと、そっと水たまりへ入れ込みました。この飼育ケースもまたゆらゆらと浮かんでいます。その光景を見届けたAさんの表情はパッとなり笑顔を浮かべていました。さて…この後Aさんはどうしたでしょう。飼育ケースのふちを両手で持ち、慎重に中へ。船が出航するかのような勢いでした。しかし、お察しの通り重みで泥に食い込み浮かぶことも進むことも叶いませんでした。子どもは時に、大人には予想できないような行動や遊びをします。飼育ケースも本来の使用用途はもちろんあります。もし、そばにいる大人が使い方が違うよ。これはこうだから…と言って、子どもの手を止めてしまえばその遊びは生まれなかったかもしれません。Aさんのように最後は自分が乗り込んでみたらどうなるかまでの過程には、これはこうしたらどうなるのかな?やってみたらこうなったというたくさんの発見があり、思考をめぐらせていたことでしょう。発想から固定概念にとらわれない自由な遊びがこうして生まれるのだと感じます。探求心を膨らませ意欲的に遊ぶ姿、自分の考えや思いを遊びに表現するそれらは子ども達にとってとても魅力的なことで特別なものだと感じます。子どもたちが遊びに夢中になる姿は私たち大人もわくわくさせられるものがありますね。子どもは好奇心のかたまりであり、不思議に思ったこと気づいたことを確かめようとします。じっくりと遊んだり、思ったことをやりたい、やってみたいと夢中になる。おうちでのお子さんの姿に重なる場面もあるのではないでしょうか。興味の対象にじっくりと関わることや、思いを実現しようとすることを存分に発揮できる環境だったり、それらを納得できるまでやり遂げる時間を保障すること。私たち保育者が日々大切にしていることです。子どもたちの経験は多くのことを感じて学びとなります。子どもたちのやりたい、やってみたいの瞬間に出会ったら、今日の経験が明日へと繋がっていくといいなと願います。