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9月コラム「子どもの失敗を大切にする」

「子どもの失敗を大切にする」

戸外に出ればまだまだ汗ばむ季節でありますが、朝夕の虫の声が秋の訪れを教えてくれるようです。園の玄関にある棚の上でかぶと虫を飼育しているのですが、ある朝おばあちゃんと登園した2歳児のA君は、「ご飯ないなぁ…」とつぶやいたので、私が「気がついてくれてありがとう。A君ゼリーあげてくれる?」と声をかけると嬉しそうに、飼育ケースの中にエサを置いてくれました。かぶと虫がエサをすぐに食べないと「おなかすいてないのかな…」とつぶやき、おばあちゃんが「まだ、眠いのかもね」と優しく答えてくれていました。生き物に興味を持つことは、命の大切さを学び自分以外の周りのことを気にかけ、思いやりの心が育ちます。心温まる出来事でした。
 さて、先日浜松地区の聖隷保育園こども園の0、1歳児クラスの代表職員が勉強会を行いました。聖隷クリストファー大学の非常勤講師であり、聖隷保育園の職員でもある坪川紅美が講師となって、遊びや生活場面を通して発達する乳幼児の知的能力をどのように理解することができるか『構成論』を基に理論と実践の両方から学びました。ここでの内容を少し紹介させていただきます。ピアジェによる構成論とは、①考えることを通して子どもが知識を構成する。②一般にある教育観との違いは、知識は教えられて外から中へ入っていくのではなく、子ども自身が環境との相互作用を通して自ら作り出すと考えることにある。と言われています。勉強会の中で、1歳ぐらいのBちゃんが10センチぐらいに切った直径の異なる大小の2種類のホースをつなげようとしている動画を見ました。Bちゃんは、黙々と取り組んでいましたがなかなかうまくいきません。あきらめずに集中しているので、周りの大人も声をかけずに見守っているとスポンとつなげることができました。動画を見て、大人は子どもが困っているとついつい正しい答えや方法を教えたくなってしまいますが、子ども自身が考えて行動している時には「何を考えているのだろう、何をしようとしているのだろう」と自ら学ぶ力を信じ、物のとらえ方や感じ方を子どもの目線で理解していきたいと思いました。そして、遊びだけではなく生活の場面においても、うまくいかないことを経験しながらも子ども自身が考え、知的な関係付けが構成できるような環境づくりを援助していきたいと思いました。
 8月末に『卒業を祝う会』を感染予防対策をした上で行いました。中学生になった卒園児と保護者が集い、子どもたちが今頑張っていることや将来なりたい職業を報告したり、懐かしい写真やDVDを観たり、室内外で遊んで楽しいひと時を過ごしました。6年ぶりに会った職員と子どもたちの変わらない関係を見て、桜ヶ丘は卒園してからもいつでも子どもたちが戻ってこられる場所でありたいと思いました。