グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム

園長コラム

「 乗れた! 」

寒さが一段と身に染みる季節ですが、1階のテラスからは何やら子どもたちの楽しそうな声が聞こえてきます。「おぉー!」「触ってごらん。」「つめたいー」・・・氷です。絵本を見て、「やってみたい。」と自分たちで仕掛け、(明日はできるかな?)(この場所に置いたらどうかな?)などと毎日試行錯誤ですから、<実験>が成功した時の喜びもひとしおです。「今日の朝はすっごく寒かったから、氷、出来てるんじゃない?!」寒い朝を迎えることが喜びとなり、期待で胸を膨らます子どもたちから、たくさんの元気の源をもらうことができます。
 先日1歳児クラスにて、こんな場面を目にしました。子どもたちがそれぞれに好きな遊びを楽しめるようにと用意している室内家具とマットを組み合わせての滑り台。滑り降りるために、子どもたちはその家具を登ります。(家具は本来、登ってはいけない場所ですが、1歳児の子どもたちは特に、何かに登ることが大好き。この家具だけは、登ってもいいものになっています。)階段のようになっている場所から、上に登ることが一般的ですが、この日のAさんは違いました。ままごとコーナーにあるカゴを上下反対向きに置き、それを足掛けにして、違う場所から棚の上に登ろうとするのです。プラスチック製のカゴはAさんの体重で壊れてしまわないか、少しドキッとしましたが、Aさんのあまりの一生懸命さと、ある程度安定感があって問題なさそうなのとで、しばらくその様子を見守りました。カゴが台になり、またAさんの上半身の力で、1度目は登ることに成功。しかし、2度目はそんなにうまくはいきませんでした。必死に身体に力を入れますがあともう少しのところでずり落ちます。すると・・・Aさんはもう1つ、カゴを探して持ってきました。そしてそれを迷うことなく1つめのカゴの上に積み上げます。さて、その足掛けのカゴは、どのような状態になったか、想像がつくでしょうか?Aさんにとってはきっと、「カゴ1つ+カゴ1つ=高さ2」だったのではないかと思います。でもそのカゴは、収納に便利な重ねられるカゴだったのです。私から見ると、「1+1=1.1」ぐらいでした。それを足掛けに家具によじ登ります。しかしまた登れません。Aさんは再びカゴを探しに向かいます。次は「1+1+1=1.2」ぐらいになりました。そして・・・「のれれた!(乗れた)」それはそれは嬉しそうなAさんでした。
日々の何気ない生活や遊びの繰り返しの中で、子どもたちはたくさんのことを考え、学びます。 ジャン・ピアジェが唱える「人間は知識を外部から取り込むことによって獲得するのではなく、外界との相互作用を通して、内部から構成するのだ」という構成論の考え方に基づき、私たちは知識を教え込むのではなく、子どもが内部から構成できるよう、主体的な遊びの時間的・空間的保障と、そのための環境整備をしていきたいと思います。今月も園内の色々な場所で、子どもたちの自ら作り出す知識がたくさん生まれることを楽しみにしています。