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園長コラム

共に担う者

石川 綾乃
 涼やかな風に乗ってキンモクセイが香ります。晴れ渡る青空が清々しく一層秋の訪れを感じます。私は我が子と空を見ることが好きでした。特にこの季節の月が好きでした。学童から手をつないで帰った帰り道、寝る前のひと時等、何とも幸せな気持ちになったものです。今年は10月6日が十五夜です。お子様と月を見上げてみるのはいかがでしょうか。
 さて、先月は個人面談をありがとうございました。日頃なかなかゆっくりお話ができませんので、私も少し顔を出させていただきました。我が子の成長を嬉しそうに聞いて頷いていらっしゃる保護者の皆様を拝見し、同じようにお子様の持つ力の尊さを感じる時を持てたことに感謝いたしました。成長の過程では嬉しいことが圧倒的に多いのですが、心配や困り事も出てきます。保護者の方それぞれの今の心配事と向き合っている姿と、昔の自分(子育て中)と重なることも多かったです。私たち保育者は、それぞれの悩みに少しでも寄り添うことができたでしょうか。すぐに改善できるものではないですし、目に見えて現れるものでもありません。一緒に考えたことがはたして合っているのか…と不安や反省もありますが、保護者の皆様と園が一緒に考えることが大切だと私は思っています。面談後、「私の関わり方を変えてみたところ、少しですが変化が見られます。」「大人の時間に合わせるのではなく、子どもの生活リズムを考えるようにしました。」「夫婦で同じ対応をしてみます。」等、すぐに連絡ノートで知らせてくださる方が多く、嬉しく感じています。子育ては、算数のように答えがはっきりしておらず、また正解もわかりません。人として大切なことを伝えること、そしてその子がその子らしく自信を持って生きていくことを願うことが子育てにおいて大切だと考えます。この面談と同時期に、聖隷の保育園・こども園の聖隷合同研修会が行われました。【多様な子どもたちの発達支援】と題した藤原里美先生の講演をお聞きし、自身の保育を振り返る時を与えられました。「子どもを変えずにその子の周りの世界を変える。子どもの多様性を尊重する支援スタイル。」という言葉が印象的でした。また、遊びは【ひとり遊び⇒平行遊び⇒連合遊び】と遊びの発達段階が展開していくのですが、「その子の遊びを振り返る」ということに改めて気づかされました。自園は、個々の発達に合わせたクラス分け、子どもたちの選択肢を大切に、主体的に遊べる環境を整えていますが、自園で行っていることと具体的にお話してくださったことが重なり、私たちの保育に安堵しました。そして今一度、自園に持ち帰り頭を整理しました。「困った行動」とは何か…。落ち着きがない、ふざけすぎる、マイルールにこだわる等、「困った行動」と言われるものそれぞれにおいて、子どもを理解し大切にするとはどういうことかを忘れてはいないか。私は、その行動の背後にある子どもの心や背景、その行動に至る理由は何なのかを考えることができていたか。 子どもの視点でしか見えない世界に目を開き、何が本当に大切なのかを考えなければいけないと反省しました。すると、子ども特有の考え方や子どもが本当に必要としていることが改めて見えてきました。大人とは異なる世界を持つ子どもを知り、尊び、一人ひとりのニーズに合わせて関わっていく。それを保護者の方だけで担うのではなく、キリスト教という土台の上で、祈りと助けと協力の中で共に担っていく。私たちは時に深く落ち込むことがあります。でも共に担うことで、悩みや疲れを抱えた心がほぐれ、解決の糸口を見つけることができると信じています。親が親として、保育士が保育士として成長し、子どもも大人も共に育つ未来が開かれていくことができることを願い励みます。