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園長コラム

『 母の日によせて 』

石川 綾乃

新年度を迎え早いもので1カ月が経ちました。新しい環境にも保育者にも慣れて安心した表情を見せる子どもたちの姿に安堵する次第です。桜の季節が終わり、青葉輝く季節がやってきました。心地よい風の中、毎日の散歩が楽しみです。
先月の懇談会にはお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。全体会では全ての出会いに感謝申し上げ、自園の保育についてお話させていただきました。キリスト教の『隣人愛』を理念とし愛をもって子どもたちと共に歩んでいきたい、という思いや日々の保育について…。そして一人ひとりの「今」を大事にしながら大切なものをゆっくり積み重ねていきたい、とお伝えしました。その後、各クラスに分かれて、歳児別の発達や個々の4月の様子について、また、これから現れてくる姿や成長について担任からお話しました。
ご家庭からは子育ての悩みや大変さについてお聞きし、相談し合う機会としました。同じような悩みを共有する中で、自分だけではないのだと少しほっとしたり、その子らしさやその子のもつ素敵なところに気づいたりすることができたのではないでしょうか。お話も弾んでいましたので、これから送迎の際にお会いした時は保護者の方同士でお声かけができるとよいなと思っています。
さて、今月の第2日曜日は母の日です。アメリカのアンナ・ジャービスさんが、亡くなった母を想い追悼の会を開き、母の大好きな白いカーネーションを配ったことが母の日の由来と言われています。アンナの母は、病気で苦しんでいる人たちを助ける募金活動や病気予防のための食品検査等の活動をしていました。女性は社会的立場が弱い時代だったので、女性の奴隷制度の廃止、女性労働者の環境改善、子どもの保護、公衆衛生、社会保障等政治的にも働きかけた人です。この南北戦争時代に中立を保ち、「Mother's Friendship Day(母の友情の日)」と言う企画(南北双方の兵士や地域の人々を招き、お互いに敵意を持つことを止めさせようとするイベント)を行い、平和を願って献身的に働きました。(実は、彼女は10人のうち8人の子どもさんを戦争や病気で失っています。)アンナの母の追悼会後、全ての母親の社会に対する貢献を讃えて伝えられてきた母の日ですが、近年では母の日が商業化され、いつの間にか「母に感謝のプレゼントを贈る日」として定着しているように思います。19世紀の母親たちが行っていた「平和に対しての活動の日」としての風習はほとんど消えてしまいました。では、今を生きる私たちは何を伝えていけるとよいのでしょうか?このように平和について考えることはできてもなかなか行動にうつすことはできませんし、何を伝えたらよいかわからないのが本音です。でも母の日によせて、玄関に飾られている親子写真を見ながら「これは、誰のお母さんかな?」と語りかけます。すると、どの子も「〇〇のお母さん!」と指を差して教えてくれます。他にも讃美歌や童謡『おかあさん』の歌を歌い、「もうすぐ母の日だね」と繰り返し語りかけていると、何とも言えない穏やかな笑顔を見せてくれます。子どもの姿から教えられることの多さに改めて気づかされます。私は母の日にいつも想うことがあります。私に母をくださったこと、母親にしてもらえたことへの感謝です。今年は「お母さん、ありがとう」の感謝と共に、平和についても考えてみましたので、本当の意味での母の日を迎えられるのかも知れません。皆さんは母の日に何を想い、何を伝えたいですか?