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ホーム  > 園長コラム  > 職員同士が「語り合う」ときを ~ひとりひとりを大切にする保育~

職員同士が「語り合う」ときを
~ひとりひとりを大切にする保育~

2月に入り、明日は節分そして暦の上では立春を迎えます。早春の訪れを告げる河津桜も咲き始めましたね。
先日、園庭の菜園で取れた大根を使って、年長年中組の子どもたちが美味しいおでんを作りました。子どもたちが買い物に行き、ウインナーやちくわも加わりました。米のとぎ汁を使って、下茹でした大根の味は格別でした。
 
今、コロナ禍の中で、職員研修は外部研修も内部研修もリモートが中心になっています。リスク管理や保健衛生に関する研修、障がい児研修、マネジメント研修、新人研修等に参加しています。一方で、保育の質をあげるためには、集合研修も必要だと考えます。もちろん、3密を避け、ソーシャルディスタンスを意識し、マスクの着用と換気を徹底することは重要視しています。保育の実践課題について、職員同士で語り合う場を作り、本音で語り合える仲間として、また良きライバルとして、切磋琢磨していくことが大切だと考えています。
先日も職員会議の中で、保育の実践記録に基づき、事例検討会を行いました。
発題は、入職1年目のA職員からでした。
1歳児クラスの子どもたちを食事に誘う場面:1歳児のTくんは遊びに夢中になっていて「ご飯だよ」の呼びかけに反応せず、職員が抱っこで水道の所まで連れていき、手を洗わせて食卓へと向かわせる毎日でした。A職員は、このままではTくんのためにならない。どう対応したら、自分の意思で手洗いに行き食卓についてくれるだろうか。
 この発題から、参加者全員で考え合う時間を持ちました。職員からは、お料理を実際に見せて誘うとか大好きな友だちと一緒に誘いかけてみる等の色々な提案が出されました。さらに小グループで意見交換を行い、Tくんの心情も考え、Tくんへの関わり方はさらに深められていきました。

発題したA職員は、最後に、こう話しました。『「ご飯だよ」の呼びかけは、1歳児クラス全体の子どもたちに向けての言葉だと気づき、Tくんのそばまで行き、目を合わせて、「ご飯、食べよう」と誘いました。すると、Tくんはしばらく考えて、おもちゃを置き、手を洗って、食卓についてくれました。自分の意思で行動に移したTくんの姿に、子どもへの語り掛けの大切さを改めて気づかされました。』と。そして『今日の職員会議では、たくさんの学びがありました。先輩の先生たちからの提案は私が考えていなかったことばかりで、勉強になりました。子どもへの関わり方について様々な視点から意見を頂くことで、貴重な体験になりました。』と笑顔で語ってくれました。
子どもの行動を変えたいと思う時は、実は保育者側の行動(関わり)を変えることから始まるのです。子どもたちの最善の利益を考え、子どもの姿や保育を「語り合う」ことが、保育を振り返ることにつながり、より質の高い保育を構築できると考えています。外部研修や内部研修で得た知識を伝え合い、学び合い、保育の実践課題につなげ、保育の質をより高く、そして、より豊かな保育へと向かいたいと思います。
今回は、1年目の職員の保育の実践記録から、経験のある職員も初心に返り、学び合うことができる保育の奥深さを感じました。次回は、看護師(こども園とかるみあ)の実践記録から学びの時を持ちます。こうした積み重ねを継続し、子どもひとりひとりを大切にする保育・療育につなげたいと思います。

聖隷こうのとり富丘 園長 永島弘美