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新しい時代を生きる

風薫る5月。新緑が美しい季節を迎えました。
新年度を迎え、新しい保育室そして新しい担任との出会いから1ヶ月が経ちました。新入園の子どもたちに
とっても、こども園やかるみあで過ごすことが生活の一部になってくれたらいいなあと思います。
心地よい自然の中で、春をそして初夏を楽しみたいと思います。

先日、新聞記事の中に『デジタル化の落とし穴:期待が奪う精神的健康』のテーマで書かれた特集が目に留まりました。以下の「太字」はその内容の抜粋です。
「文部科学省は2021年度に無償でデジタル教科書を配布する実証事業を行い、その検証を経て、24年度から本格的に導入を目指すという。‐中略‐評判になっている『スマホ脳』はスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンの著作で、彼はスマートフォンが子どもたちに与えるとてつもない危険性について、警鐘を鳴らしている。‐中略‐明らかにこのことは、子どもの学力低下や自制心の低下、注意力の散漫につながっていると彼は言う。」
その中で私が興味深かったのは「なぜ我々は必要でもない情報を追いかけ、意味もなくグーグルを検索するのか。一体、何を求めているのだろうか。」という問いかけに、ハンセンは、「何かが起こるかもしれないという期待、つまり新しいものへの期待が、人間の脳内で快楽物質を増加させるのである。文明段階の低いうちには、この脳内の快楽を生み出す『報酬システム』は人間に新たな環境に向かわせ、文明の進歩を可能としたのであろう。今日、この『報酬システム』の典型はネット情報なのである。もしかしたら、何か新しいことがあるかもしれないという「期待」がわれわれをSNSやネットにくぎ付けにする。かくて、われわれはスマホ依存症になる。文明を高度化してきた新奇なものへの『報酬システム』が、今日、もはや文明の進歩を促すどころか、われわれから精神的な健康を奪い取っていく。」というのです。
ハンセンによれば、「スマホの普及とうつ病の急増には、強い相関があるらしい。また、英国では、いくつかの学校でスマホ所持を禁止したところ、確実に成績があがり、成績の格差が縮小した。」というのです。
新しい時代を生きていくためには、スマホに躍らされることなく、自分自身の目的意識と考える力をしっかりと養う必要性を感じています。そのためには幼少期から子ども自身の「やりたい」という主体的な気持ちに寄り添うことが重要です。幼い時から自分の身体と五感を働かせて生活し、自然や人やモノなどの環境と関わるリアルな体験を通して、心を動かされる生活を積み重ねていくことが必要なのです。そして、違う感性を持つ子ども同士の関わりの中で、様々な感情を味わい、人と関わる力を身につけてほしいと願っています。こども園とかるみあの子どもたちが共に生活し、様々な体験を共有する中で様々な人との関わりが生まれ、お互いの感性を磨き合う機会が与えられます。子どもたちが明るい未来を創造するために大人の私たちも考えていく必要があります。
聖隷こうのとり富丘 園長 永島 弘美