長時間労働者に対する医師による面接指導は、どのように行ったらよいでしょうか?
厚生労働省は、石綿健康診断および石綿健康管理手帳の対象者の見直しを行い、平成21年4月1日から施行されています。
主な内容は次のとおりです。
①過去に石綿などを製造し、または取扱う業務に従事し、健康診断で一定の所見(両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること。)が認められる場合や当該業務に一定の従事期間がある場合は、離職の際に、事業場所在地(離職後にあっては、申請者の住所地)の都道府県労働局に石綿に係る健康管理手帳(以下「石綿健康管理手帳」という。)の交付の申請をすることにより、石綿健康管理手帳が交付されます(労働安全衛生法第67条)。石綿健康管理手帳が交付された場合には、その後、無料で6ヵ月ごとに1回、定期に、健康診断を指定の医療機関で受けることができます。
なお、石綿健康管理手帳は、所属していた事業場が倒産などにより、今現在存在していなくても、申請することができます。
②石綿健康診断や石綿健康管理手帳の交付の対象業務については、従来、石綿などの製造または取扱いの業務(以下「直接業務」という。)に限られていましたが、専門家の調査などにより、当該業務の周辺で別の業務に従事していた労働者にも石綿のばく露に特徴的な所見である胸膜プラークや中皮腫その他の石綿関連疾患が認められることなどが指摘されました。今回の見直しでは、そのような、いわゆる「職業性間接ばく露」を受けた労働者も石綿健康管理手帳の交付の対象となりました。
③石綿健康管理手帳は、周辺業務に従事していた者であって、離職した労働者のうち、「両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること」を満たす者が、新たに交付の対象者となりました。
④周辺業務への一定の従事歴だけでは石綿健康管理手帳が交付されません。
直接業務については、石綿健康管理手帳の交付の要件の一つとして、直接業務の内容に応じた一定の従事歴が定められていますが、周辺業務については、直接業務の内容、作業環境、石綿の粉じんの発生源からの距離などにより、石綿の粉じんへのばく露量が大きく異なると考えられ、周辺業務にどの程度の期間従事することにより、石綿関連疾患を発症するリスクが上昇するかに関して疫学的な知見がないため、周辺業務への一定の従事歴を石綿健康管理手帳の交付の要件とはせず、石綿にばく露したことを示す客観的な指標である「両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること」を交付の要件としています。
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平成17年に労働安全衛生法が改正されて、長時間労働者の健康管理のための医師による面接指導が事業者の義務となりました。労働者数50人以上の事業場は平成18年4月から、労働者数50人未満の小規模事業場は平成20年4月から施行されました。
この制度は、平成18年3月に改められた「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(以下「新総合対策」という)と相まって運用されます。
なお、長時間労働者には、うつ病などを経て過労自殺に至るものもあることから、メンタルヘルス対策にも役立つものと期待されています。
主な内容は次のとおりです。
①過去に石綿などを製造し、または取扱う業務に従事し、健康診断で一定の所見(両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること。)が認められる場合や当該業務に一定の従事期間がある場合は、離職の際に、事業場所在地(離職後にあっては、申請者の住所地)の都道府県労働局に石綿に係る健康管理手帳(以下「石綿健康管理手帳」という。)の交付の申請をすることにより、石綿健康管理手帳が交付されます(労働安全衛生法第67条)。石綿健康管理手帳が交付された場合には、その後、無料で6ヵ月ごとに1回、定期に、健康診断を指定の医療機関で受けることができます。
なお、石綿健康管理手帳は、所属していた事業場が倒産などにより、今現在存在していなくても、申請することができます。
②石綿健康診断や石綿健康管理手帳の交付の対象業務については、従来、石綿などの製造または取扱いの業務(以下「直接業務」という。)に限られていましたが、専門家の調査などにより、当該業務の周辺で別の業務に従事していた労働者にも石綿のばく露に特徴的な所見である胸膜プラークや中皮腫その他の石綿関連疾患が認められることなどが指摘されました。今回の見直しでは、そのような、いわゆる「職業性間接ばく露」を受けた労働者も石綿健康管理手帳の交付の対象となりました。
③石綿健康管理手帳は、周辺業務に従事していた者であって、離職した労働者のうち、「両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること」を満たす者が、新たに交付の対象者となりました。
④周辺業務への一定の従事歴だけでは石綿健康管理手帳が交付されません。
直接業務については、石綿健康管理手帳の交付の要件の一つとして、直接業務の内容に応じた一定の従事歴が定められていますが、周辺業務については、直接業務の内容、作業環境、石綿の粉じんの発生源からの距離などにより、石綿の粉じんへのばく露量が大きく異なると考えられ、周辺業務にどの程度の期間従事することにより、石綿関連疾患を発症するリスクが上昇するかに関して疫学的な知見がないため、周辺業務への一定の従事歴を石綿健康管理手帳の交付の要件とはせず、石綿にばく露したことを示す客観的な指標である「両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること」を交付の要件としています。
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平成17年に労働安全衛生法が改正されて、長時間労働者の健康管理のための医師による面接指導が事業者の義務となりました。労働者数50人以上の事業場は平成18年4月から、労働者数50人未満の小規模事業場は平成20年4月から施行されました。
この制度は、平成18年3月に改められた「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(以下「新総合対策」という)と相まって運用されます。
なお、長時間労働者には、うつ病などを経て過労自殺に至るものもあることから、メンタルヘルス対策にも役立つものと期待されています。
表5 面接指導制度の具体的内容 | ||
項 目 | 内 容 | |
面接指導(義務) | 面接指導に準ずる措置(努力義務 | |
対象労働者 | ① 週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え | ① 長時間の労働により、疲労の蓄積が認められるか、または健康上の不安を有している労働者 |
かつ、疲労の蓄積が認められる労働者が「該当者」となる。 | ② そのほか、事業場において定められた「準ずる者」に該当する労働者 | |
② 産業医は、「該当者」に対して、面接指導の申出の勧奨を行う。 | ||
③ 面接指導の申出をした労働者(「準ずる者」を含む)が対象者となる。 | ~事業場で定める基準の例~ | |
a 週40時間を超える労働が1 月当たり80時間を超えた労働者 | ||
b 週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者で産業医が必要であると認めた者 | ||
実施事項 | ① 面接指導は、問診その他の方法により心身の状況を把握したうえで行う。 | ~面接指導に準ずる措置の例~ |
② 面接指導時には、対象労働者の勤務状況、疲労蓄積の状況、心身の状況を確認する。 | 対象労働者に係る作業環境、労働時間などの情報を産業医に提出し、事業者が産業医から助言指導を受ける。 | |
記録の保存 | 面接指導の結果の記録は5年間保存する。 | |
医師からの意見聴取 | 面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行う。 | |
事業者が行う措置 | 事業者は、医師の意見を勘案して、必要があると認める時は、次の措置を講じる。 | |
① その労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などを図る。 | ||
② 医師の意見を衛生委員会などに報告し、必要とされた対策を実施する。 |
<実施の手順>
医師による面接指導は、図1の流れ図に示された手順により行います。
このうち、「労働者からの申し出」に際しては『労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト』を、医師が面接指導を行う場合の問診に際しては『長時間労働者への面接指導チェックリスト』を、それぞれ活用すると効率よく面接指導を行うことができます。
医師が行う業務と事業者(人事労務担当部署)が行う業務の流れを理解し、協力と連携をしながら進めることが肝要です。
<過重労働による健康障害防止のための総合対策>
新総合対策における「過重労働による健康障害防止対策」の要点は次のとおりです。
○ 時間外・休日労働時間(1週間あたり実働40時間を超えた時間)が月45時間を超えている事業場は、労働時間管理、健康管理に必要な措置を講じる。
○ 主な労働時間・健康管理措置
① 産業医、衛生管理者などの選任と活動、衛生委員会などの設置と活動
② 健康診断の実施と医師からの意見聴取、事後措置、保健指導などの実施
③ 長時間労働者に対する医師による面接指導などの実施
④ 労働者数が50人未満の事業場は、必要に応じ地域産業保健センターの活用