グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > 神山潤氏の講演を前に ~自分にとっての「快」を知る~

神山潤氏の講演を前に ~自分にとっての「快」を知る~

初秋の候、鈴虫のリーンリーンと涼しげな鳴き声が園内に響きます。朝夕は涼しさを感じるようになりました。
今週の土曜日は、医学博士の神山潤氏をお招きして、講演会を予定しています。神山先生は、医学博士であり、日本睡眠学会理事を務め、睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組み、旭川、ロサンゼルスで睡眠の基礎的研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始したのです。眠りを中心とした生活リズムについて、具体的かつ興味深い内容で、楽しく聴くことができること、間違いなしです。どうぞ、お楽しみに。

今日は、私が保育教育の中で心にとめ、私自身が心惹かれている神山先生編集の本『四快のすすめ』の紹介です。その中で、子どもたちへの処方箋“自分にとっての「快」を知る”“身体の声を聞き、考える”の中で、「ポイントはリテラシー、つまり情報を使いこなす能力だ。各自が自らについて判断することが出来るようになることが重要だ。あなたに必要な睡眠時間はあなた自身が、自らの身体の声に耳を傾けることでしかわからない。ブログも新聞もケータイもあなたに必要な睡眠時間についての情報を提供してはくれない。教えられるのではなく、あなた自身が考え判断しなければならない。」と語ります。さらに
「大人が線路を引いては意味がない」の一節より抜粋  たしかに寝ること、食べること、排泄すること、運動することを評価することはある意味簡単にできよう。しかしこの運動の背景にあった思いは、元気で創造性に富み、常に未来への希望に胸を膨らませている子どもたちの笑顔が満ちあふれる社会の確率であったはずだ。しかし手段の目的化は、大人の自己満足のための方策にいつしかすり替えられ、子どもたちから考えることを奪ってしまう危険をわれわれは感じている。大切なのはリテラシー。そのために大人がすべきことは「指導」ではなく、見守りと大きくずれた時の軌道修正にすぎない。線路を引いてはダメなのだ。しかし、ともすれ線路を引きたがる。大切なことは子どもたち自身に線路を引いてもらうことだ。
「地球も自然、身体も自然」の一節より抜粋  ヒトはあくまで周期二四時間の地球で生かされている、寝て食べて出すことでしか活動できない動物なのだ。そして身体こそもっとも身近な自然だ。自らの身体を大切にできないで、地球や宇宙の自然を語るなど奢り(おごり)以外の何ものでもない。自然に対する恐れと謙虚さを人間は忘れるべきではない。この単純なことがなんと困難なことか。

神山先生編集のこの本は『子どもの「快眠・快食・快便・快動」取り戻す』のサブタイトルにあるように①眠りからみた子どもたち②子どもに食べる楽しみを③「食育」と生きる力④快としての排泄感覚⑤運動・遊びからみた子どもたち、そして結びは「親子の快」となっています。神山先生はもちろん著名な方たちがそれぞれの分野での専門性を活かして執筆して下さっています。私は、保育教育の原点がここにあると考えています。親が子どもたちに残していけるものは多くはないのです。原点に立ち返り、一緒に考える機会となればと思います。
聖隷こうのとり富丘 施設長 永島 弘美