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豊かな自然体験を通して

色とりどりの紫陽花に、梅雨の訪れを感じる季節となりました。天気や自然の移り変わりに、日々季節の変化を感じている子どもたちです。
 5月はとても気候の良い季節の中、自然とたくさん関わりながら過ごすことができました。園庭の植え込みでは汗びっしょりになりながら、ダンゴムシ探しに夢中の子どもたち。3歳児クラスでは、「ダンゴムシはどんなご飯をたべるのかな?」と様々なエサを用意して、観察しています。畑ではじゃがいもが大きく育ち、子どもたちの手でたくさん収穫することができました。堀りたてのじゃがいもは、早速保育の中でクッキングをし、茹でたての匂いや温かさ、ホクホクした食感に食欲が刺激されてみんなでおいしくいただくことができました。また、給食で提供されたそら豆は、保育・療育の中で子どもたちがさやむきを行いました。3.4.5歳児クラスとかるみあ(そら・にじ)の子どもたちはテラスで一緒にさやをむきました。固く厚いさやをむくと、中からふわふわのベッドに包まれた可愛いそら豆が出てきます。青臭いそら豆の匂いに顔をしかめる子もいますが、つるつるした小さなそら豆が見えると嬉しくて、夢中でむいていた子どもたちです。2歳児クラスの子どもたちも、クラスでそら豆のさやむきを体験しました。こども園の年長クラスは、バスに乗って『田植え』に出かけました。田んぼに張られた冷たい水と泥の感触、田んぼの匂い…。最初は少し抵抗がある子も見られましたが、慣れてくるとだんだん大胆になり、全身ドロドロになりながら満面の笑顔が見られ、良い体験ができました。
『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿』の一つに、『自然との関わり・生命尊重』があります。乳幼児期に身近な自然と触れ合うことで子どもたちは「何かな?」と興味関心の幅を広げ、「どうしてかな?」と好奇心・探求心が刺激されることで、「やってみたい!見てみたい!」という意欲へとつながっていきます。
さて、こども園の玄関で飼育していたあおむしが7匹全てサナギになり、6月1日時点で4匹が羽化しアゲハ蝶になりました。この4匹の羽化したアゲハ蝶ですが、実は4匹中1匹しか空に飛び立っていくことができませんでした。1匹目のアゲハ蝶はきれいに羽が開き、幼児クラスの子どもたちに見送られて青空へと飛び立っていくことができましたが、2匹目、3匹目、4匹目と続けて羽が伸びきる前に飼育ケースの下に落ちてしまい、きれいに羽を開くことができませんでした。きれいなアゲハ蝶になった喜びと、飛び立てなくてかわいそうという気持ちが入り混じりながら、「なんで飛べないの?」「がんばれー!」と一生懸命飛ばしてあげようとする子どもたち。あおむしの頃から毎日飼育ケースを覗き込み、可愛がってきたあおむしでしたので、「ポーンってジャンプさせて(投げて)あげれば飛べるんじゃない?」「高いところにおいてあげればいいんじゃない?」(折れた羽を見て)「指で伸ばしてあげれば飛べるかも!」と何とか飛ばせてあげたい!という強い思いが伺えました。それでも、羽が上手に開かなかったアゲハ蝶は、私たち保育者にはどうしてあげることもできません。子どもたちと相談して、蜜が吸えるように…と花のそばにとまらせてあげたり、高い場所にとまらせてあげたりと、自然に返すことにしました。飛ぶことはできませんでしたが、掌の上を歩くアゲハ蝶と間近で触れ合い、観察し、「蜜を吸う口がくるくるしてる!」「目があるね!」「かわいい!」「くすぐったい!」と一生懸命羽をはばたかせるアゲハ蝶に愛情を感じているようでした。
豊かな自然体験は、人間の力の及ばない「自然」の偉大さや美しさ、不思議さを通して、心を動かされる(感動する)実体験やいのちの尊さを感じる体験へとつながります。神さまが与えてくださった豊かな自然に目を向け、今後も豊かな自然体験を保障できる保育環境を整えていきたいと思います。
園長 二村郁枝