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ホーム  > 園長コラム  > 共に味わう ~“おいしい”の共有~

共に味わう ~“おいしい”の共有~

暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続いています。お天気の良い日には暖かい日差しの中、頬や鼻を赤らめながらテラスや園庭で体を動かして遊んでいる子どもたち。冷え込む朝には、前日から園庭やテラスに水を張っておいたカップを確認しに走り、「氷できてるかな?」とそーっと指で触ってみます。寒くてつらい朝も、子どもたちにとってはわくわくする、楽しい朝ですね。
 さて、先日、たんぽぽ組(1歳児)からのクッキングへのお誘いを受け、保育室へ遊びに行った時のことです。
その日、たんぽぽ組ではもち米とうるち米を使ったお煎餅づくりを子どもたちと行っていました。保育室に入ると、お醤油の少し焦げた良い匂いが漂ってきます。「ここ、どうぞ」と隣の席に案内をしてくれたAくんとBくんの間に入れてもらい並んで座っていると、「どうぞ」と出来立てのお煎餅をCちゃんが運んできてくれました。子どもたちはもう食べた後だったようですが、お煎餅が運ばれる様子を見て、「おいしかった!」「もっと食べたい~」「おかわり頂戴!」と賑やかです。私が「ありがとう。いただきます。」と声をかけて食べようとすると、一瞬で静かになり、口へ運ぶ様子をジーっと見ている子どもたち。もっと食べたい子どもたちの視線を受けながら一口食べてみると、お醤油の香りとお米の甘みが口にひろがります。給食前のおなかがすく時間だったことと、出来立ての温かさも加わり、自然と「おいしい!」と一言発していました。それを聞いて隣に座っていたAくんとBくんは身を乗り出して「おいしい?」「(もっと)たべな」と嬉しそうににこにこしながら、残りのお煎餅を食べるように勧めてくれました。
 今回使用したもち米は、さくら組(年長)の子どもたちが1年かけて田んぼで育てたもち米です。さくら組が育てて、脱穀、籾摺りをしたもち米を、子どもたちがたんぽぽ組まで届けてくれてクッキングを行いました。前日にもち米を洗って水に浸しておくところから保育の中で行い、準備から子どもたちも一緒に参加しており、とても楽しみにしていたクッキング。当日は出来上がったお煎餅のおいしさに、「もっと食べたい!」とおかわりを求める声がたくさんあがりましたが、それとあわせて、事務所へおすそ分けに行きたい!と何人かの子どもたちが手をあげて届けてくれました。
 園で取り組んでいる食育では、目標の中の一つに「一緒に食べたい人がいる子ども」を皆で育てることをあげています。クッキングでは、食事作りや準備に関わることで、食材への理解や関心を深めたり、五感を使って旬の食材を味わったりする機会とするというねらいもあり、いつもは食べない苦手な野菜を口にする機会となることもあります。いろんな食材をバランスよく食べてほしい、必要量食べてほしい等、様々な願いももちろんありますが、それ以上に、大好きな家族や友達、先生等、誰かと一緒に食べることで、楽しくておいしい「幸せな食事」の経験を積み重ねていって欲しいと考えます。一緒に作った出来立ての食事を大好きな人と分けあって「おいしいね」と共感できる瞬間には、どんなご馳走もかないませんね。
 園で提供している給食のおすすめレシピはホームページや給食だよりでご紹介しております。また、子どもたちと保育の中で行ったクッキングのレシピもご家庭に発信できるよう準備をしております。年長児が育てたもち米を使ったお煎餅レシピも準備しておりますので、ぜひご家庭でもお子さんと一緒に楽しんで、おいしい幸せな時間を共に過ごしていただけましたら幸いです。
園長 二村 郁枝