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「なかなおり」

 朝夕肌寒くなり秋らしい気候になりました。吹く風も涼しく、園庭や散歩に出て体を動かしたり、じっくりと虫や花を探したり…。外遊びの気持ちよさを全身で感じている子どもたちです。こども園の幼児クラスでは『おひさまひろば』に向けて、跳び箱や鉄棒、玉入れやリレー等にも挑戦しています。今後、日々子どもたちが取り組んでいる運動遊びから当日の競技を子どもたちと相談していきます。活動の様子やドキュメンテーション(掲示)で様子をお伝えしていきますので、保護者の皆様も当日までの保育を一緒にお楽しみいただけましたら幸いです。
9 月 5 日(金)には施設で防災訓練を行いました。今回の防災訓練では、子どもたちが、実際に地震が起きた時のことをよりイメージできるよう、地震発生の合図(放送)と同時に、廊下やホール等の避難経路に、ガレキに見立てた新聞やウレタンブロック(大型積み木)を置いてみました。また、地震発生に伴い電気や水道も使えない想定で、室内は薄暗く、いつもとは異なる園の様子に緊迫した面持ちで真剣に避難する様子が見られました。こども園では、引き渡し訓練にて、保護者の方にもご参加いただきました。ご協力ありがとうございました。
さて、先日 4 歳児クラスの A 君と B 君が担任と一緒に事務所にやってきました。話を聞くと、ホールでの運動遊び中、鉄棒を並んで待っているときに A 君の手を B 君が踏んでしまい、それに怒った B 君が A 君の手を噛んでしまったとのこと。二人は気持ちがおさまらず、担任を間に挟んで大きな声でお互いの主張を続けています。担任は保育に戻らなくてはいませんので、二人が落ち着くまで事務所で過ごすことにしました。
こちらに向かって一生懸命自分の主張をする二人ですが、仲裁したい気持ちをグッと抑え、『二人で話し合い』をしてもらうよう私のデスク横のベンチを提供し、そっと見守ることにしました。最初はこちらに視線を向けながら大人に話を聞いてもらおうとする二人でしたが、気持ちを伝えなくてはいけないのは相手(A 君にとって B 君、B 君にとって A 君)だとわかると、お互いの顔を見て話し始めました。しばらくすると自然に“交代に話をする”“左側にいる人が話す”という決まりができたようで、席を交代しながら話を進めます。
そっと話を聞いていると、A 君は「手を踏まれて嫌だったよ」「悲しい気持ち」とトラブルになってしまったことで感じた自分の気持ちを伝えています。一方 B 君は「A 君がここ(指)を噛んだ!こうやって!」「ここ(指)をやったんだよ!わかる?」と起きた事柄を一生懸命伝えています。大人が聞くとお互いの主張が行き来しすれ違い、話し合いは進んでいないように聞こえますが、しばらくすると二人の顔には笑顔がこぼれ、お互いの痛かった部分を冷やし合いながら「仲直りした!」と報告してくれました。「仲直りしたら教えてね」と始めた話し合い。「ごめんね」「いいよ」の言葉がなくても、A 君も B 君も納得できる話し合いだったようです。大人が善悪を決めたり、「ごめんね」と言わせてしまったりする方が早く仲直りでき、簡単かもしれません。しかし、お互いに納得して心から仲直りできる(許し合える)ことでトラブルが起こる前よりも相手のことをより理解し、より強い絆を作ることができるのだと感じます。友達との関わる機会が増えるほど、意見や思いのぶつかり合いからトラブルへとつながることが増えていくこともあります。このトラブルを貴重な学びの機会、成長の機会とできるよう、大人の見守りの中で、子どもたち自身が乗り越え、解決していくことができる力を育んでいきたいと思います。そして、ケンカをしても許し合える、また楽しく仲よく遊
べる“大切な仲間”の存在を感じていってほしいと思います。
園長 二村 郁枝