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ホーム > Ⅴ全身症状  >  A.発熱

A.発熱

(難しいことが多いですが)可能な限り感染を除外してください。

これまでに発熱のために緩和ケアチームに紹介された患者の熱原です。

・胸部CT(肺炎)
・腹部CT(肝膿瘍・骨盤内膿瘍・腸腰筋膿瘍・消化管穿孔など)
・体表四肢(リンパ浮腫後の蜂巣織炎など)
・心音・心エコー(心内膜炎)
・尿路(腎盂腎炎・陰嚢膿瘍・精巣上体炎)
・血培(敗血症)
・血液検査・神経所見・MRI(髄膜炎)
・CT(副鼻腔炎)

癌性疼痛でオピオイドが投与されていたり、全身の反応が低下していることが多いので、腹膜炎でも腹部がsoftであったり、focalな感染徴候がないことも多いので注意してください。

感染源の検査は当科の役割と考えませんので、主科での対応をお願いします。(適宜、感染症内科にコンサルト)


腫瘍熱

1.感染フォーカスが同定できない。
2.発熱が定期的にあり自然に解熱するが全身状態が良い。
3.悪寒・戦慄を伴わない。
4.CRPが慢性的に5~10である。

上記の場合には、腫瘍熱の可能性は高いと思います。
(明確な診断基準はありません。腫瘍熱+感染症を否定するものではありません)。

●腫瘍熱と考える場合、定型的にはナイキサン400~600mg 分2~3を定期投与することが勧められています。これで12~24時間後から丸1日を通して解熱すれば腫瘍熱と診断します(ナイキサンテスト)。ナイキサンで有効でない場合、他の解熱作用のあるNSAIDs(ボルタレン25m×3、ロキソプロフェン3T)に変更することが有効な時があります(根拠はありません。モービックは、解熱効果があまりありません。ロキソプロフェンは半減期が短いので切れている時間に発熱してしまうことが多いので腫瘍熱の治療には不向きです。)、前回投与されているNSAIDsがある程度有効なら、NSAIDsに加えてアセトアミノフェン2.4~4.0g 分3~4を併用するという選択肢があります。

●食思不振・倦怠感など悪液質による症状があり、感染が否定的であれば少量のステロイド(ベタメタゾン2~4mg)を投与する事も症状レベルでは勧められます。しかし、(特に感染が完全に否定できない場合や数カ月以上にわたる生命予後を期待する場合)1カ月以上の投与になる場合には、消化性潰瘍、血糖異常、ムーンフェイス、精神症状(不眠、せん妄、抑うつ)、カンジダ性口内炎、結核などのステロイドによる合併症を生じるリスクを許容できるかどうかを総合的に判断することになると思います。ステロイド投与中に発熱が再発した場合、不顕性の感染が顕性化した可能性が高いので、抗生物質の併用と菌の同定が必要になります。

PPIの併用

NSAIDs、ステロイドのいずれにおいても、PPIの併用を勧めます。


処方例
・ナイキサン4~6T 分2~3
・ベタメタゾン2~4mg朝