患者の権利と義務

「患者の権利と義務」に関する宣言

患者の権利

  1. 患者は、自らの意思で医療機関および医師を選ぶ権利を持っている。
  2. 患者は、十分な説明を受けた後で、自らの意思で検査や治療方法を決定する権利を持っている。
  3. 患者は、医療従事者が患者について知りえたすべての情報が保護される権利を持っている。
  4. 患者は、いかなる状況にあっても人格的に扱われ尊厳をもってその生を全うする権利を持っている。
  5. 患者は、その社会的経済的地位・国籍・人種・宗教・年齢・性別・病気の種類等によって差別されることなく、良質な医療を受ける権利を持っている。
  6. 患者は、医療費の明細、医療費の公的援助に関する情報を含む、自らの診療に関する情報を知る権利を持っている。
  7. 患者は、意識がない、あるいは判断能力を欠く場合であっても他の患者と同等の権利が保証されるよう、代諾者に決定を委ねる権利を持っている。
  8. 患者は、疾病の予防及び早期発見についての手法や保健サービスの利用等を含めた、健康教育を受ける権利を持っている。

患者の義務

  1. 患者には、自らの過去の病歴を含む健康に関する詳細な情報、診療中の変化を正確に伝える義務がある。
  2. 患者には、治療や検査などの診療方針について、自らの希望があればそれを明らかにし、医療者から方針の説明があった場合には、十分理解することに努めた上で、出来るだけ明確な意思表示をする義務がある。
  3. 患者には、医療が安全かつ効果的に実施されるよう、患者確認を含めた診療行為に積極的に参加する義務がある。
  4. 患者には、病院内では、当院の規則および公共の場のルールを守って他者の迷惑にならないように行動する義務がある。
  5. 患者には、医療費の支払い請求を受けたときには、速やかに支払う義務がある。
  6. 患者には、医療に医学、社会、経済、倫理等の様々な要因により限界があることを認識する義務がある。
歴史的に、医療において患者の権利が顧みられない時代があり、まず患者の権利を明確にすることが必要と考えられました。当院では1992年に「患者の権利」に関する宣言を定め、患者の権利の尊重を病院の方針としました。
しかし、本来医療は、患者と医療従事者とが協働し、結果として個々の患者にとって最善の医療サービスが提供されることが目標となるべきものです。患者の権利を尊重することを前提として、患者の果たすべき義務を明確にすることが、さらによい医療の実践につながるものと考え、その主旨を反映すべく「患者の権利」に関する宣言を改定することとしました。
患者が医学および倫理の面から現実の医療で実行可能な範囲を知り、その中から自らの意思で方針を選択されたとき、われわれ医療従事者は、その期待に応えるための努力を惜しむことなく、医療サービスを提供します。
2012年4月1日 院長

こどもの権利

当院では、ユニセフの定める子どもの権利条約に基づいて、こどもの権利を尊重します。

こどもの権利

わたしたちは、あなたたちこどもみんなの命が守られ、元気に成長できるように、ここにある約束を大切にします。
  1. ひとりの人として大切にされます。
  2. あなたにとって一番よいと考えられる診療を受けることができます。
  3. 病気や治療について、わかりやすく説明を受けることができます。
  4. わからないことや心配なことを病院の人に聞いたり、意見や気持ちを話すことができます。
  5. 病院でもできる限り家族と過ごすことができます。
  6. 他の人に知られたくないことは守られます。
  7. 病院にいても遊んだり、勉強することができます。
あなたに守ってほしいこと
からだや気持ちのことをできるだけくわしく病院の人たちに教えてください。わからないことや不安なことがあるときは、いつでもご家族や病院の人たちに聞いてください。また、みんなと気持ちよく過ごすために病院の約束を守って下さい。

こどもの権利[PDF:233.4KB]

こどもの権利(大人の皆さんへ)

こどもの権利は“すべてのこども”を対象に考えられていますが、こどもに関わるすべての大人もまたこどもの権利を理解し行動することが必要です。こどもの権利に関して大人がとるべき姿勢を別に示しました。条文に含まれる様々な事柄や状況を説明したり、一緒に考えたり、意思表明が難しい場合はその子の考えや気持ちを代わりに伝えたりするときの参考として下さい。
  1. ひとりの人として大切にされます。
    すべての大人は、こどもや親の国籍、性、病気や障がいの有無、経済状況など、どのような理由でも差別することなく、こどもがひとりの人間としてできるかぎり平等に幸福でいられるように考えなければなりません。
  2. あなたにとって一番よいと考えられる診療を受けることができます。
    すべての大人は、こどもがいつでもその子らしく、健やかでいられるように、病気になることを予防し、病気のときには子どもが安心できる環境を整えた上で、適切な治療を行わなければなりません。
  3. 病気や治療について、わかりやすく説明を受けることができます。
    こどもは、年齢に関わらず、自分が受ける治療やケアについて自分なりの気持ちや考えを持っています。すべての大人は、「必要なことだからしかたない」「説明しても子どもにはわからない」等と決めつけるのではなく、こどもの年齢や発達段階に応じてできるだけ分かりやすく情報を提供しなければなりません。
  4. わからないことや心配なことを病院の人に聞いたり、意見や気持ちを話すことができます。
    すべての大人は子どもが気持ちや意見を表明しやすいようにしなければなりません。そして、治療やケアの方針を決めるときには、こどもが表明した気持ちや意見を一番大事なものとして考えていくことが必要です。また、こどもが、説明や結果に納得できなかったり、理解できなかったりしたときは、再度 こども自身の意思や意見を聞き、話し合う機会をつくるなど、こどもの意見表明支援のプロセスを守らなければなりません。
  5. 病院でもできる限り家族と過ごすことができます。
    すべての大人は、こどもが安心して医療を受けることができるように、こどもが希望すれば、そのこどもの親、またはそれに代わる人と一緒に過ごせるように配慮をしなければなりません。
  6. 他の人に知られたくないことは守られます。
    すべての大人は、こどもの病気や治療について情報を共有することが必要になった時、こどもの診療によって得られる情報がこどものものであることを理解して、こどもの状況に応じて、その 理由を説明しこどもに確認しなければなりません。
  7. 病院にいても遊んだり、勉強することができます。
    すべての大人は、こどもの病気や障がいなどの有無に関わらず、遊びや学びの場所や機会、適切なレクリエーションや適度な休憩など、こどもの年齢や状況にあわせた生活を保障しなければなりません。これらは、入院中や、災害などの避難所などにおいても、例外ではありません。

こどもの権利(大人の皆さんへ)[PDF:203KB]

インフォームド・コンセント

当院では、すべての医療において「インフォームドコンセント(説明と同意)」を大切にしています。

インフォームドコンセントとは、医師をはじめとする医療スタッフが、患者さんに対して現在の病状や必要な検査・治療、その効果や副作用、他の選択肢、治療を受けない場合の見通しなどを丁寧にご説明し、十分にご理解いただいた上で、患者さんご自身の意思で医療方針を選択していただくプロセスのことです。

私たちは、患者さん一人一人の意思と価値観を尊重し、納得して治療を受けていただくことを最も大切にしています。
説明の内容に分かりにくい点があった場合や、不安なことがある場合は、いつでも遠慮なくお尋ねください。患者さんと医療者が信頼関係を築くことが、より良い医療につながると私たちは考えています。