B.高カルシウム血症
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Overview
「オピオイドを始めてはきけがする」「ボーっとする」の原因が、高カルシウム血症のことがしばしばあります。
悪性腫瘍に高頻度に合併します。症状が食思不振、嘔気、傾眠、精神症状、便秘など、オピオイドや全身衰弱と紛らわしいので定期的に採血しないと臨床症状では分からないことがよくあります。診断的には、PTH-rPとインタクトPTHを提出ください。
インタクトPTH | PTH-rP | |
---|---|---|
↑ | - | 原発性副甲状腺機能亢進症 |
↓ | ↑ | 腫瘍関連性高カルシウム血症 |
↓ | - | 脱水 |
標準的治療薬で初回投与では70%<の有効性。しかし、60~80%は1~3週間後に再発し、2回目での有効率は60%。2回目を生じた人は80%以上の確率で3回目を生じて、3回目の有効率は30%以下です。つまり、高カルシウム血症があること自体、予後が数カ月以内になっている可能性を高めます。骨転移がある方が予後は良い(内分泌要因の方が悪い)です。
初期治療
原疾患の治療
Bisphosphonate製剤
ゾレドロン酸4mg(少なくとも1週間の投与間隔をおく)
長期のビスホスホネートの投与で下顎骨壊死が起こることが報告されているので、ルーチンで歯科スクリーニングを行ってください。
エルシトニン
すでに症状のある場合は、80IU+生食100mL静注 毎日を5~10日間ビスホスホネートに併用します。
エスケープ現象を生じると考えられているので、長期投与は有効性が落ちます。
補液
細胞外液補充のため、生食1~2Lと適時ラシックスが古典的です。
終末期では、2L以上になると心不全リスクを伴ないますので、やや少なめの投与で十分かと思います。
治療抵抗性の場合
ビスホスホネート製剤の変更と増量
明確なエビデンスはありません。
プレドニン30~40mgの併用
エビデンスはありませんが、高サイトカイン血症:IL6=(CRP)高値の場合は有効だといわれています。