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浦安愛光園「無資格・未経験者育成プログラム~働き続けられる仕組みを~」

「無資格・未経験者育成プログラム」の取り組み

浦安高洲地区は2020年度にフィールドイノベーション(現場の革新)プロジェクトを発足し、課題の一つとして、無資格・未経験者に特化した育成システムを構築する取り組みを浦安高洲地区人材育成チーム※1で行った。同じ新人でも、専門学校卒業生とは専門知識の量に違いがあるため、それを短期間で補うべく通信教育の受講とOJT※2を組み合わせ、100時間プログラムを作成、運用を開始した。その結果、現在2020年11月採用者はユニットの早番・遅番業務を一人で行い、夜勤業務に向けて着実に成長しており、また2020年1月採用の無資格・未経験者も追加でこのプログラムを履修することで、介護テクニカルラダー※3のレベル1の認定を受けることができた。このプログラムを通し、異分野から介護を志してくれた無資格・未経験の方にも安心して介護の専門職としてのキャリアをスタートしてもらう環境が整った。


浦安愛光園「無資格・未経験者育成プログラム」とSDGsとの関連性

「無資格・未経験者育成プログラム」と関連するSDGsの目標は…
「3.すべての人に健康と福祉を」
「8.働きがいも経済成長も」
「11.住み続けられるまちづくりを」
「17.パートナーシップで目標を達成しよう」

①この取り組みを行うきっかけは?

藤松:周りの職員から、「無資格・未経験者は意欲的に取り組んでくれているが、専門学校卒者とは、専門知識の面ではやはり差がでてしまう」という声を聞いており、無資格・未経験者の育成を支援するプログラムがないという課題を感じていました。介護の専門学校卒者や経験者の職員とは分けて育てていかなければと。
ありがたいことに社会的に介護の仕事への注目度が高まるにつれ、無資格・未経験者の入職者も増えており、私たちも歓迎しています。こういった方たちに長く安心して働いていただくためにも、無資格・未経験者に特化した育成プログラムをつくろうと思いました。

中村:私も就職を機に初めて介護の世界に飛び込みました。学生時代は別の分野を学んでいたのですが、家族の介護をした時にお礼を言われたのが嬉しく、仕事にしたいと思いました。でも、入職時は覚えることが多くて…手探り状態でわからないことが多かったです。

②無資格・未経験者育成プログラムの具体的な構成はどうなっていますか?

OFF-JTは、20分程度の動画を午前に2、3本視聴し学習。1人1台タブレットが貸し出されるので集中できる。
※撮影時のみマスク等を外しています

藤松:無資格・未経験者プログラムは3か月で構成しています。1か月目は半日を動画視聴のOFF-JT※4、もう半日を現場でのOJTです。2、3か月目は基本的に現場でのOJTで、2週間に一度復習の時間を設けて理解できていない部分や不安なことなどを確認できるようになっています。あとは毎月職場長の面談も行って評価をしています。また介護観を育んでほしいという考えから利用者体験を導入しました。

中村:利用者体験では実際にユニット※5内で過ごしてみたり、オムツやパッドをつけて就寝して排せつもしてみたりもしました。食事介助も受ける側になって、思ったより食べづらいなと感じました。介護に対して当初イメージしていたのは「とにかく優しくして何でもやってあげる仕事」だと思っていましたが、利用者の人権や権利を尊重し、自立に向けた介護を行っていくのだということを研修を通して理解できたと思います。

③教材となる動画はどうやって選びましたか?

藤松:最近はいろんな動画教材があるので、色々探してみました。自分たちで作ろうかという意見もありましたが、先行して職員研修用として導入していた浜北愛光園の教材が、無資格・未経験の最初のステップである介護職員の初任者研修に準ずる内容を網羅した動画を使っていたので、同じものを導入することに決めました。

④プログラム内容(100時間研修)を実施してみてどうでしたか?

午前の動画での学びを元に午後は先輩の介助の様子をみて学ぶ。
※撮影時のみマスク等を外しています

中村:教材の動画と、先輩からいただいた資料を照らして勉強しました。午後のOJTでは、午前の学びを元に、自分なりの学びの軸をおいて取り組むことができました。始めはわからないことばかりでしたが、理論と実践の両方が学べ、前向きに取り組めました。

中村:私が受講した当時は、プログラムの試行期間だったため、2週間に一度の復習の時間がまだ設けられていなかったので、忙しい先輩方になかなか質問することができず、困ったこともありました。でも、今は復習の時間が設けられ、質問しやすい体制が整っているので、受講している側はとても助かると思います。

藤松:実施後のアンケートでは、「業務の中で学びながら働けるので、安心して取り組めた」「もっと学びたい」との声があり、好感触でした。

⑤この取り組みにより得られた効果は?

藤松:無資格・未経験者のため知識、経験ゼロからのスタートですが、まずOFF-JTの動画視聴で知識を得ることができ、その後OFF-JTで学んだことをOJTで実践することで更に理解度が高まるという効果がありました。
また以前はOFF-JTがなかったため、その分指導する時間も必要でしたし、指導する人によって若干教える内容が異なってしまっていたという問題もありました。指導する職員からも一から教えなくていいので効率的にプログラムを進められるという声もありました。

⑥育成プログラムの課題は?

安心して介護の専門職としてのキャリアがスタートできます。
※撮影時のみマスク等を外しています

藤松: OJTは、その日のユニット勤務者が指導者となります。指導側には、無資格・未経験者がプログラムを通して成長したところを見つけて認めてほしい。プログラムで今何を学んでいるかを把握してもらうため、事前に学習資料を渡しましたが、「量が多くて見きれない」という声を聞くこともありました。指導者に、無資格・未経験者が何を学んでいるかを把握してもらうことで、午後のOJTがより有意義なものになると思うので、各職場でこの意図を理解してもらえるよう、プロジェクトメンバーで検討を進めていきたいです。

藤松:また、動画で学習するのと、実際に介護をする現実とのギャップはどうしても起こってしまいます。その時に周りの職員がどう関わっていくかが大切だと思っています。このプログラムの一番の目的は「無資格・未経験者が働き続けられる組織の構築」なので、ただ学ぶだけではなく一人ひとりの特徴に合わせフォローができることが重要だと思います。

⑦浦安愛光園を利用者・職員にとってさらに良い施設にしていくためにどう発展させていきたいですか?

藤松:プログラムや利用者体験を通して知識や技術だけではなく、仕事に対するやりがいや利用者への想いなど各職員の介護観を育んでいきたいと思っています。そうすることで自ずとケアの質が上がり、利用者のQOL※6も向上すると考えています。
またコロナ禍では、利用者のためにも感染対策が最も重要だと思っています。これからは感染対策がスタンダードという考えを基に利用者のQOLを向上させるために何ができるのかを常にチームで考えていきたいです。プログラムによって施設全体がレベルアップしていくよう、これからも改善を進めていきます。
※1:浦安高洲地区人材育成チーム
浦安高洲地区にある浦安市特別養護老人ホーム、浦安愛光園、浦安ベテルホームの各係長3名で構成されている。

※2:OJT
On the Job Trainingの略称で、仕事中、仕事遂行を通して訓練をすること。

※3介護テクニカルラダー
介護職個々人の介護の実践能力を客観的に評価し、人材育成や人材活用につなげようとするシステムである。

※4:OFF-JT
Off-the-Job Trainingの略称で、日常の仕事を通じて教育を行うOJTに対し、職場や通常の業務から離れ、特別に時間や場所を取って行う教育・学習をさす。

※5:ユニット
介護施設における部屋の形態のひとつ。特徴は利用者のプライバシーが守られる「個室」と、他の利用者やスタッフと交流するための「居間(共同生活室)」を有すること。利用者10人前後を一つの「ユニット」とし、より在宅に近い環境で利用者一人ひとりの個性や生活リズムを尊重した暮らしをサポートできる。

※6:QOL
Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略称で、日本語では「生活の質」などと訳され「生きがい」や「満足度」という意味。

浦安愛光園 施設概要

所在地〒279-0023 千葉県浦安市高洲9-3-2
電話番号047-700-6600FAX047-700-6665
開設日2006年4月定員・定床数74名
施設種別特別養護老人ホームホームページこちらをご覧ください


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