脳卒中科

メッセージ

脳卒中は日本の死亡原因 第4位で、3分に1人が発症し、100人に1人が罹患する頻度の高い疾患です。また脳は一度壊れると元に戻らないため、認知機能障害や運動障害などの後遺症を残し、生活の質を低下させます。これを防ぐ上で最も大切なのは脳卒中を予防することです。そのために脳卒中を起こしやすい疾患・病態の有無を検討し、問題があれば生活指導、治療を行う必要があります。
次に重要なことは、不幸にして脳卒中を発症してしまったら、できるだけ早く適切な治療、リハビリテーションを行い、機能障害を最小限にくい止めることです。そのために、血栓溶解療法、血栓回収などの急性期治療に取り組んでいます。
危険因子のコントロールによる脳卒中の発症・再発予防効果は、脳卒中の薬物治療によるそれを上回るものであることがいくつかの大規模研究で明らかになっており、脳卒中の急性期治療だけでなく、発症・再発予防の重要性が指摘されています。地域全体でリスクコントロールに取り組む必要があり、当科では地域の先生方と協力してリスクの評価、コントロールシステムを構築し、地域の脳卒中減少に少しでも貢献できればと考えています。
部長 本間 一成

主な対象疾患

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血

専門的な治療・活動の紹介

脳梗塞は、動脈が詰まり、その先に血液が行かなくなることで生じる病気です。動脈硬化で血管が細くなることで生じるアテローム血栓性脳梗塞、穿通枝と呼ばれる細い血管が閉塞することで生じるラクナ梗塞、不整脈などにより心臓から血栓が飛んで動脈が詰まる心原性脳塞栓症があります。それ以外に、血管が裂ける脳動脈解離、癌に伴う血液のバランスの崩れなど、さまざまな理由で起こります。しかし、一般的に脳梗塞の1/4の方は原因が不明とされています。原因が不明の方の中には、卵円孔開存症といわれる心臓に小さな穴があったり、心房細動といわれる不整脈が隠れていることが原因である可能性がいわれています。脳卒中科ではこれらの原因を調べるために、経食道心エコー検査と呼ばれる特殊な超音波検査や、心房細動を見つけるために、埋め込み型心電図記録計の埋め込みを行ったりしています。