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西田部長のコラム集

西田部長のコラム集

10/12 第5話 タバコについて

 最近タバコの価格が、どんどん値上げされています。
 ご存じのように大部分が税金の値上げによるものですが、これには皆さんが以外と知らない、きちんとした理由があります。
タバコが有害であることは、皆さんもご存じと思います。
厚生労働省の報告でも、脳卒中、心臓病、肺疾患など多数の病気や、各種がんの原因となっており、タバコを吸わない方への受動喫煙も問題になっています。
 税金をたくさん取られて、と文句を言いたい気持ちも分かりますが、タバコは前記のようにたくさんの病気の原因になっているため、厚生労働省は年間1兆2000億円の医療費が、タバコのためによけいにかかっていると推測しています。
 一方でタバコ税からの収入は、2016年は1兆556億円でした。そのためさらに税金が上がる可能性があります。また海外でも多数の研究報告があり、税金を上げると喫煙者が減り、結果的に国民の寿命が延びる、という結果も複数出ているため、税金を上げざるを得ないのです。
 欧米では30年以上も前から、タバコに関する上記の問題が議論されていて、様々な努力の結果、喫煙者が減っています(海外のタバコは、とても買いたくなくなるようなパッケージにしないと、売れないように規制されています。インターネットなどで参照できますので、ぜひご覧になって下さい)。日本は先進国の中で喫煙率が高い国ですので、今後さらに規制が厳しくなる見込みです。
 また、最近よく受ける質問で、電子タバコや非燃焼・加熱式タバコはどうか、というものがありますが、肺の専門医の学会である日本呼吸器学会が「普通のタバコと比べて害が少ないという証拠はない」と勧告を出しています。そのため普通のタバコと同様に考え、勧められないというのが現在の考えです。
いずれにしてもご自身や周囲のご家族の健康を考えて、なるべくがんばって禁煙して頂くことをお勧めします。

11/22 第4話 糖尿病について

 糖尿病はよく聞く病気だと思います。平成28年の厚生労働省の統計では、糖尿病および予備軍は約1000万人と推計され、うち3/4程度が治療を受けている、とされています。一般に多い2型糖尿病では、血糖が上昇していても症状がない場合が多く、知らないうちに動脈硬化が進行しがちです。そのため網膜症、腎障害、神経障害などの合併症や脳卒中、心筋梗塞などの大血管疾患などが起こってから分かることもしばしばです。糖尿病患者は、糖尿病でない方と比較すると上記の合併症などで、寿命が短くなる傾向にあり、学会の治療指針でも血糖を管理することによって合併症を予防し、糖尿病でない方と同様に長生き出来るよう目指す、ということが目標となっています。
 上記のように糖尿病は症状がない場合が多いですが、非常に怖い病気です。健診や病院を受診などで血液検査を行わないと、診断が出来ません。健康に自信がある方も、年1回の健診を受けましょう。また健診で糖尿病もしくはその疑いと言われた場合、早めに病院を受診して下さい。タバコは動脈硬化に著しい影響を及ぼし、合併症の危険性が非常に高まりますので、禁煙が強く勧められます。
 お薬やインスリンなどの治療は、糖尿病において大事な治療ですが、糖尿病だからといって必ずしもお薬が必要とは限りません。お薬の治療を受けている方も、お薬を飲むだけでなく、食事の摂取カロリーなどに気をつける必要があるのは当然です。まずは自分の状態を把握することが重要で、かかりつけ医とよく相談を行っていきましょう。

1/31 第3話 冠動脈疾患について

今回は狭心症、心筋梗塞など虚血性疾患についてです。

虚血性心疾患は、心臓自身に血液を送る血管(冠動脈と言います)が狭窄し、十分血液を送れなくなる病気を言い、その中でも、心筋(心臓の筋肉)が壊死してしまうのが「心筋梗塞」です。

心筋梗塞では致死性不整脈を起こして命に関わる場合や、心筋がダメージを受けて心不全になる場合があり、非常に怖い病気です。

血管系疾患では、元々日本人には脳卒中が多く、心臓病は少なかったのですが、ここ最近の食生活の変化で、虚血性心疾患が増加傾向にあると考えられています。

現在は全国ほとんどの救急病院で、緊急の心臓カテーテル治療が行える体制になっているため、心筋梗塞の患者さんは増えているに関わらず、その死亡率は改善しています。
しかし、一方で心筋梗塞は心臓突然死の主な原因ともなっており、病院に到着する前に亡くなる方が多いのも特徴です。

最近ではAED(自動体外式除細動器)も普及していますが、病気が発症してから治療するのはとても大変です。
そのため予防が非常に大事で、効果的でもあります。

日本のガイドラインでの、心筋梗塞の「要注意」ポイントは、①年齢(男性45歳以上、女性55歳以上)、②家族歴(両親や兄弟などの心臓病)、③タバコ、④高脂血症、⑤高血圧症、⑥糖尿病、⑦肥満、⑧メタボリックシンドローム(いわゆるメタボ)などとなっています。

特に複数が重なっている方は要注意ですので、検診などでチェックされたら、ぜひ病院を受診の上、担当医に相談することをお勧めします。

10/21 第2話 ピロリ菌について(2)

ピロリ菌のお話の続きです。

胃カメラの検査で、「慢性胃炎」という所見を認めることがよくありますが、この胃炎は長年ピロリ菌が胃に住んでいることによって起こるもので、ピロリ菌感染と非常に高い関係があります。そのため胃カメラを受けていただくと、ピロリ菌がいそうかどうかすぐに分かってしまいます。最近ではピロリ菌が胃癌の元になっている、といわれていますが、それ以上に関係が深いのが潰瘍です。現在では、胃カメラで潰瘍と診断された方の場合、ピロリ菌を調べて退治してしまうと、潰瘍も非常に良くなり、再発も極端に減ります。潰瘍の方はピロリ菌退治(除菌と言います)を強くおすすめします。
慢性胃炎のみの方でも、現在では癌発生予防の目的で、除菌を受けることが、保険で認められています。

ただ「ピロリ菌がいるとみんな癌になる」というのはやや言い過ぎで、癌の発生には、食生活や喫煙、飲酒、年齢、環境、体質などいろいろな要素が関わっています。
一般的には除菌を受けると、その後胃癌の発生リスクが多少下げられる、と考えられていますが、除菌は基本的に一生に一度受ければいいので、ピロリ菌陽性の方は除菌を受けてしまうのがよいでしょう。

内科外来までご相談下さい。

10/11 第1話 ピロリ菌について(1)

内科の西田です。今回から少しずつ、市民の皆さんに役立つ情報を、伝えていきたいと思います。最初は私の専門の、胃腸に関するお話からです。
「ピロリ菌」という名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、病気の原因になる菌だとか、持っている人はたくさんいる、など、簡単な情報のみご存じの方が多いと思います。ピロリ菌は1982年に、オーストラリアの医師が、人間の胃に菌が住んでいる、と報告したのが始まりです。胃の中は、強力な酸でご飯を消化している場所なので、そんな過酷なところに細菌が住んでいる、とは誰も信じませんでした。そこでその先生は、自らピロリ菌を飲んで、自分の胃に胃炎を起こして証明した、という有名な研究があります。
最近ではさらにいろいろ分かっており、ピロリ菌は世界中に存在して、普段は自然の土や水に住んでいること、主に小さいころ(日本では2~3歳までが多いとされています)に胃の中に入り込んでしまい、ずっと住み着く「保菌」の状態になることが判明しています。
日本人では、特に50歳以上の方に、保菌者が多いのが特徴で、長年菌がいることによって、胃に非常に弱い炎症を起こし、「慢性胃炎」の状態となります。ただ、胃の働きには全く影響がないので、ほとんどの方が無症状です。