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血栓回収療法


脳梗塞は脳の動脈が閉塞し、その潅流領域の脳細胞が死んでしまった状態です。一度死んだ脳細胞を再生させることは現在の医学では困難で、多くの後遺症をもたらす病気です。しかし動脈閉塞から脳梗塞が完成するまでに少し時間を要するため、その間に閉塞を解除することで劇的な症状の改善が期待できます。(一般的には数時間で脳梗塞は完成しますが、それぞれの患者さんの状態によって違いがあります)[図1]

[図1]

そのための治療である血栓溶解療法は2005年に認可されました。脳梗塞発症時に腕などの静脈から血栓(血の塊)を溶かす薬剤を点滴で全身投与する方法で、脳梗塞急性期において高い有効性が報告されています。一方、カテーテルといわれる細い管を動脈内に挿入し治療する方法を血管内治療と言います。具体的には、カテーテルを閉塞血管に誘導し選択的に血栓を溶かす薬を投与する方法や、風船付きのカテーテルで閉塞血管の血栓を破砕することが行われていました。これらの治療法は以前から行われておりましたが、明確な有効性は認められておりませんでした。

[図2]

しかし、2010年に血栓を回収できるカテーテルの道具(デバイスと言います)が認可されました。その後回収デバイスのさらなる進歩により、高い再開通率が得られるようになり[図2]、2015年に血栓回収療法の有効性を示す5つの多施設共同研究が海外で発表されました。血栓溶解療法では血栓量が多い、大きな血管閉塞では、再開通が得られづらいことも報告されておりましたが、血栓回収療法ではそれらの血管閉塞でも高い有効性が示されております。血栓回収療法は世界中で急速に普及してきておりますが、点滴で簡便に投与できる血栓溶解療法と違い、血栓回収療法はカテーテルに対する専門的な知識・技術が必要となります。当院ではカテーテルの治療を専門とする脳神経血管内治療専門医が複数名在籍しており、24時間いつでも迅速に治療可能な体制を確立しております。また、これらの体制が構築されたことで、血栓回収療法の治療数は県内有数となっております。

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