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腹部大動脈瘤のステントグラフト治療



腹部大動脈瘤とは?

腹部大動脈瘤とは腹部大動脈の壁が膨らんでできたこぶ(瘤)のことです。
大動脈は心臓から体の各器官に酸素で満たされた血液を運ぶ、体内で最も太い血管であり、胸部から腹部へとのびており、腹部で腸骨動脈に分岐し、脚に向かって血液を運びます。
動脈瘤とは、動脈が弱くなった部分、つまり血流から受ける力を保持できなくなった部分が結果として形成する風船様のこぶです。動脈瘤は体のどの部分の動脈にも発生する可能性がありますが、腹部大動脈と腸骨動脈に比較的多くでき、それぞれ腹部大動脈瘤、腸骨動脈瘤と呼びます。動脈瘤には自覚症状がないのがふつうです。人間ドックなどの健診や、他の病気の検査でたまたまみつかるケースがほとんどです。
腹部大動脈の太さは20mm前後ですが、こぶとなって膨れることにより動脈の壁が薄く弱くなります。通常の3倍程度以上に拡大すると破裂の危険があると言われています。破裂してしまった場合、緊急手術が必要となりますが、手術ができず致命的となってしまう事も少なくありません。

腹部大動脈瘤の治療法

腹部大動脈瘤の大きさや形態、患者さんの全身的な健康状態により、動脈瘤をどのように治療していくかが決定されます。
発見された時点で動脈瘤が小さい場合には、医師は動脈瘤を観察するための定期的な検診を行います。しかし、既に直径50mm前後以上の大きな動脈瘤や、定期的な検査で急速に拡大していることがわかった場合など、破裂のリスクが高い動脈瘤は、治療が必要となります。動脈瘤は薬では良くなりません。
治療法には、次の2つの選択肢があります。開腹手術治療またはカテーテル治療です。

1. 人工血管置換術(開腹手術治療)

人工血管置換術は腹部大動脈瘤の伝統的な選択肢です。
これは、医師が患者さんの腹部または側腹部を切開して疾患部位(動脈瘤)を人工血管で置換し、縫合糸で縫合することによって大動脈を修復する術式です。安全性が確立されている確実な治療法であり、手術で命に関わる危険性は1%以下と言われています。
しかし、非常にご高齢な方や、他に大きな病気(心筋梗塞、脳梗塞、肺気腫など)のある方や、以前腹部の手術を受けられたことのある方では、危険性が高くなります。

2. ステントグラフト内挿術(カテーテル治療)

ステントグラフト内挿術は腹部大動脈瘤の治療としては比較的新しい術式です。
開腹手術と異なり、腹部を大きく切開することなく治療することができるので、患者さんへの負担が少なく、ご高齢の方や他に病気のある方でも安全に行うことができます。
この方法は、両側の脚の付け根から動脈にカテーテルを挿入し、動脈瘤の内側にステントグラフト[ 人工血管(グラフト)に針金状の金属を編んだ金網(ステント)を合わせたもの ]を配置し、新しい血流路を確保することにより動脈瘤を血流から遮断するものです。

治療後の定期的な検診

術後の定期検診のため、通常1ヶ月・6ヶ月・その後1年毎に受診するように勧められます。医師に勧められた通りの検診が非常に重要です。
術後検診では、通常のX線、CTによる検査及び診断が行われます。またその他、血液検査や超音波、MRIが行われることもあります。これらの検査により、治療の効果を確認します。もし異常が発見された場合は、追加の治療を行うこともあります。

大動脈瘤の治療を勧められた場合

大動脈瘤の治療を勧められた場合、開腹手術を行うべきか、あるいはステントグラフト治療に適しているかどうかは、詳細な検査の結果に基づいて、専門的に判断する必要があります。治療をご希望の方は、当院、循環器センター『心臓血管外科』にご相談ください。
その際には、紹介状を持参してくださることをお勧めいたします。


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