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心不全のチーム医療


「心不全」の原因となる病気はさまざまです。主に高血圧、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、弁膜症(大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症など)、不整脈、心筋症や心筋炎、先天性心疾患(生まれつきの心臓の病気)などが挙げられます。普段は薬を飲んで、食事や生活に注意することで特に症状はありませんが、過労や暴飲暴食、風邪などの感染やストレスなどで心臓に負担がかかり、心臓のポンプの機能が悪くなってしまい「心不全」の状態になります。

心不全は良くなったり悪くなったりを繰り返して進行する病気ですが、普段の生活、食事や運動習慣などによって余命が変わることも多く、患者さん自身が自分の病気について理解し、実践することが大切です。このため、医師だけでなく、さまざまな職種で患者さんをサポートするようにしています。

心不全の原因になるさまざまな病気の中でも、多くの職種でサポートした方がよい病気について、更に以下の5つのチームに分かれて診療にあたっています。
当センターでは、医師・看護師・薬剤師・臨床工学技士・理学療法士・管理栄養士など多くの職種で協力して、患者さんにとってベストな治療ができるよう「チーム医療」を推進しております。診療科や職種の枠を超えて、チームメンバーが気軽に意見しやすい環境で、日々患者さんがどうすればより良くなるかを議論しています

ACHD(成人先天性心疾患)診療チーム

生まれつきの心臓の病気を「先天性心疾患」と言いますが、最近の手術や治療の飛躍的な向上によって約90%が大人になるようになりました。現在は成人に達した先天性心疾患患者は国内で50万人を超えると言われています。大人になった先天性心疾患を「成人先天性心疾患(Adult congenital heart disease:ACHD)」と呼びます。以前は小児科の心臓の専門の医師(小児循環器科)が大人になってもずっと診療していましたが、大人になると大人特有の病気にかかることなどから、大人になった先天性心疾患の患者さんを成人の心臓の専門の医師(循環器内科)が一緒に診たほうがよいということが認識されるようになりました。このように子供から大人への「橋渡し」のための医療を「移行医療」と呼びます。また、子供の頃に手術をしてもらってほとんど症状がなくても、手術をしてから数十年後に問題が起きることがあり、時にはもう一度手術が必要になることもあります。また、ACHD患者さんが妊娠・出産などのライフイベントにおいて慎重に管理する必要があることも多く、産科の先生との連携も重要となります。
当院は、ACHD患者さんの診療を行うための診療体制を整備した病院(*)として認定されており、ACHD患者さんの診療に関して、小児循環器科医・循環器内科医・心臓血管外科医・産科医・病棟看護師・外来看護師・理学療法士・薬剤師などの多職種で、月に2回1時間程度のカンファレンスを行なっております。小児科から成人循環器科への移行患者さんの情報の共有を行うとともに、外来ACHD患者さんの妊娠・出産、手術、カテーテル治療などさまざまなライフイベントに関して、意見を出し合って検討しております。緊急で話し合う必要がある場合は臨時でカンファレンスを開催し、産科・周産期科や外科、肝臓内科の先生にも来ていただき意見を共有しております。チームメンバーの知識向上のため、2ヶ月に1回小児循環器科の先生からミニレクチャーを受けたり、また院外から講師を招いて講演会を開催しております。

主な活動内容

  • 月に2回の多職種カンファレンスで患者さんについて話し合い、情報共有をしています。
  • 緊急で話し合う必要が生じた場合には、臨時カンファレンスを行います。
  • それぞれの専門分野の知識の共有のためのミニレクチャーを行っています。
  • 年数回は、院内での勉強会や院外から講師を招いた講演会などを開催しています。

重症心不全治療チーム

急性心筋梗塞や重症心不全(心不全を繰り返していた人が急激に悪くなる状態)、劇症型心筋炎などで心原性ショック(自分の心臓だけでは循環が維持できないような状態)に陥った場合、心臓の代わりとなるような機械(補助循環デバイスと言い、IMPELLA・ECMO・IABPなどさまざまな種類があります。)を使うことがあります。このような機械で治療が必要な時は、通常の治療よりも多くの職種の医療スタッフが関わる必要があるため、重症心不全治療チームとして定期的に集まって情報共有し、治療の選択に関しても話し合いながら決定していきます。
心原性ショックの患者さんが発生した際には、循環器内科医・心臓血管外科医・ICU看護師・理学療法士・臨床工学技士・薬剤師など多職種で、毎朝8時半からカンファレンスを行なっており、補助循環デバイスの適応や管理について話し合っております。また後日カンファレンスで診療科・職種の枠を超えて、診療内容を振り返ることでチーム力向上につなげています。

主な活動内容

  • 補助循環デバイス治療が必要になった患者さんがいる時に、毎朝8時半からチームでカンファレンスを行います。
  • それぞれの補助循環デバイスについての勉強会を行っています。
  • 振り返りカンファレンスを行い、診療科・職種の枠を超えて、診療内容を振り返っております。

心不全サポートチーム

心不全は悪くなったり良くなったりを繰り返して進行する病気です。心不全が悪化すると入院治療が必要になり、さらに悪化するとちょっとした負担で心不全になって、年に何度も心不全を繰り返すようになります。治療だけでなく患者さんの症状を和らげ、一人ひとりのQOL(quality of life:生活の質)をあげて、その人らしく生きられるように医療者がサポートする必要があります。当院では、心不全を繰り返す患者さんに関するさまざまな側面に関して、循環器内科医・病棟看護師・外来看護師・退院支援看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士など多職種で、月に2回月曜日に1時間程度のカンファレンスを行ない、多職種でサポートしております。また市内の他の医療機関の医療者とともにディスカッション形式の勉強会を開催し、どの患者さんも一人でも多くの方が地域社会に社会復帰してもらえるよう活動しております。また院内の緩和ケアサポートチームとも連携し、オピオイドを用いて重症患者さんの呼吸困難などの症状を緩和し、倫理・精神面でもサポートできるようチーム介入を行なっております。

主な活動内容

  • 心不全を繰り返す患者さんに関して、月に2回多職種でチームカンファレンスを行い、治療方針や倫理面をサポートしております。
  • 院内緩和ケアチームと連携して、オピオイドを用いて呼吸困難などの症状を緩和しております。
  • せん妄チームと連携し、せん妄の患者さんのサポートをしております。
  • 退院支援看護師と連携し、退院後の心不全患者さんが安心して療養生活が送れるようにサポートします。
  • 院内・院外に心不全の疾患理解を深めるため、定期的に勉強会を開催しております。
  • 心不全患者さんに関する地域の連携を深めるため、心不全地域連携クリニカルパスの作成を予定しております。

TAVIハートチーム

当院は、2014年3月から「大動脈弁狭窄症」の新しい治療法である「経カテーテル的大動脈弁置換術・TAVI(タビ)」の認定施設(全国で24院目、静岡県内では初)となり、2014年4月から実際の治療を開始し、これまで100例を超えるTAVI治療を行なって来ました。TAVIが検討される大動脈弁狭窄症の患者さんに関して、循環器内科医・麻酔科医・心臓血管外科医・臨床工学技士・手術室看護師・放射線技師など多職種でカンファレンスを行い、循環器内科と心臓血管外科の協同で実際の診療を行なっております。

主な活動内容

  • TAVIが検討される場合、循環器内科・心臓血管外科をはじめ多職種でハートチームカンファレンスを行い、適応を検討します。
  • TAVI当日に再度、多職種で治療前カンファレンスを行い、申し合わせ事項を確認して、実際の治療を行っております。
  • TAVI治療の理解を広めるため、院内・院外に向けて定期的に勉強会・講演会を開催しております。

不整脈デバイスチーム

心不全を起こす患者さんの中でペースメーカをはじめとした植え込み型デバイスを必要とする患者さんの数は年々増加しています。近年では多くのデバイスで遠隔モニタリングが可能となっており、遠隔モニタリングは診療の効率化を図りながらより詳細にペースメーカのデータを確認・分析するために有用です。遠隔モニタリングに関して、当院でも本邦導入当初から積極的に取り組んでいます。遠隔モニタリングは標準的治療であり、当院でも全例の導入に向けて日々取り組んでいます。以前はリード損傷や電池寿命の確認を目的として活用していましたが、現在は心不全悪化の早期発見、心房細動の早期発見などの疾患管理を主として活用しています。当院でもデバイス情報を介した新しい病診連携・病病連携を目指してチームで活動しています。

主な活動内容

  • 遠隔モニタリングの全例導入に向けて環境整備を行っております。
  • 遠隔アラートメールの確認とSOPシートを作成しています。
  • かかりつけ医への情報提供を行っております。
  • デバイスに関する勉強会を開催しています。

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