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脊椎最少侵襲手術(MISt)


せぼね骨腫瘍科は、せぼねのあらゆる疾患に対して、オーダーメイドの治療を目指します。佐々木・石井・渡辺(脳外科)が全脊椎脊髄疾患に対して、顕微鏡、Hybrid手術室を用いて高度な手術をより安全に行なっています。
せぼねの構造と役割について
体の中心であるせぼねは、頭を支える頸椎(くび)、肋骨と胸郭を作り、肺や心臓を守る胸椎(むね)、上半身と骨盤をつなぎ支える腰椎(こし)、骨盤の一部である仙骨からできています。

その役割は主に、
  1. 体を支える支柱
  2. 体の知覚や運動をつかさどる神経(脊髄、馬尾)の通り道です。
脊椎の疾患はその2つに異常を来したときに起こり、
  1. 体や手足の痛み
  2. 手足のしびれ
  3. 麻痺(運動障害)
などの症状を引き起こします。

性別にみた有訴者率の上位5症状

平成25年度の国民生活基礎調査においても、腰痛、肩こり、関節の痛みなどのせぼねと関連ある項目の有愁訴率から“せぼね”の疾患が日本人の健康を阻害していることが分かります。また、腰痛や肩こり、手足のしびれは仕事の不調や生活の質に直接かかわってきますので、当センターでは、そういった症状を改善するという目的を掲げています。

(平成25年国民生活基礎調査 厚生労働省)

症状について

せぼねの疾患によって生命の危険にさらされることはそう多くありませんが、痛いことや歩けないこと、動けないことは生活の質を大きく下げます。場合によっては、寝たきりになったり、引きこもったり、仕事に不都合を生じるなどの障害が起こります。そのため、その治療は必要不可欠と考えます。
しかし、せぼねの手術は危険で、入院/リハビリが長くかかると思いがちです。

治療について

そういった社会復帰を手伝いたいとの思いの中でどうしても必要となった治療が小侵襲手術です。
その特徴は、図に示すように、従来の手術の延長であるため、少なくとも従来の手術と同等以上の効果が見込めます。
その上で、出血が少ない、傷が小さいというのは体に負担が小さく、圧倒的に合併症が少ない手術となります。
また、それにより、入院期間は短縮され、1-2週間以内で仕事に復帰できるなどのメリットもあります。
これらのことより、最小侵襲手術はせぼねの治療にとって必要不可欠と考えます。

脊椎小侵襲手術の原理

すり鉢型
従来の手術

トランペット型
顕微鏡や内視鏡、特殊な道具を使って、
脊椎に近い位置から見ることで、トランペット状に手術を行う

頸部(くび)の最小侵襲手術

日本人の頸椎は欧米人に比べて神経の通り道が若干狭く(Murone:J Bone Joint Surg Br 1974)、頸椎で脊髄が圧迫される脊髄症や神経根症になることが多いといわれています。

脊髄症や神経根症になると、
  1. 首から手にかけての痛みや痺れ・知覚過敏
  2. 手が使いにくい・足がもつれる
  3. 握力がなくなる・手足の感覚がなくなる・転倒する・歩きにくい
などの症状がでて、場合によっては麻痺となることもあるため、早急に治療が必要です。
しかし、従来の手術では傷の大きさが10㎝程度と大きく、髪の毛を切る、首のカラー(コルセット)を付けるなどが必要とされ、長期の入院や痛みによる生活障害があり、首の手術はやめておいたほうがいいなどといわれていました。

頸椎(けいつい)
(引用:Medtronic Centerpiece)

2014年4月より「頸椎最小侵襲椎弓形成術」を開始し、2~4㎝程度の傷で治療ができるようになったため、数日の入院で済み、通常の手術では髪の毛を切ることやカラー(コルセット)をつけることもありません。
また、基本となる手術は1978年に発表された方法で(平林:手術1978)、頸椎の脊柱管(脊髄の通り道)全体を広げるため、長期の成績も安定しているので、再手術などの心配も少ない手術です。

従来の手術
(髪の付着部にあたる)

最小侵襲手術
(髪の付着部に当たらない)

腰椎(こし)の最小侵襲手術

腰椎は長年の使い過ぎやヘルニアなどにより、年齢とともに徐々に傷んできます。
これにより、腰が痛い・足が痛いなどの症状がでて、生活に困るようになります。
急いで手術をする必要がある場合は少ない(尿閉、麻痺などを除く)ですが、生活に困るようならば、手術は治療手段として有効です。

最小侵襲手術で対応できる病態は以下の2つです。
  1. 狭窄(神経の通り道が狭くなる)
  2. 不安定(すべり症などでグラグラになり、体重を支えられず腰痛の原因となる)

今後の展望

当センターでは2012年8月より、最小の傷で手術をしようという取組みをはじめ、現在では除圧術で1ヶ所あたり1.8cmの傷で、固定術では1椎間あたり3.5cmの傷で手術できるようになっています。
安全に手術を行うため、脊髄モニタリング(手術中に神経の状態を見ること)を行っています。

従来の最小侵襲固定術

当センターでの固定術の傷(3.5cm)

また、従来最小侵襲で対応できなかった高度変形なども2014年から前側方からの固定術(OLIF)で対応できるようになっています。今後もより低侵襲を目指したセンターを作っていきたいと考えております。

最小侵襲を担う当センターは、
  1. “最大限の安全”を目指します
  2. “最大限の痛くない”を目指します
  3. “最小限の傷”でできる手術を目指します

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