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放射線治療の質を担保する品質管理活動


当院では、
  • 患者さんの放射線治療に対する考えの確認
  • 専門の医師による診察と充分なインフォームドコンセント
  • 放射線治療に関するさまざまな情報提供
  • 専任の放射線治療技師による放射線治療
  • 待合、照射中の安全体制
これら患者さんの視点に立った体制そのものこそ品質管理が必要と考えています。
放射線治療に関するすべての品質管理業務の遂行・内容・結果を定期的に評価することを目的に、外部の専門家に委員に加わっていただき、放射線治療品質管理委員会を年2回開催しています。
委員会では7つの項目

①患者中心のサービス
②使用機器の品質管理ならびに操作
③照射技術の品質管理
④安全管理体制
⑤情報の共有化
⑥治療方針と結果
⑦スタッフの専門性と品質管理業務の遂行

について、日々の改善活動の報告と評価を行っています。
その一例を紹介いたします。

①患者さん中心のサービス

実際の治療状況を理解し協力して治療を受けていただくために、治療計画CT撮影前に当院で作成した放射線治療の動画をご覧いただきます。動画には放射線治療室への入室から退室までの一連の流れと、治療時の簡単な注意事項が紹介されています。
また、治療計画CT撮影の際には、治療用固定具作成前に作成の様子を動画で紹介しています。
初めて放射線治療を受けられる患者さんは、放射線治療の状況や固定具作成の様子等についてさまざまな不安を抱いていらっしゃいます。あらかじめ動画を見ていただくことで、安心して放射線治療を受けていただけたらと考えています。

②使用機器の品質管理

放射線治療機器の品質管理体制

放射線治療を安全に精度良く行うために放射線治療機器の品質管理を行っています。
治療機器の品質管理は多岐に渡ります。各々の点検項目について必要な頻度(毎日・週1回・年1回など)を定めて、計画的に品質管理を行うことが重要です(外部放射線治療装置の品質管理プログラム)。
品質管理の結果は当院の品質管理担当者と外部アドバイザーが確認をして異常がないかを判断します。異常が発見された場合は早急にメーカーと対応し、患者さんに影響が及ばないようにします。
また、品質管理の結果は週1回の会議にてスタッフ間で情報共有をし、年に2回の放射線治療品質管理委員会でも報告を行っています。

放射線治療装置の始業点検

放射線治療装置が正確に安定して動くことを保証するために、毎朝始業点検を行います。
当院ではMatriXX及びIC Profilerという測定器を用いて、使用するすべての放射線治療装置についてチェックを行っています。これらの測定器ではビームの線量、平坦度、対称性、照射野サイズの測定を短時間に効率的に確認することができ、経時的変化もグラフによって確認しています。別系統の測定器を使用して二重に確認することが、安全かつ高度な医療の提供には重要だと考えます。

強度変調放射線治療の検証

当院では主に強度変調放射線治療(IMRT)を行っています。IMRTの治療計画は専用の治療計画装置を用いて行います。
ここで作られた治療計画は理論値のため、実際の放射線治療機器で計画通りに照射を行うことができるか確認することが重要です。そのため、実際に患者さんへの照射を開始する前にさまざまな測定器を使用して確認します。これをIMRT検証と言います。当院では以下のIMRT検証を行っています。
  1. 線量計を用いた絶対線量測定
  2. 三次元検出器を用いた線量分布検証
  3. ファントムとフィルムを用いた線量分布検証
  4. リーフ駆動のエラー量計測

③照射技術の品質管理

高精度放射線照射を実現させるための取り組み

従来、毎日の放射線治療部位の決定には皮膚マークと呼ばれる印を利用していました。しかしこれでは限られた場合を除いて誤差が大きく、確実で適切な放射線治療を目指す場合には大きな問題です。そこで当院では、放射線治療装置に画像収集装置を搭載させ、全ての患者さんの毎日の治療部位の正確な位置合わせや、治療中の標的の動きなどの監視に利用しています。
照射位置照合にはOBI(On Board Imager:kV系画像収集装置)が有用です。精度1mm以内が目標です。EPID(Electric Portal Imaging Device:MV系画像収集装置)を使用すると照射中の照射位置がほぼリアルタイムで観察可能です。これらの精度を実現するためには、日々の精度管理が重要です。毎朝の始業点検時に2mmΦの鉛玉を封入したファントムを撮影し、装置が認識する中心が常に正しいことを確認しています。

OBI

EPID

左は2mmΦ鉛球封入ファントム、右はその撮影画像

④安全管理体制

防災への取り組み

防災訓練

地震・火災発生時に備え、各治療室・CT室・診察室・待合エリアのそれぞれで初期活動、避難誘導の訓練や定期的なマニュアル改訂、防災用品の確認更新を行っています。

緊急時シミュレーション

CT室緊急時シミュレーション

患者さんが安心して治療を受けることができる環境を目指し、治療中の患者さんに体調変化や造影剤の副作用が出現した際、速やかに対応するためのスタッフマニュアルを備えています。
また、急変時に技師が治療室へ入って他のスタッフの応援を呼び、駆けつけた医師や看護師が適切に処置し、救急外来等へ搬送するまでのシミュレーションを繰り返し実施しています。

放射線治療品質管理委員会

2006年度より年2回開催しています。「患者中心のサービス」・「使用機器の品質管理ならびに操作」・「照射技術の品質管理」・「安全管理体制」・「情報の共有化」・「治療方針と結果」・「スタッフの専門性と品質管理業務の遂行」における日々の改善活動を報告しています。

品質管理委員会報告書

第30回放射線治療品質管理委員会から(2021.3.27 Web会議形式にて開催・抜粋)
  • 故障状況報告

ベンダー&ユーザー会議での事例報告を抜粋。

  • ナーシング・インディケーター(NI)(看護)

治療中の看護介入と治療完遂数の算出と治療が中止となった要因を分析する。


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