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役員がつづるコラム「膠漆之心」

理事長 青木善治(2023年4月号)with/afterコロナの時代に向けて  ~新入職員の皆さんへ贈る言葉~


桜咲き、新入職員を迎える季節がやってきました。新型コロナも感染症の分類上、5類に変更されることが決まり、以前よりも明るい気持ちで桜を見ることができるようになってきたかと思います。これから、with/afterコロナの時代に本格的に入ります。皆さんも既に感じているように、コロナ前のような生活や社会に完全には戻らないでしょう。今後は、いかなる時代の変化にも柔軟に対応して、「利用者が何を望んでいるか」「職員が働きやすい環境とは何か」「社会にとって何が必要か」、私の経営理念でもある『三方良し』を常に考え、地域の皆様に信頼され、必要とされる法人を目指したいと思います。

2023年度 辞令交付式

新入職員の皆さん、入職おめでとうございます。
今年度は、2019年度以来4年ぶりに新入職員の皆さんが一堂に集まり、辞令交付式を開催することができました。奇しくも、WBC決勝戦と同じ、3月22日(水)の開催と重なり、試合中継が気になってソワソワしているかと思いきや、皆さんの式典に臨む真剣な眼差しに心を打たれました。今年度も聖隷福祉事業団として全職種で、668名の新入職員を迎えることができ、新たに我々の仲間になっていただいたことに心から感謝しています。辞令交付式では、新入職員の皆さんへのメッセージとして、次の4つをお伝えしました。
  • 仲間がいる 決して一人ではない
  • 利用者に本気で寄り添える職員に
  • たくさん学んでください
  • 初心を忘れず 向上心と人間性を高めてください
3年超に及ぶコロナ禍で、人とのふれ合いが持てないことへの焦りや不安、精神的な居場所がなく、孤独感や孤立感を感じてきた方も多かったのではないでしょうか。しかし、今日からは、沢山の仲間がここにいることを忘れないでください。それぞれの職場に配属され、職種も様々ですが、ここにいる仲間がともに頑張っていること、決して一人ではないことを忘れないでください。そして、「隣人愛」という理念のもと、困っている方たちに手を差し伸べて、本気で寄り添える職員になってもらいたいと思っています。常にご利用者の目線に立ち、困っていること、必要としていることを真摯に考え、最大の努力をしてください。

聖隷のサービスの質は、とても高いものであります。質の高いサービスをたくさん先輩方に教えてもらい、利用される方に提供してください。

「何のために聖隷福祉事業団で働くのか」「何のためにこの職に就くのか」この初心を忘れないでください。常に向上心を持ち、ご利用者を思いやれる人間性を高めてもらうことを期待しています。

辞令交付式での新入職員の皆さん

新入職員の堂々とした素晴らしい抱負

3月16日 聖隷浜松病院 S棟耐震化増改築工事定礎式

新S棟に据え付けた定礎板

聖隷浜松病院では、新S棟が7月に完成予定です。新S棟が完成しますと、駐車場不足の解消、外来スペースの拡充、手術室の増設、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症の際には、感染症患者と一般患者の動線を分離でき感染症対策を強化することができるようになります。

今回、新S棟の定礎板には、「創」という文字を刻みました。法人内の定礎式の際、定礎板には、今後何十年と活躍する建物に想いを込めて文字を刻んでいます。「創」には、つくりだす、はじめるという意味がありますが、聖隷の使命のひとつでもある「未来を築く」の言葉どおり、さらなる発展を目指し、未来をつくっていきたいという想いを込め、筆をふるわせていただきました。これからも地域のニーズに合わせて進化し続け、地域医療を支える病院であり続けたいと思います。

また、この場をお借りして、順調に工事を進めていただいている工事関係者の皆様や地域の皆様のご理解とご協力に感謝申し上げます。

進化する介護ICT

インカムをつけて体験してみました

先日、和合せいれいの里で利用している介護分野のICT(情報通信技術)と介護ロボットを見学しました。見学の目的は、聖隷DXの現場をしっかり把握しておくべきだという想いからです。“百聞は一見に如かず”、何度も聞くより、自分で見て触って、体験するのが一番ということです。

介護分野のICTは、目を見張るものがありました。訪問看護においては、スケジュール管理システムの導入により、複雑な訪問スケジュール1ヶ月分を作るのに8時間もかかっていたのが、数分でできるようになりました。訪問介護においては、スマホで介護記録の入力や確認、勤務シフトの調整が簡単に行え、事業所と電話による連絡を行わなくてもよくなりました。そして、見守りシステムにおいては、導入前後で比較すると、夜勤スタッフの夜間帯歩数が1割減少し、巡視回数や超過勤務時間に至っては、4割も減少したという効果が出ています。インカムについても、見守りシステムや手持ちの業務用スマホと連動し、スピーディな指示や緊急時の対応強化につながっています。そして、何よりも嬉しく感じるのが、インカムを通して、どこからでも新人職員を先輩職員がフォローしているというチームコミュニケーションです。これによって、職員の安心が確保されるのはもとより、ご利用者の安心感や安全性が高まります。

スマホと連携した訪問介護記録ツール

厚労省の資料によると、介護職員の必要数は、2023年度で約233万人、2040年度は約280万人となっております。2019年度の介護職員数は約211万人となっていますので、23年度時点でもすでに約22万人足りず、大変厳しい状況です。2040年には、さらに3倍の約69万人が足りないと予測されています。ICTだけでは人材不足の解決は難しいかもしれませんが、今やICTは職員の労働環境の改善やご利用者のサービス向上には不可欠なものとなっています。2022年11月に、アメリカのIT企業が「チャットGPT」という自然な文章を生成するチャットサービスを開始しました。私が長い時間考えたこの文章もたった数秒で生成する時代がすぐ近くまできていますが、私たちは医療・福祉に携わる者として、人に寄り添う気持ちを大切にしながら、上手にICTを活用していきたいと考えています。
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