リスクマネジメント
聖隷の安全への想い
聖隷福祉事業団のサービスは、安全の上で成り立っています。私たちは病院を中心として、事業展開をしてきた歴史から、医療の質向上とともに安全文化の醸成を目指してきました。現在は、医療分野のみならず、有料老人ホームなどの高齢者施設、在宅・福祉サービスなどの様々な分野に、医療分野で培った安全文化が広がっています。聖隷の安全は、「安全であることを感じない」「当たり前の安全」でありたいと考えています。誰もが不安に感じることなく、安心して、サービスを受けられ、笑顔になれるように常に安全性の向上に努めています。
安全管理体制
医療安全に関する基本的な考え方は、「人間は必ずエラーを犯す」「人はだれでも過ちを犯すもの」ということです。「誰がミスを起こしたか」ではなく、「何がミスの原因か」という視点に立ち、個人の問題ではなく組織の問題として事故を誘発しない環境やご利用者の安全を考えた業務システムの構築をすることが重要です。当事業団の安全管理はこの考え方を前提に、より安全なサービスに向けて、組織一丸となって取り組んでいます。
医療安全ポケットマニュアル・看護実践ガイド
有事の際に迅速に対応できるように、病院オリジナルの医療安全ポケットマニュアル・看護実践ガイドを常に携帯し、安全への意識を高めています。
病院作成のオリジナル冊子
様々な分析手法
安全管理に関して、以下の分析手法を用いて、事故原因の究明及び対策を検討し、実行しています。
I/A(インシデント/アクシデント)レポート、オカレンスレポート
事故のみでなく、「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりした事例を速やかに報告することは、同様の事故の再発防止のために極めて重要です。I/Aレポートが何を報告するかは報告者の自主性に任せられていることに対し、オカレンスレポートは基本的に「報告すべき項目を定め、その項目について報告義務を課すシステム」です。一定レベル以上の事例が起こると直ちに「オカレンスレポート」を提出してもらいます。全ての事例を積極的に、I/Aレポートとして報告し、統計分析を行うことにより、その傾向から組織や運用などの弱点を浮き彫りにすることができます。
P-mSHELL(ピーエムシェル)モデル分析
人によるミス(ヒューマンエラー)が発生する要因を次の5つに分けて考えられると想定し、そこで起こりえる問題を分析する方法です。アクシデント、インシデントが起きてしまった背景をより効果的に分析するために利用するものであり、個人の責任を問うことに焦点を当てたものではありません。複数名で事例に対して、様々な角度から意見を出し合い、分析を行います。
Patient(患者) | 患者、病状、心理的・精神的状態、価値観など |
management(管理) | 管理、組織の管理体制・職場の雰囲気など |
Software(ソフトウェア) | ソフトウェア、マニュアルなど形にならないもの |
Hardware(ハードウェア) | ハードウェア設備・備品など変更のきかないもの |
Environment(環境) | 環境・温度・湿度・照明・騒音など間接的に個人のパフォーマンスに影響を及ぼすもの |
Liveware(他人) | 当事者以外の人々、コミュニケーション・リーダーシップ |
Liveware(当事者) | 事例に関わった本人、身体状況、心理的・精神的状態、能力 |
根本原因分析法(RCA:Root Cause Analysis)
米国退役軍人病院(VA)の方式に準じた根本原因分析法です。分析は個人の行動ではなく、発生した事故や不具合の背景に潜む組織、過程に焦点を当て、システムの問題を探ります。全てのプロセスについて、事故に関わるプロセスを知り得る多職種メンバーによるレビューを行い、原因となる要因が分かるまで、なぜ?なぜ?の質問を繰り返し深く掘り下げていきます。