近視抑制外来
2024年7月から、近視抑制外来を開始
近視進行診断装置を用いるなど、患者さんに合った治療を行います
近視進行診断装置を用いるなど、患者さんに合った治療を行います
小中学生の近視は大きな社会問題になっています。
2024年7月から近視治療を専門とする「近視抑制外来」を開設しました。
近視抑制治療は近視を治す治療ではありません。近視は進行してしまうと元には戻すことはできないため、進行を抑えることがとても大切です。主に点眼と矯正コンタクトでの治療を行いますが、当院では近視進行診断装置「マイオピアマスター」を用いて将来の屈折度数を予測しながら、それぞれの患者さんに合った治療を行っています。
2024年7月から近視治療を専門とする「近視抑制外来」を開設しました。
近視抑制治療は近視を治す治療ではありません。近視は進行してしまうと元には戻すことはできないため、進行を抑えることがとても大切です。主に点眼と矯正コンタクトでの治療を行いますが、当院では近視進行診断装置「マイオピアマスター」を用いて将来の屈折度数を予測しながら、それぞれの患者さんに合った治療を行っています。
ページ内目次
近視とは?
近視とは、遠くから眼の中に入ってきた光が網膜より前でピントを結ぶことで、遠くのものがぼやけて見える状態のことを言います。人間の目は、よくカメラに例えられますが、カメラのレンズに相当するものを角膜と水晶体、フィルムに相当するものを網膜と言います。人間は、角膜から光が入り、水晶体でピントを合わせて網膜に鮮明な像を映すことでものを見ています。網膜の上にピントが合う状態を正視、網膜より前にピントが合う状態を近視、網膜より後ろにピントが合う状態を遠視と言います。生まれたときは皆さん眼の長さ(眼軸長)が短く、遠視の状態です。成長に伴って眼軸長が伸びて正視になっていきますが、眼軸長が伸びすぎると近視になります。
増加している学童の近視
日本人の学童近視の有病率は1996年には6歳で10%、12歳で60%でしたが、2017年には6歳で60%、12歳で95%と増加してきています。またスマートデバイスの使用と近視進行の関連が報告されていますが、文部科学省よりGIGAスクール構想が提唱されており、今後さらなる学童の近視は増加していくと考えられます。
近視は屈折度数(D:ジオプトリー)によって、軽度近視(-0.5D~-3.0D)、中等度近視(-3.0D~-6.0D)、強度近視(-6.0D以上)に分けられています。高度近視になると、病的近視といって眼球の形が変形したり、網膜に病的な変化をきたす状態になることがあります。
近視は屈折度数(D:ジオプトリー)によって、軽度近視(-0.5D~-3.0D)、中等度近視(-3.0D~-6.0D)、強度近視(-6.0D以上)に分けられています。高度近視になると、病的近視といって眼球の形が変形したり、網膜に病的な変化をきたす状態になることがあります。
近視度数と眼疾患のオッズ比※ | ||||
近視度数 屈折度数=D |
後嚢下白内障 | 緑内障 | 網膜剥離 | 近視性黄斑症 |
弱度近視 -3Dまで |
2倍 | 2倍 | 3倍 | 14倍 |
中等度近視 -3D ~ -6D |
3倍 | 3倍 | 9倍 | 73倍 |
強度近視 -6D以上 |
5倍 | 3倍 | 13倍 | 845倍 |
Haarman AEG, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci . 2020より作成
※オッズ比…ある因子とある病気の関連の強さの指標。数値が大きいほど、関連性が強い
※オッズ比…ある因子とある病気の関連の強さの指標。数値が大きいほど、関連性が強い
近視の進行パターン
近視は早期発症型、通常型、後期発症型に分類されます。ほとんどの学童近視は通常型で、小学校入学後に近視を発症し、中学生から高校生になる頃までに進行して、最終的に中等度近視(-5~-6D)に進行が止まるとされています。しかし、早期発症型では小学校入学以前に近視を発症し、進行が止まるのも遅いとされるため、眼軸が伸び続ける可能性があり、最終的に強度近視(-6~-9D)に至る可能性があります。
小児近視が進行する危険因子として以下のものがあり、これらにあてはまるお子さんは何らかの近視抑制治療を検討された方がいいかもしれません。
小児近視が進行する危険因子として以下のものがあり、これらにあてはまるお子さんは何らかの近視抑制治療を検討された方がいいかもしれません。
- 近視の発症年齢が若い
- 近視の屈折度数が強い
- 両親に近視がある
- 前年度近視進行が早い(年に-0.75D以上進行) など
近視抑制外来での治療
近視進行診断装置
「マイオピアマスター」での測定
近視進行抑制治療として、「オルソケラトロジーによる治療」と「低濃度アトロピン点眼による治療」を行っています。
どちらも保険適用外(自由診療)となります。
どちらも保険適用外(自由診療)となります。
※オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼を併用する場合は、オルソケラトロジーの日程となります。 ※本治療中に別疾患、症状が生じた場合、医師の判断のもと必要に応じて検査や治療を行います。その際は別途診療費をご負担いただきます。詳しくは医師へご確認ください。 |
オルソケラトロジーによる治療
オルソケラトロジーは寝る前につけて起きたらはずす、近視の方のためのハードコンタクトレンズです。コンタクトレンズの内側に特殊なデザインが施されており、寝る前に装用することにより角膜の形を平坦にし、網膜にピントが合うように調整します。はずした後も一定期間平坦な形は保持されるため、裸眼でも網膜の上にピントが合う状態となり、眼鏡やコンタクトレンズと比較し30-60%の眼軸伸長抑制効果があるとされています。また、低濃度アトロピン点眼治療と併用するとオルソケラトロジーのみの場合より眼軸が28%伸長抑制されるとの報告もあります。
装用前(近視の状態)
装用中
装用後(裸眼時)
- 治療、検査の流れ
近視について診察、検査します。
2、初回治療開始:適用検査とトライアル装用
近視抑制外来にて近視の程度や眼の状態を調べて、オルソケラトロジー治療に適していることを確認したうえで、眼の状態に合う専用レンズをお作りします
3、2回目:お試し装用開始(期間 1ヶ月)
専用レンズを装用し、実際に治療を体験していただきます
4、1週間
お試し装用開始翌日、または1週間後に装用後検査を行います
5、2~3週間:お試し装用期間終了
治療の継続を希望するかを決めてください
お試し装用に満足し、このまま治療を継続する場合は、追加料金をお支払いいただき、本治療を始めます
6、3ヶ月後:定期検査
3ヶ月ごとに定期検査を行い、治療効果を診ていきます
- 費用
オルソケラトロジーによる治療は、保険適用外(自由診療)です。
※金額は税込みです。
※金額は税込みです。
初年度 | 診療費(年間):約60,000円 |
|
---|---|---|
コンタクトレンズ費用:66,000円 ※初回ケア用品込み |
・お試し装用に44,000円をお支払いいただきます ・治療を継続しない場合 レンズの返品と引き換えに返金します ・継続の場合 残金22,000円をお支払いいただきます |
低濃度アトロピン点眼による治療
当院ではマイオピン(低濃度アトロピン0.01%点眼薬)を取り扱っています。アトロピン点眼は眼の調節機能を麻痺させて瞳を広げる効果のある目薬で、近視進行を抑制する効果があるとされています。通常の濃度(1%)の場合、まぶしさやぼやけ、点眼中止後の急速な近視進行(リバウンド)などの副作用がありますが、通常の100分の1の濃度(0.01%)の場合、点眼を中止した後もリバウンドがありません。
点眼治療ですのでオルソケラトロジーによる治療が困難な就学前のお子さんでも治療できます。
点眼治療ですのでオルソケラトロジーによる治療が困難な就学前のお子さんでも治療できます。
- 治療、検査の流れ
近視について診察、検査します。
2、初回治療開始:低濃度アトロピン点眼薬処方
近視抑制外来にて低濃度アトロピン適応検査、治療開始
3、1ヶ月後
診察。以降は3ヶ月ごとの受診になります。
- 費用
低濃度アトロピン点眼による治療は、保険適用外(自由診療)です。
※金額は税込みです。
※金額は税込みです。
初年度 | 初回 治療開始 |
約10,000円 | 検査・診察料:約5,000円 低濃度アトロピン点眼(1本):4,730円 |
---|---|---|---|
1ヶ月後 | 約18,000円 | 検査・診察料:約3,000円 低濃度アトロピン点眼(3本):14,190円 |
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3ヶ月後 | 約18,000円 | 検査・診察料:約3,000円 低濃度アトロピン点眼(3本):14,190円 |
|
6ヶ月後 | 約20,000円 | 検査・診察料:約5,000円 低濃度アトロピン点眼(3本):14,190円 |
|
9ヶ月後 | 約18,000円 | 検査・診察料:約3,000円 低濃度アトロピン点眼(3本):14,190円 |
|
12ヶ月後 | 約21,000円 | 検査・診察料:約6,000円 低濃度アトロピン点眼(3本):14,190円 |
受診方法
一般外来初診予約をお取りください。
初診時に近視抑制治療の適応となるか判断し、適応がある方は専門外来への予約をお取りします。
※大人の近視の方で日中裸眼ですごしたいけれど、レーシックやICL(眼内コンタクトレンズ)などには抵抗がある方も条件をみたせば処方することが可能ですので、お気軽に受診してください。
初診時に近視抑制治療の適応となるか判断し、適応がある方は専門外来への予約をお取りします。
※大人の近視の方で日中裸眼ですごしたいけれど、レーシックやICL(眼内コンタクトレンズ)などには抵抗がある方も条件をみたせば処方することが可能ですので、お気軽に受診してください。