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LPEC(腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術)


当院では、お子さんの手術で最も多い、鼠径ヘルニア・陰嚢水腫に対する手術を、きずのほとんど残らない腹腔鏡で安全に行っています。


鼠径ヘルニア・陰嚢水腫とは

鼠径ヘルニアは、子どもの1-5%に発生するといわれ、手術になる子どもの病気の中で一番多いです。お母さんのおなかの中にいるときには、誰でも持っている鼠径部(太ももの付け根の部分【図1】)の袋がありますが、生まれた後でも閉じてない子どもがいます。
その袋の中におなかにある臓器(腸など、女児であれば卵巣なども)が飛び出してしまうことを鼠径ヘルニアと呼び、袋の中にお水がたまれば陰嚢水腫と呼びます。【図2】

お風呂上りやうんちをしているとき、そして泣いているときなどに、太ももの付け根を見てみてください。この部分が膨らんでいるときには受診を勧めます。男の子では陰嚢の部分が膨らんでいるように見えることもあります。
鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、手術以外の方法では、治すことは出来ません。陰嚢水腫の場合は、乳児期に自然に治る可能性もありますが、1歳を過ぎても治らない場合には手術が必要なことが多いです。

従来の手術法(Potts法)

従来は、おなかを直接ある程度切開して手術を行っていました。しかし、手術後のきずあとが残ることや、反対側のヘルニアの有無がわからないため、片側手術後の対側発生が問題になっていました。さらに両側の手術をする場合は時間を要し、腹腔鏡で手術をする場合の倍の時間がかかってしまうこともあります。

LPECとは

Laparoscopic Percutaneous Extraperitoneal Closure(腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術)といって、細いカメラを使っておなかの中を覗きながら、おなかの表面にほとんどきずをつけないで行う治療法です。腹腔鏡を用いることにより、ヘルニアの診断は確実になり、反対側のヘルニアの有無もわかります。
まず、おへそのシワの中を3mm切開してカメラを挿入します。そして右の脇腹から2mmの鉗子と呼ばれる細いマジックハンドのような器具を挿入します。
股の付け根から、糸の付いた特殊な針を挿入し、ヘルニアの袋の入り口に糸をまわし袋の根本をくくります。糸を縛ると、袋の入り口は巾着袋の間口が絞り込まれる要領で圧縮され、穴が閉鎖されるので腸などの内臓がおなかから脱出していくことはなくなります。
右と左を両方とも観察し診断できるので、症状があるのが片方だけだとしても、反対側を観察して、袋が開いている場合には予防的にそちらに対しても袋の入り口を閉鎖します。
片側の手術で、女の子なら10-15分程度、男の子でも15-20分程度です。左右両側処置しても、女の子で20分程度、男の子でも25分程度で終わります。きずはとても小さく、ほとんどわかりません。

腹腔鏡手術の様子

きずは小さく、ほとんどわかりません

日帰り手術

当院では日帰り手術が可能です。朝9時に来院し手術を行い、昼過ぎには帰宅できる場合もあります。またお子さんにとって、手術室に入り麻酔をかけるということはとても怖いことと思います。当院では麻酔科の医師や手術室スタッフと協力して、できる限りお子さんの心理的負担の少ない母子導入を積極的に行っています。手術室にはご家族お一方と一緒に入室できます。好きなDVDをゆっくり見ながら、ご家族の見守る中、徐々に麻酔がかかります。手術後は、待機室でご家族に付き添ってもらいながら、少しずつ目が覚めてくるのを待ちます。お子さんは目覚めた時にご家族の方が目の前にいることでとても安心できます。
当院では早くからこの腹腔鏡を使った手術を取り入れており、10年以上にわたり2000例以上の実績があります。ただし、腹腔鏡手術のみを行っているわけではなく、お子さんの状態によって従来法で行ったり、また従来法で行いながら、必要に応じて腹腔鏡を併用したりするなど、柔軟に対応しています。また手術方法については家族の方のご希望もお聞きすることもあります。

「なるべく学校を休ませたくない」、「仕事の都合で何日も休みをとれない」、「なるべくきずが目立たない手術をしてほしい」などのご希望がある場合には、一度当科にご相談ください。

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