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研修・教育

2024年北欧視察研修【デンマーク・スウェーデン】


2024年9月8日~9月13日、障がいのある人の福祉・教育・労働施策を学ぶため、デンマーク・スウェーデンを視察訪問。
今回の視察研修において、日本と北欧の文化や福祉事情に大きな違いがあることを認識できた。
日本では利用者の障がいや課題に着目するが、北欧では「できる」「したい」に着目し、ケイパビリティ(capability)を活かす支援がなされている。「何の障がいか」よりも「何ができるか」の視点で本人のできることを見極め、障がいがあることやできないことを探すのではなく、何ができるのかを考えているところに日本との大きな違いを感じた。また、障がい者就労を福祉として捉えておらず、労働政策そのものである点は、日本の福祉との違いを考える良い機会になった。
※ケイパビリティ(capability)・・・「能力」「才能」「可能性」などを意味する

視察目的

  • 海外の福祉事情と文化に直接触れ、新たな知見を提案する
  • 就労支援に関わる職員の教育を振り返り、次の担い手の育成に生かす
  • 障がい者就労のサービスの質の向上と新たなサービスの創出
  • メンバー

    山本 誠   (聖隷チャレンジ工房浜松学園)
    米田 和弘  (聖隷チャレンジ工房浜松学園)
    長谷川 展之 (聖隷チャレンジ工房磐田)
    後藤 里奈  (聖隷チャレンジ工房浜北)
    松田 好弘  (聖隷厚生園 生活訓練事業所ナルド)

    視察先

    インシータ財団 自閉症センター ※デンマーク

    • 従業員数:42名
    • 対象者:自閉症等発達障がいのある人、18歳~68歳以下、障害者年金受給者
    • ケースワーカー、教師、心理士、精神科医と協力し、教育や職業支援を実施
    • 身体的、精神的な課題を抱える青年のための教育や職業支援を行う

    落ち着いた空間作りがされている

    インシータ財団のスタッフと意見交換

    「利用者のやりたいこと」ができるように環境を提供

    音楽バンドやポッドキャスト、活動誌の編集も行っている

    サムハル ①本社 ※スウェーデン 

    障がいのある人に雇用機会を提供し、働くことを通じて障がいのある労働者の成長を促す。スウェーデン政府が100%の株を持っている国営企業。
    • 従業員数:約25,000人(内、障がいのある人は95%)・9,000人が清掃事業を行い、近年は高齢者介護やランドリー事業が増加
    • 売上:約9億ユーロ(約1,500億円)
    • サムハルとして顧客からの評価を大事にしており、顧客側の満足度も高い
    • 営業担当、教育担当など、スタッフの役割が専門的に分かれて明確化されている

    サムハル ②南部地域支部

    • ハローワークなどの紹介を通して利用が可能。現在、1,130名程度がトレーニングを受けている
    • 研修中も賃金が支給される
    • 本人の特性や希望職種に合わせて、大小様々な教室でトレーニングを行っている
    • マッチングメソッドなど、サムハル独自のツールを生かし、本人が希望する職種への道を切り開いていく

    サムハル ③連携企業

    【ベジタブル工場】
    • 300名の内75名がサムハルの従業員
    • 2名のマネージャーがサムハルスタッフをサポート
    • 業務は24時間交代のシフト制、常時30名程度が勤務
    • 同一労働同一賃金の原則に基づき、 一般労働市場と同様の給与基準で支払われる

    野菜の仕分け作業

    ブロッコリーのカット作業

    梱包後には、高級レストランや
    スーパーの食材として出荷される

    スウェーデン国内では野菜などが育ちづらいため、
    輸入品が多く利用されている

    【ランドリー工場】
    • 地域に住んでいる高齢者の私物を洗濯
    • 今後はスウェーデン軍で使用する全ての衣類(制服や下着)の洗濯を請け負う
    • サムハルスタッフが洗濯からたたみまで行っている

    ミッドソンマークランセン高校 ※スウェーデン

    生徒の皆さんと「はい、チーズ!」
    働くことを楽しみにしている人、将来設計をしている人も多い

    • 高等学校に適応型高等学校(特別支援学校)が併設
    • 通常級が3年制に対し特別支援学校は4年制
    • 生徒は中学校の時点で高校卒業後の進路を見越して学校を選択する
    • 1年の内8週間は幼稚園、介護施設などで実習を行う
    スウェーデンでは特別支援学校ごとに職業プログラムの内容が異なっており、生徒は高校選択時には将来を見据えて進路選択を行っている。ミッドソンマークランセン高校には「健康、介護、福祉」に興味のある生徒約30名が通っており、5名の教員が指導に当たっている。通常高校の仕組みでは科目ごとに先生が変わることが多くみられるが、特別支援学校では一人の先生がほとんどの科目を教えることで、生徒のストレスの軽減や信頼関係の構築を図っている。

    レストランでの食事
    接客・料理など生徒一人ひとりが役割を担う

    【特別支援学校の生徒が運営しているレストラン】
    • 生徒が調理から提供までを行う
    • 教員はレストラン等でウエイトレスを経験した専門家
    • 接客の対応やマナーを学ぶ
    • 卒業後はホテルやレストランで働く

    今後の展望

    聖隷福祉事業団における就労支援サービスの質の向上と新たなサービスの創出が必要だと考える。
    • 他企業と競争しつつ、仕事を得る⇒市場での競争の中で評価をうける
    • 仕事を売り込む専門部署、営業力をつける
    • サムハルメソッドを参考にして、特性の見える化を行い、共通の評価ツール(聖隷メソッド)の作成
    • 聖隷福祉事業団の障害者就労支援事業所の再編と役割分担の提案
    ※サムハルメソッド・・・仕事を得たり維持したりするために重要な16の能力に基づいて評価される
    【2024年 北欧視察研修についてのお問い合わせ先】
    担当者:浜松学園 山本
    E-MAIL:makoto-y@sis.seirei.or.jp
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