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役員がつづるコラム「膠漆之心」

理事 平川健二:高齢者公益事業部長(2023年5月号)前略 長谷川 保様


今から50年前1973年にあなたは日本で初めての本格的な有料老人ホーム(当時あなたは「高齢者世話ホーム」と呼んでいらっしゃいました)浜名湖エデンの園を開設していただきました。

当時、日本の高齢者の自殺率が世界一高いことに心を痛め、何とかしなければならない、何が自分にできるのだろうか、と必死に考えられたのですね。

1972年建築中の浜名湖エデンの園の前にて
右:初代理事長 長谷川保氏
(聖隷歴史資料館所蔵)

その構想では、「自由な、働く老人ホーム」として、働きたい時は奉仕的に働き、提供される食事をとっても自炊してもよく、病院が健康管理を行い、介護が必要となれば特別養護老人ホームに入ることができる、とされていました。
高齢者介護は家族の責任との考えがあたり前だった当時は、入居者を募集するのも苦労があったとの話を聞きました。しかしあなたは強い信念を持ち、エデンの園はこれからの日本になくてはならないものだと訴え続け、この事業は大成功だとあちこちで語っていらっしゃいます。そして全国に100カ所開設するとの計画を立てられました。

1973年開設当時の浜名湖エデンの園
(聖隷歴史資料館所蔵)

あなたに続く人たちは、あなたの強い信念を引き継ぎ、エデンの園をもっと良くしていこう、もっと広げていこうと努力をされました。100カ所には至らず、11カ所にとどまっていますが、エデンの園は我が国の有料老人ホームのパイオニアとなりました。そして今15,000カ所の有料老人ホームが、あなたの50年前の構想を基に開設されています。それは50万人を超える高齢者の方々が安全と安心を得て日々暮らしているということです。

2020年浜名湖エデンの園
新1号館・2号館が竣工

今の状況をご覧になり、あなたはどういうご感想をお持ちですか。みんな良くやってくれていると褒めてくれるのでしょうか。いや、あなたはきっとこうおっしゃるのでしょう。『まだまだ私の構想の10分の1にも近づいていない。もっと人々が望むものに、もっと人々が幸せを感じられるものにエデンの園はなれるはずだ。まだまだこれからも頑張りなさい』と。
草々

エデンの園は開設50周年を迎えました

1973年(昭和48年)に開設しました「浜名湖エデンの園」が2023年(令和5年)5月1日に開園50周年の大きな節目を迎えました。 聖隷福祉業団が運営する有料老人ホーム事業の歴史としても50年。ご入居者、ご家族、職員、エデンの園に関わるすべての方々へ感謝し、次の50年もさらなるサービスの充実を図り、ご入居者の安全・安心を支えてまいります。

エデンの園の歴史

エデンの園は、聖隷福祉事業団の創始者長谷川保の構想から始まった高齢者の施設です。
高齢化社会の到来を予見して、1963(昭和38年)に老人福祉法が公布され、全国に特別養護老人ホームが数多く登場しました。
しかし、1970年代にはいると老人の孤独や自殺が大きな社会問題として出現し、聖隷福祉事業団は高齢者にとって楽しく生きがいのある安心した生活の場が必要だと考え、1973年(昭和48年)聖隷三方原病院の隣接地に有料老人ホーム「浜名湖エデンの園」を完成させました。
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