座談会「一緒に語らいませんか~未来へつなぐ、戦後80年~」

座談会「一緒に語らいませんか~未来へつなぐ、戦後80年~」

座談会「一緒に語らいませんか~未来へつなぐ、戦後80年~」

今年は昭和100年、戦後80周年にあたる年です。戦争を体験した世代が高齢化し、直接戦争の話を聞ける機会が減っている今の日本。この先90年、100年と重ねていくほどにその貴重な機会はどんどん減っていきます。戦争を体験し、被爆国となった日本が、悲惨さを語り平和の大切さを伝える⋯
私達職員も、体験そして見聞きした話を未来に受け継いでいきたい、そんな思いで初めて企画しました。

会場には20代から60代の職員9名と、70代から90代のご入居者12名が集まりました。最初に動画を視聴した後、3つのグループになって話をしました。

ご入居者のお話

〈空襲について〉
・実際に東京で空襲にあった方
・3月でまだ寒さが残る大阪での空襲、戦火の熱さから逃れるために川の水で毛布を冷やし、その毛布をかけながら体が不自由なおばあちゃんを連れて避難した方

〈生活について〉
・疎開をしていたが、食べ物が十分ではなく苦労した。
・配給されたが4人に対して缶詰2つ。次の配給目処が立たず食べ物がない不安を抱えた日々
・当時はクリスチャンというだけで日本人から差別されていた方
・戦中は天皇崇拝、敗戦後は思想が180度変わり軍の言うことを聞くことになった。民主主義とは何が分からないまま。今までの知識を変える必要があったが、教科書はなく、授業中に今までの教科書に墨を塗る時間があったり、新聞をもとに自分で作らないといけなかった。
・戦時中や疎開していて勉強ができなかった。また勉強道具もなかった。ある物を譲り受けながら、丁寧に使い、人への心遣いを学んだ。
・兄が予科練(旧日本海軍の海軍飛行予科練習生)に行き、性格が全く変わってしまい、人生捨てたようになってしまった。長男だった兄は家を守ることをせず残った家族で支え、兄への恨みがあった。数年後ある本を読んで兄の立場のつらさを少し理解することができた。

など本当に生々しい経験談が各グループから次々と出てきました。中には当時の配給表や朝鮮にいる叔父からのハガキを持参してくださった方も。
そんな話を、経験ある方同士は共感し、知らない世代はもっと知りたくて質問する⋯気づけばあっという間に1時間30分が立ち、まだまだ話足りない雰囲気でした。

ご入居者のお話

職員の感想

戦争を体験していないご入居者、職員はお話を伺って様々な感想を持っていました。
戦後生まれのご入居者は、戦時中の大変さを知らなくても、戦後苦しい生活の中で親から強く育ててもらったことに感謝されていました。

20代職員は「学校で原爆の話を聞いたり、動画を見たが、実際に話を聞いて学ぶことができた。戦時中だけではなく、そのあとも大変だったことを知った」

30代職員は「リアルな話に、今までにない感情が出てきた。未来に向けてどう生きていくか考えるきっかけになった」「一人一人が平和に向かって生きていく」「歴史で日本が戦争をしていたことは知っているし、テレビや映画で戦争について取り上げられたものを見ることはありますが、今回ご入居者からお話を聞いて、本当に日本は戦争をしていたんだと、やっとわかった気がします。以前からご入居者の方々を見ていると、強いな、私たちがその年齢になってもこんなふうに生きられないだろうなと、思っていましたが、戦中、戦後に鍛えられたものがあると改めて思いました。知ることが『戦争を起こしたくない』と思う人が増えていく方法だなと思いました」

40代職員は「どのお話も、自分の子供と重ね合わせてしまい、率直に自分の子供には経験させたくないと思いました。今ある平和は当たり前のことではないと実感しました。平和な日本を続けていくために私たちの世代が真剣に考えなければいけないと思いました」

職員の感想

おわりに

大変な時代を生き抜き、宝塚エデンの園で一緒の時を過ごしていただいている今の環境に、ご縁を感じ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。普段の会話ではなかなかできない話の中から、今まで知らなかったご入居者の一面を垣間見ることができ、さらに深いつながりを感じました。
今日の貴重なお話を語り続け、平和のためにできることをしていきたいと心から誓った時間となりました。

おわりに