経皮的左心耳閉鎖術 (WATCHMAN™)
左心耳閉鎖術の低侵襲治療、開始
2024年6月から心房細動による脳卒中を予防する左心耳閉鎖システム(WATCHMAN™)を用いた経皮的左心耳閉鎖術を開始しました。
心房細動(しんぼうさいどう)と脳梗塞
ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
心房が不規則に震える状態で、加齢とともに増加します。心房細動により心房内の血液の流れが悪くなり、血栓(血液の固まり)ができることがあります。この血栓が動脈を通って脳に達して心原性脳梗塞を起こします。
抗凝固薬と出血リスク
ワルファリンや直接経口抗凝固薬(DOAC)内服によって心原性脳梗塞リスクを低減できます。一方で抗凝固薬の内服により出血性合併症が生じることがあります。これまで大出血(消化管出血など)や脳卒中を患った方、高齢者、高血圧、腎機能障害、肝機能障害、抗血小板剤(バイアスピリンなど)の併用、繰り返す転倒などがある方は出血リスクが高いといわれています。また、重大な出血を生じると命に関わる可能性があります。
心房細動の患者さんの中には、本来なら抗凝固薬内服が必要ですが、これら出血性合併症のリスクが高いために、抗凝固薬内服継続が困難な方が存在します。
心房細動の患者さんの中には、本来なら抗凝固薬内服が必要ですが、これら出血性合併症のリスクが高いために、抗凝固薬内服継続が困難な方が存在します。
経皮的左心耳閉鎖術とは?
ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
心房細動の患者さんの心房内血栓の多く(90%)が、左心房の中の左心耳(さしんじ)という袋のようになっている箇所にできることがわかっています。
経皮的左心耳閉鎖術は、この左心耳を医療器具(閉鎖栓)により永久に閉鎖することで心房内血栓形成を防ぎ、脳梗塞を予防するカテーテル治療です。この治療を行うことで抗凝固療法を中止できる可能性があり、出血リスクを大幅に軽減することができます。
経皮的左心耳閉鎖術は、この左心耳を医療器具(閉鎖栓)により永久に閉鎖することで心房内血栓形成を防ぎ、脳梗塞を予防するカテーテル治療です。この治療を行うことで抗凝固療法を中止できる可能性があり、出血リスクを大幅に軽減することができます。
治療の流れ
経皮的左心耳閉鎖術に用いる閉鎖栓は、WATCHMAN(ウォッチマン)™といい、大きさはおおむね500円玉ぐらいです。
全身麻酔下で医師が脚の付け根の静脈から挿入した管(カテーテル)を使い、閉鎖栓を心臓まで誘導します。右心房から左心房へ管を通し、位置を確認し、左心耳に永久的に留置します。
治療時間は1時間ほどで、通常は治療の翌日から歩行ができます。
詳しくは、以下の動画をご覧ください。
全身麻酔下で医師が脚の付け根の静脈から挿入した管(カテーテル)を使い、閉鎖栓を心臓まで誘導します。右心房から左心房へ管を通し、位置を確認し、左心耳に永久的に留置します。
治療時間は1時間ほどで、通常は治療の翌日から歩行ができます。
詳しくは、以下の動画をご覧ください。
ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
メリットとデメリット
【メリット】
- 90%以上の患者さんが、治療後1年以内に抗凝固薬を中止することができます
- 塞栓症予防の有効性はワルファリンと同等で、抗凝固薬を中止することにより出血リスクは大きく減少します
【デメリット】
- 左心耳の形態や大きさによっては治療ができないことがあります
- 治療に伴う合併症のリスクが1.5%程度あります
- 治療後の抗血栓療法中止までの間は出血リスクが残ります
- 治療後に閉鎖栓に血栓ができたり、左心耳以外に左房内血栓ができたりする可能性があります
- 左心耳が完全に閉鎖できずに左心耳への血流が残る可能性があります
治療に関するご相談・ご質問
同じ病気でも、この治療法に適しているかどうかは専門的な判断が必要となります。この治療法に関するご相談・ご質問は、かかりつけの先生を通して、当院循環器科にご連絡ください。