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前立腺がんロボット支援下手術


前立腺がんは、日本人男性に多くみられるがんのひとつです。国立がん研究センターの統計では、2023年に前立腺がんと診断された方は全国で102,094例と報告されており、男性のがん罹患数では第1位です。早期には自覚症状がないことが多く、近年では健診や人間ドックなどで行われるPSA検査を契機に発見されることが多くなっています。
前立腺がんの治療には、監視療法、手術療法、放射線療法、ホルモン療法を含む薬物療法などがあります。治療方針は、がんの進行度や悪性度、PSA値、患者さんの年齢、健康状態、合併症、生活への影響などを総合的に考慮して決定します。
当院では、前立腺がんに対する治療選択肢のひとつとして、ダビンチXiを用いたロボット支援前立腺全摘除術を行っています。
放射線治療を含めた治療選択肢についても、下記リンクからご確認いただけます。


ロボット支援手術の創部と特徴

当院では、2016年10月よりダビンチXiを用いたロボット支援前立腺全摘除術を導入し、2025年までに550例を施行しています。現在、当院で行う前立腺全摘除術は原則としてロボット支援手術で行っています。
ロボット支援手術では、腹部に数か所の小さな創を置き、そこからカメラや鉗子を挿入して手術を行います。従来の開腹手術と比べて創が小さく、出血量や術後の痛みを抑えられることが期待されます。また、拡大された3D画像のもとで繊細な操作が可能であり、前立腺周囲の血管、神経、尿道括約筋などに配慮した手術を行うことができます。

入院から退院までの流れ

手術前日の午後に入院していただき、採血などの術前確認を行います。手術後は、状態を確認しながら翌日から歩行や食事を再開します。
経過が順調であれば、術後6日目に尿道カテーテルを抜去し、術後7日目に退院となります。入院期間は、通常9日間程度です。退院後は外来で経過を確認します。

※1 硬膜外チューブ
手術中の痛みを軽減するために麻酔時に使用し、手術後も麻酔薬を持続的に投与するために用いられる管
※2 尿道カテーテル
体の外に尿を排出させるために尿道から膀胱まで挿入する管
※3ドレーン
体内に溜まった水分や血液・リンパ液などを体外に排出するために用いられる管

ロボット支援前立腺全摘除術による癌の治療成績

当院では、2016年10月よりロボット支援前立腺全摘除術を導入し、2025年までに550例を施行しています。以下に、当院における治療成績を示します。

治療成績 詳細

①患者さん及び術前データ

  • 年齢:中央値69歳(46-81歳)
  • PSA:中央値8.3ng/mL(0.4-58.6ng/mL)
  • 病期:cT1-cT2(限局性)475例(86.4%)、 cT3(局所進行)73例(13.3%)
  • 悪性度:GS6以下(GG1)139例(25.3%)、GS3+4(GG2)158例(28.7%)、GS4+3(GG3)79例(14.4%)、GS8(GG4)121例(22.0%)、GS9-10(GG5)51例( 9.3%)、特殊型2例(0.4%)
  • 術前ホルモン療法:36例(6.5%)
近年は、PSA高値例や高悪性度症例、局所進行症例も含めて、症例ごとに手術適応を検討しています。

②手術データ

  • 手術時間:中央値184分(95-446分)
  • コンソール時間:中央値142分(64-311分)
  • 出血量:中央値100mL(2-1600mL)
  • 輸血症例:0例
  • 神経温存:片側温存234例(42.5%)、両側神経温存25例(4.5%)
  • リンパ節郭清:61例(11.1%)
  • 術中合併症:6例(1.1%) 膀胱損傷、小腸損傷、尿道損傷など
直近3年間では、手術時間・ロボット操作時間は短縮傾向にあり、症例に応じた神経温存を行う割合も増えています。神経温存やリンパ節郭清の有無は、がんの状態と安全性を考慮して判断しています。これまで輸血を要した症例はなく、合併症についても定期的に確認し、安全性の向上に努めています。

③術後データ

尿失禁については、評価可能症例数に限りがあるため参考値となりますが、術後1年時点では評価可能症例の9割以上で、尿パッドの使用が1日1枚以下となっています。
病理病期 症例数 断端陽性
pT2:限局性 290例:(56.2%) 1例:(0.3%)
pT3a:被膜外浸潤 175例:(33.9%) 70例:(40.0%)
pT3b:精嚢浸潤 47例:(9.1%) 24例:(51.1%)
*術前評価と術後病理の違い
術前に限局性前立腺がん(cT1-cT2)と診断された症例でも、手術後の病理検査で被膜外浸潤や精嚢浸潤が確認され、局所進行がん(pT3以上)と診断されることがあります。
当院では、病理病期が確認できた術前cT1-cT2症例449例のうち、181例(40.3%)が術後病理でpT3以上と診断されました。このうち、被膜外浸潤にあたるpT3aは151例(33.6%)、精嚢浸潤にあたるpT3bは30例(6.7%)でした。

手術後は、摘出した組織の病理結果とPSA値の変化を確認しながら、外来で経過をみていきます。病理結果やPSAの推移によっては、再発予防や病勢コントロールを目的として、放射線治療やホルモン療法などの追加治療が必要となる場合があります。

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