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前立腺がんロボット支援下手術


前立腺がんとは、主に前立腺に発生する病気で、前立腺の細胞が何らかの原因で無秩序に増殖を繰り返す疾患です。
治療法は、治療を行わず経過を見るPSA(腫瘍マーカー)監視療法・手術療法・放射線療法・ホルモン療法などがあります。どの治療法を行うかについては、がんがどのくらい進行しているかを検査し、進行状態や健康状態、年齢や合併症の有無などによって総合的に判断し決定します。
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開腹手術とロボット支援手術の傷の違い

当院では2007年から腹腔鏡補助下で皮膚を6cm切開(小切開)して行う開腹手術を行ってきましたが、最近では、腹腔鏡下前立腺全摘除に対してダビンチを用いたロボット支援手術が普及し始めています。
欧米においては、前立腺がん手術の90%以上にロボット支援手術が行われ、国内においても年間1万件以上の前立腺がん手術に用いられ、標準的な手術法となりつつあります。

入院から退院までの流れ

ロボット支援手術は、開腹手術と比べてからだにかかる負担が少ないため、入院期間も短くてすみます。

前立腺全摘除術の場合

入院は手術前日。術前検査を受けて翌日の手術に備えます。通常は術後の痛みも少なく、翌日には歩行も可能です。カテーテルを抜くまでに6日間ほどかかるため入院期間は術後1週間ほどです。

※1 硬膜外チューブ
手術中の痛みを軽減するために麻酔時に使用し、手術後も麻酔薬を持続的に投与するために用いられる管
※2 ドレーン
体内に溜まった水分や血液・リンパ液などを体外に排出するために用いられる管
※3 尿道カテーテル
体の外に尿を排出させるために尿道から膀胱まで挿入する管

ロボット支援下手術による前立腺がんの治療成績

2016年10月から2023年3月までに、350件以上のロボット支援前立腺全摘除術を施行しています。
355件のロボット支援手術の手術時間、コンソール時間(図1)は各3時間、2時間半まで短縮し、出血量(図2)は従来の開腹手術と比較すると、1/5以下と著明な減少がみられました。がん制御に関しては他施設とほぼ同等で、尿禁制(図3)は他施設より良好な結果でした。現在、手術の待機期間は約1か月ですが、今後は手術日を増やすなど可能な限り待機期間を短くし、最善の医療をご提供していきたいと考えています。

図1 コンソール時間

図2 出血量

図3 手術後の尿禁制(尿失禁なし)

治療成績 詳細

①患者さん及び術前データ

  • 患者さんの平均年齢  68歳(46~81歳)
  • 平均のPSA値  10.2ng/mL(3.30~44.0 ng/mL)
  • 悪性度(グリソンスコア) 6:103名、7:161名、8以上:91名
  • 臨床病期(ステージ) T1c~T2(限局がん):319名、T3(被膜外浸潤か精嚢浸潤):36名

②手術データ

  • 平均手術時間  3時間22分(1時間39分~6時間48分)
  • 平均コンソール時間  2時間39分(1時間4分~5時間11分)(図1)
  • 平均出血量  119mL(2~620mL)(図2)
  • 摘出標本重量  平均45g(14~115g)

高リスク群の42例(20%)に対して骨盤内リンパ節(閉鎖リンパ節)郭清を施行しましたが、リンパ転移を認めたのは3例のみでした。神経温存術は75例(36%)に施行しました。
ダビンチ操作における術中合併症はなく、手術開始時のカメラポート作成時に小腸損傷を1例に認めましたが、保存的治療に軽快しました。
術後合併症は腸閉塞1例、腹膜炎2例、術後出血2例、鼠経ヘルニア9例、腸炎1例、感染性リンパ瘤1例に認め、腸閉塞と術後出血の3例は外科的治療を要しました。また鼠経ヘルニアは外科にて根治術を施行していただき、腹膜炎と腸炎は保存的治療により軽快し、感染性リンパ瘤は経皮的ドレナージ術により軽快しました。

③術後データ

  • 病理診断による病期  pT2(限局がん):120例、pT3a(被膜外浸潤):66例、pT3b(精嚢浸潤):20例、pT0(術前ホルモン療法にて寛解):4例
  • グリソンスコア  6:13例、7:146例、8以上:46例
  • 尿禁制  術後1か月→53%、術後3か月→83%、術後6か月→90%(図3)
    ※1日1枚までの予防的なパッド使用を尿失禁なしと定義
  • 切除断端陽性  33例(15%)。全例が局所進行癌(pT3a-b)
  • 術後入院期間  平均8.0日(6~28日)

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