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聖隷の“旬”を届ける「i am…」

聖隷淡路病院 薬剤師


藤岡 祥平

地域のために、役に立ちたい。
誰かのために働けることは何よりの幸せ。


神戸の街中を走り抜け、明石海峡大橋を渡ると、目の前に淡路島の山の深い緑と漁師町が広がる。その漁師町の小高い丘に登ったところに、国立明石病院岩屋分院がかつてあった。1999年移譲によって聖隷淡路病院となり、2014年に海を望む高台へ新築移転した。
新たに生まれ変わった聖隷淡路病院で、薬剤師として日々奮闘する藤岡祥平に迫る。

i am「藤岡 祥平」

心の中での化学反応、薬剤師の道へ

姉と。豊かな自然の中で生まれ育った。

姉と。豊かな自然の中で生まれ育った。

淡路島北部の雑木林が茂る山間の集落に、実験が大好きな少年時代の藤岡がいた。「なぜこれをすると、こんな現象が発生するの?」そういった疑問がいつもあった。そして実験をすることで疑問が解消された時、とても爽快に感じた。小学生の時には、「紙飛行機を速く飛ばすにはどうしたらいいか?」という疑問に対し、旅客機の羽を参考に、できるだけ空気抵抗を減らそうと工夫するなど、自分で考え答えを導き出した。大学に進学する時には、大好きな化学の実験が本格的にできるのでないかと化学の道、そして薬学部へ進むことを決意した。

大学でも実験を通して化学のおもしろさに魅了されていった。就職先を考えた時に、この先も化学について存分に追及できるのではないかと、製薬会社の研究員を目指した。ただ心の中にはぼんやり「直接誰かの役に立ちたい」という思いもあった。大学5年の時に実習に出向いた病院でその思いが確信に変わった出来事が起きた。
実習を担当してくれた薬剤師はテキパキと業務をこなす一方、患者の特徴や癖、性格を把握しており、一人ひとりに合った指導や対応をし、患者もその薬剤師を信頼していた。藤岡はプロ意識の高い仕事ぶりを見て純粋にかっこいいと感じた。そしてその薬剤師に「私たちはいつも100%で患者さんと接している。一日に何人もの患者さんを対応しているが、患者さんにとって薬剤師は自分一人だけだから」と言われた瞬間、「薬剤師になりたい」藤岡の心の中で化学反応が起きた。

地元に貢献したいという揺るがぬ思い

インタビュー中、淡路島の地図を見ながら、自身が生まれ育った場所を説明。

インタビュー中、淡路島の地図を見ながら、自身が生まれ育った場所を説明。
実は意外と交通の便は良く、病院から神戸市中心街まで1時間弱で行ける。

薬剤師になると決意し、いざ就職先を探す際、絶対に譲れない条件があった。それは実家から通勤できるということだった。「実家は限界集落と言われている地域にあって、妹が生まれてから25年間、子どもが誕生していません」。地元の同級生は藤岡以外、全員地元を離れ進学や就職をしていた。就職先は決して多くはなく、やりたいことが淡路島でできなければ必然的に淡路島を出ていくしかない。また生活の便を考えて、地元を離れていく人もいる。そのような状況でも地元に今後も住み続けたいと思う理由は、父親の存在にあった。

藤岡の父親は自営業の傍ら、地域活性のために様々な活動をしている。地域活性についての講演をしたり、車の運転ができない高齢者のために地域の人が運転代行をする、デマンド交通(※1)を立ち上げたりした。また地域によく出現する猪の肉をドッグフードにするなど、ユニークな取り組みも行っている。「生まれ育った地域のために全身全霊で頑張る父親の姿を見て、自分も地域のために何か役立ちたいとずっと思っていました」。
ある日、藤岡の目に新築したばかりの聖隷淡路病院がとまった。建物が新しいこともさることながら、大阪湾が一望できながらも山の自然を感じられる立地にも魅力を感じ、就職先として選んだ。そして、病院薬剤師としての道を歩み始めた。

淡路島の現状を目の当たりして感じた、本当の意味での地域貢献

調剤の際は、副作用や他の薬との飲み合わせに注意を払う。
これも薬剤師の大切な業務の一つである。

病院薬剤師となった藤岡の主な業務は、医師から出された処方せんに従い薬剤を調合する調剤業務、薬剤の情報を管理・提供するDI業務、入院患者に処方された薬に間違いがないか最終チェックし、看護師からの薬剤についての問い合わせにすぐ答えられるように病棟に常駐する業務だ。また藤岡は褥瘡(じょくそう)(※2)と糖尿病の入院患者の管理・治療にあたる、それぞれのチームにも属している。

そして患者の服薬の指導・管理をするのも薬剤師として大切な業務の一つである。特に入院患者や在宅療養をしている患者に対しての指導・管理には薬剤管理指導料という診療報酬が発生する。しかし入職当時の藤岡は、服薬の指導や管理をすることは、業務として当たり前なことであり、患者さんにとっても必要なことでもあるのに、診療報酬が発生することに違和感を覚えた。人のために役立つことであれば、無償でも構わないとも思っていた。「今振り返ると、その考えだけでは甘いなと感じます。これからも淡路島の人々のためにより良い医療を提供し、貢献し続けていくためには診療報酬は必要不可欠だということも学びました」。高齢化が進む地域では病院はなくてはならない。病院を存続させなければ本当の意味での地域への貢献とはいえないのではないか。
「自己満足ではない、本当の意味での貢献が少しわかったような気がしました」。

薬のケアだけではなく、患者自身のケアを 人のために働ける喜びを感じて

教育入院中の患者の病室にて。
丁寧な説明と、患者の気持ちに寄り添うことを心掛けている。

最善の医療を提供するために、患者からささいなことでも話してもらえる医療従事者でありたいと思っている藤岡は、患者の心を開くための工夫を怠らない。土地柄、阪神タイガーズファンが多い淡路島。スポーツ新聞を読んでいる患者を目にすれば、野球の話題で気軽に話しかける。慣れない入院生活に不安を抱いていた患者の中には藤岡との日常会話を通して不安が払拭された人も少なくない。良好な人間関係を築くことは患者の体の変化に気付くことにつながる。以前、糖尿病の教育入院(※3)をしている患者から、悪い夢を見た、寝汗をかいたと言われ、その一言から薬の副作用による夜間の血糖値低下に気付くことができた。

また、他のスタッフには言えなかったけれど、藤岡には「おやつを食べちゃったんだよね…」と、ポロッと言ってくれた患者もいた。糖尿病患者は療養のために食べる楽しみを我慢している。そんな患者に寄り添うことで、包み隠さず話してもらえるようになったのだ。食事内容に合わせてインスリンコントロールが必要なため、このちょっとした一言が重要な意味をもつのだ。

そして症状が良くなった患者から感謝の言葉をかけられることは藤岡にとって何にも代えがたい喜びである。「人のために働けることは何よりの幸せです」と藤岡は言う。

垣根のない組織の繋がりの強さ

休日には同僚と野球観戦へ。
オンとオフの切り替えを意識し、仕事へのモチベーションを保っている。

患者だけではなく病院スタッフとの人間関係も大切にしている。来春でようやく入職5年目を迎える藤岡には、院内で働く職員の多くが先輩である。目上の人に対する言葉遣いや尊敬の気持ちを忘れないようにしている。とは言っても決して堅苦しいものではない。先輩から若手職員へ気軽に声がかけられ、若手職員から先輩へも意見を言いやすい、相互に声が掛け合える雰囲気の良い職場である。
休日の藤岡は院内の阪神タイガーズファンのグループで甲子園に野球観戦に行く(佐藤副院長も主要メンバー)。また、淡路島は西日本の観光地へのアクセスがよく、趣味のドライブを兼ねて2カ月に1回程度は家族や友人と旅行にも出かける。オンとオフの切り替えが確実にできることで、パフォーマンスの高い仕事ができるのだ。

そもそも、風光明媚な淡路島に建つ聖隷淡路病院からの景色は美しい。薬局前の廊下は朝は大阪湾から昇る太陽に照らされ、新たな気持ちで仕事に臨め、夜は神戸市の夜景で一日の疲れが癒されるという。多忙な医療現場に立つ者であるからこそ心のゆとりは重要な要素の一つである。

地元に根差し、仲間と共に市民の健康を守る

副院長 佐藤倫明・病棟スタッフと。

副院長 佐藤倫明・病棟スタッフと。
医師をはじめ、病棟スタッフとの連携を大切にし、病棟内で薬剤師としての役割を果たしている。

現在、藤岡は糖尿病療養指導士の資格取得に向けて勉強中である。藤岡がこの資格取得を目指すのには淡路島で働いていくが故の理由がある。淡路島の職業別人口で多くを占める漁師は漁に出て長期間船上で生活するため、食生活が偏りやすい。生活習慣病である糖尿病は万病の元と言われており、視力低下、腎機能の低下、心疾患、認知症を引き起こす。糖尿病患者を減らせば、島の病人も減らせる。病人が減れば健康寿命が延びて淡路島が活性化し、人口増加に繋がるのではないかと藤岡は考えている。
藤岡が所属するチームで糖尿病の出前講座を開催して島内の人々に糖尿病の怖さを伝え、予防の大切さを訴える啓発活動を行っている。チーム一丸となって島民の健康を守りたいと熱い思いで活動している。

藤岡は、2018年4月から聖隷福祉事業団でスタートする新人事制度(※4)でも、遠隔地異動を伴わないコースを選択する予定だ。「就職時から地域に根差し、地域の為に働くことを目標にしている私にはぴったりのコースです」。と言う。

豊かな自然に囲まれ、島のために貢献する父を見て育った薬剤師藤岡は、大好きな淡路島民の健康を守るため、今日も大阪湾に昇る朝日に照らされた薬局前の廊下を歩き、患者のもとへ向かう。
※1 デマンド交通・・・電話予約など利用者のニーズに応じて柔軟な運行を行う公共交通の一形態。
※2 褥瘡(じょくそう)・・・寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、
皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと。(日本褥瘡学会HPより抜粋)
※3 教育入院・・・患者に糖尿病を理解してもらうための入院。理解することで、目標達成の意欲を持ち、療養継続の自信を得てもらう。
※4 新人事制度では、コースによって働く地域が選択できる。

聖隷淡路病院 施設概要

所在地 〒656-2306
兵庫県淡路市夢舞台1-1
電話番号 0799-72-3636
FAX 0799-72-5071
開設日 1999年12月
定員・定床数 152床
施設種別
  • 無料又は低額診療事業
ホームページ こちらをご覧ください

聖隷淡路病院 正面玄関エントランス

聖隷淡路病院正面玄関エントランス

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